『うつ病九段 プロ棋士が将棋を失くした一年間』(うつびょうくだん プロきしがしょうぎをなくしたいちねんかん)は、日本の将棋棋士・先崎学によるノンフィクション書籍。文藝春秋より2018年7月13日に刊行された。将棋界を牽引する棋士が、うつ病の発症から回復までの経緯を自ら克明に綴った闘病記[1][2][3][4]。
『うつ病九段』と題して2019年に漫画化およびラジオドラマ化、2020年にテレビドラマ化された。
あらすじ
かつて「天才」と称された将棋棋士・先崎学九段はある朝目覚めると、昨日まで正常に動作していた頭や身体に、かすかな異変を覚える。日を追うごとにそれらは一方的に悪化し、対局でも思考がまとまらず負けを重ねるばかりか、数週間のうちに日常生活を送ることも困難となった。
精神科を営む兄に診せると「うつ病だ」と告げられる。原因は将棋界に起こった騒動の仲介、将棋映画の宣伝イベントへの参加など、慌ただしい日々の中で積み重なった精神的な疲労であった。不戦敗を嫌がり入院を拒む先崎だったが、兄はうつ病の恐ろしさを先崎に話し、説得する。結果、将棋連盟に休場届を提出、入院することが決まった。ここから一年近くにわたり続くことになる闘病生活が始まる。
書誌情報
漫画
『うつ病九段』と題し河井克夫の絵でコミカライズされ、ウェブサイト「文春オンライン」にて2019年7月7日から2020年2月16日まで毎週日曜日に全25話で配信[5]、文藝春秋より2020年4月24日に刊行された[6]。
書誌情報(漫画)
『うつ病九段』先崎学(原作)、河井克夫(漫画)、文藝春秋、2020年4月24日。ISBN 978-4-16-391200-4
ラジオドラマ
『うつ病九段』のタイトルでラジオドラマ化され、NHK-FM『FMシアター』で2019年7月13日の22時から22時50分に放送、令和元年度文化庁芸術祭参加作品として同枠で同年10月19日に再放送された[7]。
キャスト(ラジオドラマ)
スタッフ(ラジオドラマ)
テレビドラマ
『うつ病九段』と題してテレビドラマ化され、「特集ドラマ」としてNHK BSプレミアムで[11]2020年12月20日に放送された[12]。主演は安田顕[13][14]。
2020年9月に東京都内近郊にて撮影[14]。
キャスト(テレビドラマ)
スタッフ(テレビドラマ)
- 原作 - 先崎学『うつ病九段』
- 作 - 小松與志子
- 音楽 - 和田貴史
- 制作統括 - 磯智明
- プロデューサー - 大杉太郎、宇佐川隆史
- 演出 - 吉田浩樹
- 医事監修 - 三村將
- 将棋指導 - 藤森哲也五段、渡辺和史四段(日本将棋連盟)
- 囲碁指導 - 桑原陽子六段(日本棋院)
- 吹奏楽指導 - 川畑真一
- 資料提供 - 日本将棋連盟、日本棋院、米長明子、映画「3月のライオン」製作委員会
- 取材協力 - うつの家族の会、みなと
- タイトル制作 - 松尾豪、タナカ
吹奏楽演奏(モーツァルト『クラリネット協奏曲』)
- 指揮: 川畑真一
- ソリスト:大川遥
- クラリネット:井山夏実 野辺かれん 亀谷有紀 田中そよ香 森みく 春田傑
- フルート:多久和怜子 杉山翼 鎌倉有里
- ファゴット:廣幡敦子 大島理恵子
- ホルン:豊田実加 豊田万紀
- コントラバス:竹岡きなり
脚注
外部リンク