鳥居 啓子(とりい けいこ、1965年[3] - )は、日本の植物学者。専門は植物発生遺伝学。学位は、博士(理学)[4]。テキサス大学オースティン校分子細胞生物部教授(ジョンソン・エンド・ジョンソンセンテニアル冠教授)[5]。
テキサス大学オースティン校を拠点に植物の発生メカニズムを研究している。名古屋大学トランスフォーマティブ生命分子研究所の海外研究室主催者(PI)および生命理学研究科の客員教授を兼任する。ハワード・ヒューズ医学研究所の日本人正研究員(インベスティゲーター)[6]である。日本とアメリカで研究室を主宰、生物学と有機化学の橋渡し研究をしている[7]。女性研究者としての啓蒙活動も実施している[8][9][10][11][12]。
植物の形態形成、発生パターン形成の専門家であり、植物細胞は受容体キナーゼと呼ばれるシグナル伝達因子を用いて生長することを報告した。さらには遺伝学的・分子生物学的解析によって、植物の表皮において気孔が分化する分子メカニズムを明らかにした[13]。
東京大学の米田好文研究室では、ERECTAが植物において報告のなかった受容体型キナーゼであると報告した。[13]。受容体型キナーゼはペプチドホルモンを受け取るとされ、それが植物の成長や形態形成に関わると報告した。[13]。ワシントン大学の研究室では気孔の研究へ進み、ERECTA遺伝子に配列の似た2つの遺伝子があり、3つが揃って変異すると気孔の数と分布が制御できなくなると発表した[14]。
また、気孔ができない場合、気孔をつくる幹細胞の発生が停止しており、その原因となる遺伝子を見つけて「ミュート」(mute)と名づけ、報告した[15]。
鳥居の研究は科学技術庁のほか、アメリカの農務省、エネルギー省ならびに米国科学財団の助成を受けている[16]。
東京都杉並区荻窪生まれ、神奈川県横浜市戸塚区育ち[32]。中学2年生の時に父の仕事の関係でアメリカに渡り、高校卒業までをニューヨークで過ごす[33]。
夫は理論物理学者のアンドレアス・カーチ[34]。娘が2人いる[34]。
祖父は三井石油化学社長・石油化学工業協会会長を務めた鳥居保治[35]。叔父はフランス文学者の清水徹。大伯父(父方の祖母の兄)に、神経繊維における跳躍伝導の発見者である生理学者の田崎一二と、同じく生理学者の田崎京二がいる。物理学者の田崎晴明は再従兄[36]。