木野 花(きの はな、本名:木野目 留美子、1948年1月8日 - )は、日本の女優、演出家[2]。青森県出身。吉住モータース所属。青森県立青森西高等学校、弘前大学教育学部美術学科卒業。身長160cm、血液型はA型。
来歴
幼い頃は青森県の下北半島の山と海に囲まれた田舎町で生まれ、大自然を遊び場にしてのびのびと育った[3]。小学校高学年の頃に青森市内に引っ越したが、街の同級生たちと馴染めず自然が少ないこともあって、徐々に人付き合い自体が億劫になっていった[3]。中学・高校時代は、親が買ってくれた文学全集を読んで現実逃避し、学校では1人で取り組める美術部に入部した。
その後大学の美術学科に進学し、彫塑で粘土を練って彫刻を制作していたが、自身の才能に限界を感じた。生徒たちと楽しく交流することを夢見て教員免許を取得し、大学卒業後に中学校の美術教師となる[3]。職員室での人間関係など現実の仕事とのギャップに悩み、仕事のストレスで神経性胃炎や偏頭痛を患い、着任から1年で退職した[3]。
同時期にたまたまそばにあった美術雑誌のアングラ演劇特集を見て「これだ」と感じ、退職直後の春に上京[3]。東京演劇アンサンブル養成所に入所して演劇の世界へと飛び込んだ[4]。ただし、当初は「学生気分を吹き飛ばし、3年後には教職に戻ろうか」と気軽に考えていたという。上京後は風呂なし共同トイレのアパートでバイト生活を送り、貧しかったが充実した演劇生活により先述の体調不良は収まった[3]。
養成所で知り合った仲間の女性5人とともに、1974年に劇団青い鳥を結成し、翌年「美しい雲のある墓の前」を旗揚げ公演する[4]。以後、80年代の小劇場ブームに乗って舞台女優として活躍し[4]、アングラ演劇ブームの代表的存在となる。
1986年、劇団を退団すると[4]、同年に出演した金鳥ゴンのCMでの「亭主元気で留守がいい」のセリフが新語・流行語大賞の銅賞を受賞したことで注目される[注 1]。その後は劇団☆新感線の公演などへ客演(2003年にはガラスの仮面をモチーフにしたミュージカル舞台『花の紅天狗』の月影先生役で主演)として参加したほか、演出家や名脇役として活躍している[5][4]。
映像では、1988年の市川準監督の『会社物語』で映画初出演し、以後数々のテレビドラマなどで個性を発揮しつつ、バイプレイヤーとしての地位を確立する[4]。また、1988年から1992年にパルコドラマスクールで若手俳優育成に携わり、1993年から2003年まで「木野花ドラマスクール」を開校[4]。その後「座・高円寺」の劇場想像アカデミーで講師を務めた[4]。
2018年の『愛しのアイリーン』で第92回キネマ旬報ベスト・テン 助演女優賞を受賞[6]。
人物
10代の頃に読んだ文学作品は、夏目漱石、芥川龍之介に始まり、高校時代はヘッセやドストエフスキーなどに夢中だったという[3]
現在(2018年時点)は普段から体調を整えるため、ヘンプパウダー(アサの実)と豆乳と甘酒とアマニ油を混ぜた特製ドリンクを、一日の始まりに欠かさず飲んでいる[3]。また、青森県産の黒にんにくを毎日朝と晩に一粒ずつ食べている[3]。
2016年頃に変形性股関節症と診断され、股関節の軟骨が完全になくなっていることが判明[3]。一時は歩行に杖が必要となったが、その後人工関節手術を受けてリハビリを経て小走りできるほどに回復したという[3]。
出演
テレビドラマ
NHK
日本テレビ
TBS
フジテレビ
テレビ朝日
テレビ東京
テレビ神奈川、TOKYO MX他
WOWOW
配信ドラマ
バラエティー番組
情報番組・ドキュメンタリー
テレビアニメ
映画
配信映画
舞台
下記の「★」は、本人が演出を手掛けた作品[2]。この欄の()内の公演年に続く名称は、外部劇団名などを表す。
- ガリレオの生涯(2000年)
- 世にも素敵なネバーエンディングストーリー(2000年)
- ペーパーマリッジ(2001年)
- 若草物語(2002年)
- 幽霊はここにいる」(2002年)
- リボン(2003年・宇宙堂)
- ダブルアルバム(2003年)★
- 花の紅天狗(2003年・劇団☆新感線) - 主演
- 真夏の夜の夢(2004年・東京グローブ座)★
- 新・明暗(2004年・二兎社)
- 猫と庄造と二人のおんな(2005年)★
- 調教師(2005年)
- SASORIIX 約束(2006年)
- しあわせのつぼ(2006年)
- りぼん(2007年・オフィス3○○)
- 片づけたい女たち(2007年・演劇ユニットグループ「る・ばる」)★
- 犬顔家の一族の陰謀~金田真一耕介之介の事件です。ノート(2007年・劇団☆新感線「2007年夏休みチャンピオン祭り」)
- 物語が、始まる(2008年・月影番外地)★
- 友達(2008年)
- 流れ姉妹 たつことかつこ 獣たちの夜(2009年・「真心一座 身も心も」)
- 来来来来来(2009年・「劇団、本谷有希子」第14回公演)
- えれがんす(2010年・「シス・カンパニー」)
- アウェーインザライフ(2010年・プロペラ犬×筋肉少女帯)
- ジェットの窓から手を振るわ(2010年・月影番外地その2)★
- ハーパー・リーガン(2010年)
- 月にぬれた手(2011年・舞台芸術学院 60周年記念公演)
- 春すぎて(2011年・「ラーニング・ラパン」第1回公演)★
- いのちを詠う-日本の現代詩から-(2011年・東日本復興支援リーディングによる舞台)
- 夜の森(2012年・虚構の旅団)★ <脚本も担当>
- 月にぬれた手(2012年・オフィス3〇〇)
- くじけまみれ(2012年・月影番外地その3)★
- 祈りと怪物~ウィルヴィルの三姉妹~(2012年)
- イーハトーボの劇列車(2013年・こまつ座第101回公演)
- 夜中に犬に起こった奇妙な事件(2014年)
- つんざき行路、されるがまま(2014年・月影番外地その4)★
- 蜜柑とユウウツ-茨木のり子異聞-(2015年・グループ「る・ばる」)
- 禁断の裸体(2015年)
- ジャガーの眼 2008(2015年・「日本の30代」)★
- 書く女(2016年・二兎社) - 樋口たき 役[28]
- どどめ雪(2016年・月影番外地その5)★
- 鯨よ!私の手に乗れ(2017年・オフィス3〇〇)
- クラウドナイン(2017年・「モチロン・プロデュース」)★
- リトル・ナイト・ミュージック(2018年)
- 海越えの花たち(2018年・てがみ座)★
- 蜜柑とユウウツ-茨木のり子異聞-(2018年・グループ「る・ばる」)
- 十二番目の天使(2019年)
- あれよとサニーは死んだのさ(2019年・月影番外地その6)★
- さるすべり〜コロナノコロ〜(2020年・オフィス3〇〇)
- 月影花之丞大逆転(2021年・劇団☆新感線41周年春興行 Yellow⚡新感線)
- 鴎外の怪談(2021年・二兎社)
- ラビット・ホール(2022年)
- 阿修羅のごとく(2022年・「モチロン・プロデュース」)★
- DEATH TAKES A HOLIDAY(2024年) - エヴァンジェリーナ 役[29]
CM
受賞歴
- 2018年
-
- 2024年
-
著書
- 『おでかけ気分 アレレッどこまで 木野花スーパーエッセイ』学陽書房 1987
- 『櫻の園-最後の楽園』 (木野花ドラマスタジオ台本シリーズ 1) Voicing 2009
- 『夜の森』 (木野花ドラマスタジオ台本シリーズ 2) Voicing, 2009
- 『喝采-旅芸人の唄』 (木野花ドラマスタジオ台本シリーズ 3) Voicing, 2009
脚注
注釈
出典
関連項目
外部リンク
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