いず型巡視船(いずがたじゅんしせん、英語: Izu-class patrol vessels)は、海上保安庁が運用していた巡視船の船級。
来歴
1965年、台風第29号の急転および急激な発達によって、アグリハン島付近で台風避泊を行っていた日本の遠洋カツオ・マグロ漁船団のうち、6隻が沈没、1隻が座礁大破し、死亡及び行方不明者209人を出すというマリアナ海域漁船集団遭難事件が発生した。これは台風の強さ・針路が天気予報と大きく異なったことが原因であると考えられた[1]。これを契機に、南洋で巡航しながらの気象観測・救難任務を目的として建造されたのが本型であり、昭和41・42年度計画で各1隻が建造された。
設計
船型は船首楼型とされているが、船首楼は全長のほぼ3分の1におよぶ長さであった。船体は鋼製で、耐氷構造とされていた。また復原性向上のため、船体内外に1組ずつフリューム式の減揺水槽を備えていた。
主機関は、低出力の巡航機(計1,600馬力)と大出力の高速機(計10,400馬力)という2種類のディーゼルエンジンを切り替えて使用するCODOD方式が採用された。このうち、高速機についてはSEMT ピルスティク系の12PC2V中速ディーゼルエンジンともされている。高速機では24.6ノット、巡航機では14.5ノットを発揮でき、また巡航機のみを使用した場合は14,500海里という長大な航続距離を誇った。
上記の経緯から、竣工時は後部上部構造物に気象レーダーを備えていた。その巨大なレドームは外見上の大きな特徴となったが、昭和53年度に撤去された。一方、当初は非武装であったが、新海洋秩序時代の到来にあわせて、昭和52年度に40mm単装機銃を搭載した。また船隊指揮船としての運用も考慮されたことから、船橋構造物内には巡視船初のOIC室が設けられていた。
同型船
一覧表
船番
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船名
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造船所
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進水
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就役/配属替え
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配属部署・管区
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解役
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備考
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PL31 |
いず |
日立造船向島工場 |
1967年1月 |
1967年7月31日
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横浜 (第三管区)
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1997年8月14日
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1978年(昭和53年)5月~1981年(昭和56年)の間、海上保安学校における総合乗船実習(約1週間連続航海実習)時に同校に派遣され、実習船として使用された[注 1]。
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PL32 |
みうら |
日立造船舞鶴工場 |
1968年11月 |
1969年3月15日
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1998年9月21日
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1993年3月25日
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舞鶴 (第八管区)
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1993年(平成5年)4月~1998年(平成10年)9月21日まで舞鶴保安部から海上保安学校に通年派遣され、前船「いさづ」の練習船業務を引き継いだ。 1998年(平成10年)「みうら」の就役に伴い解役。
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運用史
本型は、ヘリコプター搭載大型巡視船(PLH)が登場するまでの約10年間、海上保安庁最大の新造巡視船として活躍した。また「みうら」は、1993年から解役までの間、海上保安学校の練習船を兼務しており、これは同船を襲名した3,000トン型巡視船によって引き継がれた。
脚注
注釈
- ^ これ以前は「宗谷」が派遣されていたが、同船の解役に伴い、「いず」「みうら」によって引き継がれた。1982年(昭和57年)「いさづ」就役とともに、同船に任務を引き継いだ。
出典
参考文献