L96A1
Arctic Warfare (L118A1)
L96A1 種類
軍用狙撃銃 製造国
イギリス 設計・製造
アキュラシー・インターナショナル 年代
1980年代 - 現代 仕様 種別
ボルトアクション方式 狙撃銃 銃身長
660 mm ライフリング
4条右回り 使用弾薬
装弾数
5 - 10発 作動方式
ボルトアクション 全長
1,180 mm 重量
6,500 g 銃口初速
850 m/s 有効射程
800 m(7.62mm弾)
1,500 m(.338ラプアマグナム弾)
歴史 バリエーション
アークティク・ウォーフェア(AW)
AWP(Police)
AWM(Magnum)
AWF(Folding)
AWS(Suppressed)
AWS Covert
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L96A1 は、イギリス軍 で制式採用されているボルトアクション方式 の狙撃銃 である。
概要
始めは、PM(Precision Marksman、あるいはPrecision Magazine[1] 、プロジェクティブ・マガジン[2] など)ライフルという名称で、アキュラシー・インターナショナル 社で開発された。
その後イギリス軍 での狙撃銃 トライアルに勝利、L96A1 の名で制式採用ライフルの座を手にした。さらにスウェーデン でのトライアルに対応させるためにAW(Arctic Warfare)ライフルへと改良されている。
主な軍用狙撃銃の比較
M24
SR-25
FR F2
Arctic Warfare
SVD
SV-98
画像
使用弾薬
7.62x51mm弾
7.62x51mm弾
7.62x51mm弾8.58×70mm弾 等
7.62x54mmR弾
7.62x54mmR弾 7.62x51mm弾8.58×70mm弾 等
装弾数
5発[注 1] / 10発[注 2]
5 - 20発[注 3]
10発[注 2]
5 - 10発[注 2]
10発[注 3]
銃身 長
610 mm
508 mm / 609 mm
650 mm
660 mm
620 mm
650 mm
全長
1,092 mm
1,118 mm
1,200 mm
1,180 mm
1,225 mm
1,270 mm
重量
4,400 g
4,810 g (競技仕様)
5,100 g
6,500 g
4,310 g
6,200 g
射程
800 m[注 4] 1,500 m[注 5]
600 m
800 m
800 m[注 4] 1,500 m[注 5]
800 m
1,000 m
作動方式
ボルトアクション方式
作動:ストーナー方式 閉鎖:ロータリーボルト式
ボルトアクション方式
作動:ショートストロークピストン式 閉鎖:ターンロックボルト式
ボルトアクション方式
特徴
基本的なメカニズムはボルトアクション式 小銃 であり、弾薬 は脱着式のマガジン に最大で10発まで装填可能である。
ボルトアクション式小銃 では珍しいストレート・ストック は、アルミニウム 製シャーシをベースとしており、左右2つのプラスチック 製成型パネルをシャーシにボルトで連結して一体化させている。レシーバーを含む他の全ての構成部品は、このシャーシに直接ボルトで固定されている。大型のサム・ホールを装備している。
レシーバーの特徴は、鍛造炭素鋼から削り出された、底が平らなフラットボトムアクションを、アルミニウム合金製シャーシに4本のボルトで固定すると共に、エポキシ系接着剤 で接着していることである。これは設計当時最先端のベンチレスト競技用ライフル銃の製作法を取り入れたものである。
ステンレス鋼 製の銃身 は、銃床と接触することのないようフリーフローティング構造で取り付けられている。ツイストレートは.308ウィンチェスター弾/7.62×51mm NATO弾向けには、305mm(12インチ1回転)である。この銃身と上述のシャーシ構造から、高い命中精度を実現することに成功した。
3本ずつ2列に配置された6つのボルトラグにより構成されるボルトは、60度の短いボルト操作で開放され、回転しない(固定の)外部排莢抽出機構と内部エジェクターを備えている。
2段階トリガー機構には、10 - 20ニュートン(2.2-4.4 lbf)の範囲でトリガープル重量を調整可能であり、簡単に取外し可能である。
この銃は、イギリス軍 の狙撃銃 トライアルに提出された。トライアルでは、その他のイギリス製狙撃銃や外国製の狙撃銃とも比較されたが、最も命中精度が高いと評価され、6×42シュミット&ベンター社製のスコープ とともに、イギリス軍の制式採用狙撃銃に選定されることになった。スコープはL1A1テレスコーピック・サイトと名づけられている。
バリエーション
アキュラシー・インターナショナル は、PMライフルがイギリス軍 に制式採用された後、PMライフルをベースに開発されたAWシリーズに様々なバリエーションを追加した。
AI社は、2005年に一旦倒産し再建。その際にAWシリーズは名称を変更。法執行機関向けのモデルを「AE」、.308ウィンチェスター(7.62mm×51)弾モデルや.300ウィンチェスター・マグナム弾モデルなどの旧AW/AWMを「AW」に統合、.50BMG(12.7mm×99)弾モデルを「AW50」とし、オプションや口径に応じた名称を廃止した。
2015年に後述のAXシリーズを主力商品とした結果、AWシリーズの多くは型落ちし、現在はAEの後継となるATシリーズのみが販売されている。
アークティク・ウォーフェア(Arctic Warfare)ライフル
スウェーデン軍のPSG-90
スウェーデン軍 での狙撃銃 トライアルに対応させるため、寒冷地対応改修を施したモデル。-40度での動作を可能としている。この銃はスウェーデン軍でPSG-90 、オーストラリア軍 でSR-98 として採用されている他、現在ではL118A1 (固定銃床モデル)およびL118A2 (折り畳み銃床モデル)としてイギリス軍 が採用している。.243 Winchester口径 も少数ながら生産されている。カタログ上では5.56x45mm モデルも用意できるとされていたが、実際には試作のみに終わっている。L96A1と混同されることが多いが、L96A1はArctic Warfareシリーズのライフルとストックやスコープ、バックアップアイアンサイトの形状が異なるため容易に見分ける事ができる。
全長:1,180 mm
重量:6,500 g
装弾数:10発
AWF(Folding)
スペイン陸軍のAW308
AWのストック を折りたたみ式ストックとしたモデル。イギリス軍がL118A2として、スウェーデン軍がPSG-90Bとして採用している。
AWS(Suppressed)
AWにサプレッサー 内蔵バレル を組み込んだもの。300m先で.22LR 並の音量まで低減されている。通常のバレルとは数分で交換可能。
AWS Covert
専用のスーツケース 内に秘匿できるようにしたAWS。デルタフォース やSAS が導入している。
AWP(Police)
AWP(Police)
各国の法執行機関・警察 用として24インチバレル (AWは26インチ)を取り付けたモデル。
全長:1,120 mm
重量:6,500 g
装弾数:10発
AWM(Magnum)
L115A1
AWをマグナム弾 である.300Win Mag、.338Lapua に対応させたモデル。SM(Super Magnum)は、同一モデルの旧名称である。.338Lapuaを使用するモデルをL115A1 の名でイギリス軍 が採用。2007年 11月14日 、イギリス軍は最新型のL115A3 を580丁発注した。このモデルは新型のマズルブレーキ と組み合わせたサウンド・サプレッサー の使用を標準としており、リリースされている写真は全てサプレッサーが装着されている。スコープ はシュミット&ベンダーの5-25x56スコープを特注マウントに装備。マグナム口径 の採用により、より遠距離の目標に対する命中精度の高い狙撃 が可能となった。
全長:1,23 0mm
重量:6,500 g/6,900 g
装弾数:5発
AWM-F
ドイツ連邦軍のG22
AWMのストックを折りたたみ式ストックとしたモデル。.300Win Magモデルをドイツ連邦軍がG22として、338Lapuaモデルをイギリス軍がL115A2、A3として採用している。
AW50
.50BMG弾 対応としたアンチマテリアルライフル 。フォールディングストック としたAW50F、Navy SEALs の要望で作られたセミオート式AS50も存在する。通常モデルをドイツ連邦軍 がG24の名で採用。
AICS シャーシシステム
Mk.13 MOD 5
本銃の特徴であるシャーシ・銃床は、Accuracy International Chassis System(AICS)として、レミントンM700 シリーズ等のレシーバー向けにも販売されている。アメリカ特殊作戦軍(USSOCOM)は、.300ウィンチェスターマグナム弾 を使用するMk 13 Mod 5 小銃として、Remington 700/M24用レシーバーの「ロングアクション」ボルトにAICSの折り畳み銃床モデルを組み合わせて使用している。米海兵隊も2018年4月から同様の構成のMk 13 Mod 7 によりM40狙撃銃を置き換えている。
AT(Accuracy Tactical)シリーズ
AT(Accuracy Tactical)モデルは、軍事用途向けのより高価なAXシリーズよりも安価な代替品として2014年に導入された。ATは法執行機関および民間での使用を目的としている。AT狙撃銃はAW狙撃銃の遺産を引き継いでおり、AWシリーズの法執行機関向けモデルのAE(Accuracy Enforcement)狙撃銃の改良版である。
AT308
AT308は、7.62×51mm NATO弾/.308ウィンチェスター弾を使用する、手動式のボルトアクション式狙撃銃である。1列3本のラグを2列に配置された6つのロッキングラグをボルトヘッドに備えた回転ボルト、アルミ合金製シャーシを備えたポリマー製銃床、スチール製の頑丈な平底レシーバー、等が特徴である。20インチ、24インチ銃身は先端部の取付ネジ無しのプレーンな銃身または取付ネジ付き銃身が選択でき、26インチ銃身は取付ネジ付き銃身のみとなる。AI(Accuracy International)マズルブレーキ(オプション)、取外し可能なサプレッサーが用意される。弾倉は取外し可能な10発弾倉である。1.5-2 kgのトリガー重量に調整可能な2段階トリガーを装備する。
レシーバー上部に統合ピカティニー(Mil-Std 1913)レールがあり、様々な光学スコープが取り付けられる。また様々なアクセサリを取付けるために、追加のアクセサリレールを前部銃床に簡単にボルトで留めることができる。標準の後部銃床はポリマー製で、完全に調整可能なチークピースとバットパッドを備えている。左に折り畳む折り畳み式後部銃床も利用可能である。
AT AICS シャーシシステム
ATシリーズのAccuracy International Chassis System(AICS)のシャーシ・銃床は、Remington 700のショートおよびロングボルトアクションベースの小銃、Savage M10ショートアクション、Tikka T3ショートアクションの小銃にも使用できる。
AXシリーズ
Accuracy International社のAX長射程狙撃銃シリーズは、全長の長い強力なスーパーマグナム弾 用に設計され、2010年1月にSHOT Show トレードショーで発表された。これは、AWシリーズのAWMモデルに基づく主要な設計の進化であり、Accuracy International社によれば、その開発はUS Special Operations Command solicitation(USSCOM)が募集したPrecision Sniper Rifle(PSR)計画により促された部分もあるとされている。PSR契約は、レミントン・アームズ社のモジュラースナイパーライフルが2013年に契約を獲得した。
AXシリーズは、.338ラプアマグナム弾、.300ウィンチェスターマグナム弾、および7.62×51mm NATO弾/.308ウィンチェスター弾のいずれかを使用し、銃身、ボルト、弾倉/弾倉変更器具を交換するだけで数分で再構成できるマルチ口径の狙撃銃であるAXMCが主要製品である。更にAXシリーズは非マルチ口径の製品として、7.62×51mm NATO弾/.308ウィンチェスター弾を使用するAX308と、.50 BMG弾を使用するAX50で構成されている。
AXMC
オランダ軍の.338仕様のAXMC
AXMCマルチ口径狙撃銃は、.338ラプアマグナム弾、.300ウィンチェスターマグナム弾、7.62×51mm NATO弾/.308ウィンチェスター弾のいずれかを使用する。AW狙撃銃シリーズと互換性のない寸法の部品が特徴である。AXMC口径変換キットを使用すると、AXMCはボルト、弾倉、銃身を交換することにより、数分で使用弾薬を変更できる。7.62×51mm NATO弾に変換する場合、AX308用弾倉を使用できるように、追加の弾倉変更器具も弾倉装着口内に取付ける必要がある。各口径のシステムに対し単一の撃針とそれを格納する構成部品が用意されているため、変換手順の一部として、必要なボルト構成部品に撃針構成部品を取り付ける必要がある。
AWMと比較して、AXMCのボルト動作はより長くより幅広く、内部弾倉も長くされているため、CIP(Permanent International Commission for the Proof of Firearms Portable)に最長93.50mm(3.681インチ)と定義された.338ラプアマグナム弾を問題なく使用できる。
AXMCのボルトは直径22 mm(0.87インチ)で、ボルト、ボルトヘッド、ロッキングラグ、銃身側の結合部の構造は、非常に堅牢であり、AWMモデルと比較してより安全に、薬室の高い圧力と温度、ボルトへの高い後退圧力を扱えるように設計されている。ボルトの構造が大幅に変更され、ボルトを現場で手動で取外すことができるようになり、ボルト本体からボルトヘッドを取外すというより複雑な作業を単純な手動工具を使用して行うことができる。口径の変更は、ボルト構成部品全体または口径固有のボルトスリーブを変更することでも実現できるが、より大作業となる。ボルトの内部には、ボルトが部分的にしか閉じていない状態で発砲するのを防ぐ新しい安全機能が追加されている。改良された板バネ状のAW 7.62モデル型の抽出器は、一連のボルト動作の信頼性を向上させるはずである。この抽出器は、弾丸先端を使って着脱可能である。
銃身の取付用のねじ山の直径は大きくなり、AXMC専用のものである。本銃には、長さ27インチ(686mm)、.338インチ(8.6mm)口径のフローティング構造で溝付きの銃身が標準として取付けられている。AXMCの銃身には、従来型ではない238 mm(9.375インチ1回転)のツイストレートのライフリング があり、21世紀に入りより一般的になった。これにより、より長く重い.338口径の極低抵抗力設計の弾丸を適切に安定させる。他の長さ、口径およびツイストレートの銃身はオプションとして利用できる。
2段トリガーには、0.5インチ(13mm)だけ前後に移動できる新しいトリガーシューがあり、15 - 20ニュートン(3.4-4.5 lbf)の範囲でトリガープルを調整可能である。AXMCは、変更された弾倉装着口に挿入される新しい.338ラプアマグナム弾用の10発ダブルカラム(2列重ね)鉄製弾倉を使用する。
さらにAXMCは、フリーフローティング銃身を包むように八角形状をした前部銃床を備えた改訂された外部シャーシストックシステムを備えている。前部銃床の4面にはMIL-STD 1913ピカティニーアクセサリーレールが装備されモジュール式取付けポイントを提供している。八角形状の前部銃床およびピカティニーアクセサリレールには幾つかの長さの選択肢が用意されている。レシーバーの上部には、照準光学系を取付けるためのMIL-STD 1913ピカティニーレールが装備されている。AXMCには、30 MOAの前方に傾斜した光学レールがあり、超長距離射撃に最適化されている。折り畳み式後部銃床には、オプションのバットスパイクを取り付けることができる。厚い衣類や防護服を着用する場合の使用を容易にするために、AICSの銃床と比べて銃床を更に短く調整するのを可能とした。後部銃床には、標準で左右と高さを調整可能なチークピースがあり、オプションでクイック調整可能なチークピースを取付けることもできる。チークピースには、様々な調整、取外し、および(再)取付け手順に使用される4mmの六角レンチが収納されている。ピストルグリップには様々なサイズのバックストラップを取付けることができ、またピストルグリップと可動式のトリガーシューと組み合わせると、引金を個々の射手に合わせて調整できる。
AX308
AX308
AX308は、7.62×51mm NATO弾だけを使用する独立モデル。7.62×51mm NATO弾/.308ウィンチェスター弾を使用し、20mm(0.79インチ)のボルト径を備えた、より短いボルトアクション(ショートアクション)機構を備えている。AX308には、長距離射撃用に最適化された20 MOAの前方傾斜光学レールがある。
AX50
AX50は、AW50を置き換える.50 BMG(12.7×99mm NATO)弾を使用する対物狙撃銃の独立モデル。ボルトの直径が30 mm(1.18インチ)で、大きく長いボルトアクション機構を備えている。
AX AICS シャーシシステム
AXシリーズのAccuracy International Chassis System(AICS)のシャーシ・銃床は、Remington 700のショートおよびロングボルトアクションベースの小銃にも使用できる。
使用国
登場作品
脚注
注釈
出典
^ 『Precision Shooting』誌、1997年1月号(Vol.42 No.9)
^ 『月刊アームズ・マガジン』1992年10月号(No.52)
^ 『SATマガジン』2009年1月号
関連項目
外部リンク