『行き止まりの挽歌』(ゆきどまりのばんか)は、栗本薫のハードボイルド小説。
新宿西署のはみ出し者の刑事・梶竜介と、天性の妖婦とも云うべき美少女・沢野未来との奇妙な交情を描く物語。
初出は『野性時代』1981年5月号。全編が一挙掲載されたのち、同年8月31日に角川書店から単行本(ISBN 4-04-872312-X)が刊行された。のち、1983年7月10日に角川文庫版(ISBN 4-04-150004-4)が刊行されている。表紙はともに福田隆義が担当している。
本書を原作とした映画が1988年に製作された。
深夜の新宿で、一人の男が刺殺された。事件を担当することになった刑事・梶は、被害者の特徴からバンドマンであるとあたりをつけ、捜査を開始した。ほどなく被害者の身元を突き止めた彼は、被害者が働いていたクラブで一人の美少女と出会った。暴走族「ブラッド」の一員であるその少女、沢野未来が事件の犯人であると直感した梶は、同僚の西村とともに沢野を取り調べた。
だが沢野にはアリバイがあり、ほどなく釈放された。それでも梶は沢野が犯人であるとの主張を崩さず、一人執拗に沢野を追った。沢野に対し、卑劣な暴力まで振るって自白を迫る梶だったが、沢野は頑として口を割ることはなかった。
やがて、梶の捜査が新たな殺人を生むこととなり、さらに梶の知らぬところでも同僚の身辺に不穏な影がちらつき始め、梶は次第に窮地に追い込まれていった。そしてついに梶は、上司から捜査から外れるよう命じられた。それに激しく反発した梶は、西村の目の前で驚くべき行動に出るのであった。
にっかつ製作により『行き止まりの挽歌 ブレイクアウト』のタイトルで映画化され、シネ・ロッポニカ配給で1988年7月30日に全国公開された。主演は藤竜也、監督は村川透が務めており、藤・村川共に1972年を最後に日活退社以来16年ぶりの古巣復帰作となった。本編中ではディスコシーンなどの現実音楽やエンディング曲を除き、BGMが一切用いられていない。
併映は『ころがし涼太 激突!モンスターバス』。
ほか