のと鉄道株式会社(のとてつどう、英: NOTO RAILWAY CO.,LTD.[7][注釈 1])は、国鉄再建法により第3次特定地方交通線に選定された能登線を引き受けるために石川県などが出資し、第三セクターとして設立された鉄道事業者である。現在は、七尾線のみを運営している。ロゴマークは平仮名の「のと」を組み合わせたもの。
石川県が旧国鉄能登線廃止に際して鉄道存続に意欲を見せ、運輸省(当時)に廃止対象路線の早期指定を愛知県・高知県と共同で陳情したいきさつを持つ。能登線の廃止の決定を受けて路線の引き受け会社としてのと鉄道株式会社が設立され、能登線の全線を継承して運営に当たった。転換当初は運賃を若干値上げしたものの、運行本数を増加して乗客・収入ともに増加させ、第三セクター鉄道の成功例と言われたこともあった。
1991年に地元の悲願であったJR七尾線の和倉温泉までの直流電化の見返りとして、同線のうち電化されなかった和倉温泉 - 輪島間の営業を西日本旅客鉄道(JR西日本)から無償で引き受ける[8]。しかし能登半島の道路網整備が進んだことや過疎化による沿線人口の減少を受け乗客数は減少の一途をたどっていった。経営改善のため、経営コンサルタントの助言を受けながら2001年には輪島線とも呼ばれていた七尾線の穴水 - 輪島間を、2005年には能登線の穴水 - 蛸島間全線を廃止し、最盛期には100kmを超えた営業路線も現在では三分の一にまでになっている。乗客数の減少により列車本数は削減され、厳しい経営が続いている。なお、七尾線七尾 - 穴水間を存続させた理由の一つに、2014年度の北陸新幹線開業時に並行在来線の経営分離を控えており[注釈 2]、石川県に鉄道運営の組織やノウハウを維持しておく必要があったためとされる。
穴水 - 輪島間廃線翌年の2003年、のと鉄道七尾線では急行列車や能登中島折り返し列車も含め上下合わせて10数本が減便され、普通列車のみ1日上下計29本となった。2005年に新型車両が導入された際には、上下各2本が増便された。2015年3月現在、普通列車上下計34本を定期運行している。2015年からは観光列車「のと里山里海号」を運行しており、「のと里山里海号」の運行形態によっては、普通列車が減便となる。
イベントなどで新型車両NT200形を用いた体験運転を穴水駅構内で行っている。NT200形導入後は沿線の小学校・保育所の児童による絵画や田鶴浜野鳥公園で撮影された野鳥の写真、能登線の車両や駅の写真などを積極的に車内に掲示している。
2009年5月から2011年度末まで、えちぜん鉄道などで採用されている車内で接客業務を行うアテンダントが乗務していた(地元の女性2人を採用)[9]。
2005年の能登線の廃止により、唯一の営業路線となった七尾線は、JR西日本が第3種鉄道事業者(七尾 - 和倉温泉間は第1種鉄道事業者)として線路を保有しており、のと鉄道は第2種鉄道事業者としてJR西日本の線路を借りて列車を運行するだけの自社で線路を持たない鉄道会社となった。
大人普通旅客運賃(小児半額・10円未満切り上げ)。2019年10月1日改定[14]。
特定運賃
運賃計算上の特例
料金
観光列車「のと里山里海号」に乗車する場合は乗車整理券が別途必要。
最盛期には28両が在籍していたが、穴水 - 輪島間の廃止、穴水 - 蛸島間の廃止に伴う路線の縮小により、在籍車両は2008年時点でNT200形7両まで減少した。2015年、観光列車「のと里山里海号」用に約10年ぶりとなる新車・NT300形2両を導入した[16]。
このほか、JR西日本のキハ58系気動車が急行「能登路」としてJR金沢駅から輪島駅・珠洲駅に乗り入れていた。2008年には、快速「能登ふるさと博」号(金沢 - 穴水間)として3年ぶりに乗り入れた。
前述の「湯涌ぼんぼり祭り」の開催に合わせ、有志団体「鉄道遊走」の協力により七尾 - 穴水間に、行き先に「急行」を表示し公式イラスト(主人公の緒花と小さな女の子の神様と狐)のヘッドマークを着けた団体貸切列車「急行ゆのさぎ」が2往復運転され、定期列車においても登場キャラクターの車内放送を行う車両に「急行ゆのさぎ」とほぼ同じデザインの「ゆのさぎ」のヘッドマークが装着された[23][24][25]。
2012年10月7日と8日にも10月6日の「第2回湯涌ぼんぼり祭り」の開催に伴い、前述と同じ有志団体「鉄道遊走」の協力で再び「急行ゆのさぎ」が運行された。この列車も行き先に「急行」が表示され、主人公の緒花がヘッドマークを抱えたものが公式ヘッドマークとして装着されたほか、時間によっては「第2回湯涌ぼんぼり祭り」のヘッドマークも装着された。7日は団体扱いで2往復、8日は一般開放で3往復(急行ゆのさぎ1 - 6号)が運転された。西岸駅での「花咲くいろは」ラッピング列車との交換のほか、7日の運行では急行ゆのさぎ号が田鶴浜駅で長時間停車して後続の定期普通列車が急行ゆのさぎ号を追い抜くと言う珍しい運行が行われ[注釈 4]、8日の運行では3往復すべてが一般の乗客も無料で乗車可能な臨時急行列車として運行を行い[注釈 5]、車掌の乗務(ただし、車掌はのと鉄道の乗務員ではなく有志団体メンバーが担当した)や有志団体メンバーが車内で記念入場券を無料配布するなど、前年よりも賑やかなイベント列車になった[26][27]。
2017年4月15日-翌16日において、急行「ゆのさぎ」〜緒花見列車〜を運行している[28][29]。
かつて七尾線の沿線だった輪島市出身の漫画家・永井豪のキャラクターを描いたラッピング列車をNT211号車にて2012年3月10日から運行していた[30][31]。当初は「3年間」という予定であったが[30]、3年を超えた2015年4月以降も運行が継続され、2018年10月を以って運行を終了した[32]。