ジュリアス・ヘンリー・“グルーチョ”・マルクス(英語: Julius Henry “Groucho” Marx、1890年10月2日 - 1977年8月19日)は、アメリカの俳優・コメディアン・作家。Marxの英語としての発音をカタカナで表記すれば「マークス」が近いが、日本では慣例で「マルクス」と表記されることが多い。愛称の英語の発音は「グラウチョウ」[ˈɡraʊtʃoʊ]になるが、日本では「グルーチョ」と表記されることが多い。マルクス兄弟の三男として、舞台活動を経て多くの映画に出演、その後のコメディに大きな影響を与えた[注 1]。ソロ活動でも成功し、クイズ番組『You Bet Your Life』を初めとしたテレビ・ラジオ番組で活躍した。
兄弟としての活動が終わったのち、喋りの才能が卓越していたグルーチョは、ラジオ番組やテレビ番組のホストとしての活躍を始めた。特にラジオ番組として1947年に始まり、テレビ番組として1950年から11年間続いたクイズ番組『You Bet Your Life』では、番組の顔として人気を博した。また、自伝『Groucho and Me』(1959年)を初めとした多くの著作も残している。その後もテレビやラジオにコンスタントに出演を続けたが、1970年代に入ると体調を崩しがちになり、1977年8月19日、ロサンゼルスにおいて肺炎で死去した。晩年の1974年には、第46回アカデミー賞において、マルクス兄弟の功績を称えるため、存命のグルーチョにアカデミー名誉賞が授与されている。
「グルーチョ」という芸名の由来にはいくつかの説明が存在する。最も一般的なものは、グルーチョがいつも不機嫌であったことから、「ブツブツ文句を言う」ことを意味する「Grouch」の名が与えられたというものである。しかし、ハーポの伝記のなかでは、旅行者などが貴重品を隠すための財布「グラウチ・バッグ」に由来していると語られているほか、グルーチョ自身はコミック・ストリップ『Knocko the Monk』にちなんでいると述べている。