2014年欧州議会議員選挙
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2014年欧州議会議員選挙(2014ねんおうしゅうぎかいぎいんせんきょ)は、2014年5月22日から25日にかけて欧州連合加盟28か国で行なわれた、751人の欧州議会議員を選出する選挙である。1979年に初めての選挙が行われて以来、直接選挙によって議員を選出するのは8回目。欧州議会の政治会派の多くが欧州委員会委員長候補を立てて戦った初めての選挙でもあった。
背景
EU各国では、2009年にギリシャから始まった欧州債務危機の影響を受けて不況が続いている。それに関連して、各国では財政緊縮策やギリシャへの財政支援などをめぐってEUに対する不満が高まり、欧州懐疑主義が台頭してきた。欧州議会選挙においても、欧州懐疑主義を掲げる極右政党などが勢力を伸ばすと見られた。事前の世論調査では、選挙前の第1党である欧州人民党が議席を大きく減らし、無所属を含む反EU勢力が議席を増やすと予想された[2]。
また、今回はリスボン条約の下で行われる最初の欧州議会選挙であった。同条約では、欧州理事会が次期欧州委員会委員長を提案する際、選挙結果を考慮するよう定められており、主要な会派は委員長候補を立てて選挙に臨んだ。
欧州人民党グループは前ルクセンブルク首相のジャン=クロード・ユンケル、社会民主進歩同盟は欧州議会議長でドイツ人のマルティン・シュルツ、欧州自由民主同盟は元ベルギー首相のヒー・フェルホフスタットを、それぞれ候補に立てた。欧州緑グループ・欧州自由連盟はドイツ人のフランジスカ・マリア・ケラーとフランス人のジョゼ・ボヴェの2人を候補とした。欧州統一左派・北方緑の左派同盟はギリシャ人のアレクシス・ツィプラスを立てた[3]。
選挙制度
今回の選挙は初めてリスボン条約で改められた規程によって行われた。総議席数は751であり、おおむね人口に比例して各国に配分される。比例代表制など、基本的な原則は定められているが、詳細については各国が自由に定めることができる。また、一部の国では義務投票制を採用している。
選挙日程
2009年までの選挙は基本的に6月上旬に行われていたが、今回は5月下旬に実施された。これはキリスト教の祭日である聖霊降臨祭の週末を避けるためであるほか、選挙後に行われる欧州委員会委員長人事に時間的余裕を持たせるためでもあるとされている[4]。
結果
選挙前から指摘されていた通り、欧州懐疑派とされる政党が躍進した。フランスでは国民戦線が23議席を獲得し、第1党となった。一方、世論調査で優勢が伝えられていたオランダの自由党は4議席に留まった[5]。
選挙前最大会派の欧州人民党グループとそれに次ぐ勢力であった社会民主進歩同盟は、選挙後もその地位を守った。しかし、欧州人民党グループは大幅に議席を減らした。
全体の投票率は42.54%で、前回に比べ0.46%下がった。選挙直後の速報値では初めて投票率が前回を上回ると見られていたが、今回も過去最低を記録した[6]。
詳細な結果は以下の通り。なお、各党の所属会派は選挙後の再編を経たものである。
選挙後の会派の再編
選挙から議会が召集されるまでの間に、一部の政党は他の会派に移ったり、新たに会派に加入する。今回の選挙後にもそのような会派の再編が見られた。
主な変化としては、
等が挙げられる。
選挙後の再編の結果、新たな議会を構成する各会派の議員数は最終的に以下の通りとなった。
次期欧州委員会
2014年6月27日に開かれた欧州理事会は、2014年10月末に任期が切れるバローゾ欧州委員会委員長の後任として、選挙で最大会派となった欧州人民党グループの委員長候補、ジャン=クロード・ユンケルを指名した[41]。
ユンケルの指名にはイギリスなどが強く反対し、初めて採決によって指名が決められた。イギリスのキャメロン首相とハンガリーのオルバーン首相が反対票を投じたが、26対2でユンケルが指名された[42]。
続いて、欧州議会は7月15日に次期委員長の選出を行い、賛成422名、反対250名、棄権47名でユンケルを次期委員長とする人事案を承認した[43]。
脚注