R-4Dはエアロジェット・ロケットダイン社が開発し、製造している推力500N級の2液式ロケットエンジンである。
概要
アポロ宇宙船の機械船及び月着陸船の姿勢制御用途を目的として1ユニットあたり4基クラスタで開発され、アポロ計画では計469基のエンジンが飛行した。その後、静止衛星の需要増加に伴い、静止軌道投入用のアポジキックエンジンとして改良が行われた。R-4D-10がアメリカ海軍の静止軍事通信衛星LEASATに採用されたのをはじめとし、数多くの静止衛星バスに採用されており、多くの軌道投入実績をもつ。また、汎用アッパーステージIABSのメインエンジンや国際宇宙ステーションへの補給機のエンジンとしても用いられている。
2014年12月には、R-4D-15 High Performance Apogee Thruster (HiPAT)を使い、静止軌道へ投入するアポジエンジンとして100回目の成功を収めたことが発表された。R-4Dファミリーは過去50年間で100%の成功率を保持している[1]。2014年半ばまでに約850基以上が製造されている。なお、最新型のR-4D-15 HiPATはアポロ時代のR-4Dと比べると約20%性能が向上している[2]。
技術的特徴
圧送式サイクルの2液式ロケットエンジンで、燃料としてモノメチルヒドラジン(MMH)、酸化剤として一酸化窒素を3%添加した四酸化二窒素(MON-3)を採用している。
主要諸元
- 全長 : 554 mm
- 直径 : 279 mm
- 質量 : 3.76 kg
- 燃焼サイクル : 圧送式サイクル
- 推進剤 : MON-3/MMH
- 推力 : 489 N
- 比推力 : 315.5 s
- 混合比 : 1.0 - 2.4
- 燃焼圧 : 0.74 MPa
採用宇宙機
採用衛星バス
採用ロケット
関連項目
参考文献
- ^ “Aerojet Rocketdyne Celebrates 100th High Performance Apogee Thruster Flight”. Aerojet Rocketdyne. (2014年12月1日). http://www.rocket.com/article/aerojet-rocketdyne-celebrates-100th-high-performance-apogee-thruster-flight 2014年12月7日閲覧。
- ^ “Aerojet Delivers 100th HiPAT Thruster”. Aerojet Rocketdyne. (2014年6月28日). http://www.rocket.com/article/aerojet-delivers-100th-hipat-thruster 2014年12月7日閲覧。
- ^ “Aerojet Propulsion Helps Deliver Astronaut Care Packages”. Aerojet. http://www.aerojet.com/news2.php?action=fullnews&id=317 2012年4月8日閲覧。
外部リンク