美郷町(みさとちょう)は、秋田県の仙北郡にある町(地方公共団体)。
概要
郡南東部の千畑町(せんはたまち)、六郷町(ろくごうまち)、仙南村(せんなんむら)の3町村合併により、2004年(平成16年)11月1日に発足した。美郷町は秋田県内の平成の大合併の第1号である。住所表記は「秋田県仙北郡美郷町○○」(○○は旧町村から引き継いだ大字)となり、合併前の町村名は記さない[注釈 1]。
合併以降、旧町村庁舎3つに町役場機能を分散した分庁舎方式を採用し、町長室がある六郷庁舎を本庁舎扱いにしていたが、2010年(平成22年)1月4日より千畑庁舎(旧:千畑町役場)に機能を集約して本庁舎とした。
地理
横手盆地の東部にあって、町の東側は奥羽山脈の山々が連なる。丸子川やその支流が形成する六郷扇状地・千屋扇状地に位置し、町内各所で地下水が自噴する。とくに六郷扇状地扇端部は美郷町六郷として「水の郷百選」に選定されている[1]。
人口
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美郷町と全国の年齢別人口分布(2005年)
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美郷町の年齢・男女別人口分布(2005年)
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■紫色 ― 美郷町 ■緑色 ― 日本全国
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■青色 ― 男性 ■赤色 ― 女性
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美郷町(に相当する地域)の人口の推移
1970年(昭和45年)
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27,981人
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1975年(昭和50年)
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26,623人
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1980年(昭和55年)
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26,356人
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1985年(昭和60年)
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26,358人
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1990年(平成2年)
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25,987人
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1995年(平成7年)
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25,232人
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2000年(平成12年)
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24,207人
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2005年(平成17年)
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23,038人
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2010年(平成22年)
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21,674人
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2015年(平成27年)
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20,279人
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2020年(令和2年)
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18,613人
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総務省統計局 国勢調査より
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歴史
明治期の沿革
- 1876年(明治9年)
- 六郷高野村・六郷本館村・六郷川内池村が合併して六郷村が発足。
- 金沢前郷村・金沢寺田村と六郷東根村の一部が合併して金沢村(現美郷町域)が発足。
- 金沢中野村と金沢中野新田村が合併して金沢中野村(現横手市)が発足。
- 1889年(明治22年)4月1日 - 町村制施行。
- 千屋村、小荒川村、土崎村、黒沢村、浪花村、本堂城廻村が合併して千屋村が発足。
- 畑屋村、安城寺村、鑓田村、羽貫谷地村、金沢東根村、中野村が合併して畑屋村が発足。
- 六郷村、野中村、六郷東根村が合併して六郷村が発足。
- 金沢村、野荒町村、金沢本町村、金沢中野村、安本村が合併して金沢村が発足。
- 飯詰村、佐野村、天神堂村、境田村、上深井村、南町村が合併して飯詰村が発足。
- 金沢西根村は単独立村。
- 1891年(明治24年)- 六郷村が町制施行し六郷町となる。
- 1897年(明治30年)8月31日 - 金沢村が町制施行し金沢町となる。
昭和期の沿革
なお、合併前の3町村の概要は以下の通りである(人口・世帯数は平成12年国勢調査による)[2]。
町村 |
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面積 |
人口 |
人口密度 |
世帯数 |
世帯あたり人口 |
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町村長
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千畑町 |
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87.58km2 |
8,540人 |
97.5人/km2 |
2,118世帯 |
1世帯4.03人 |
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藤嶋長右エ門
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六郷町 |
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39.06km2 |
7,286人 |
186.5人/km2 |
2,151世帯 |
1世帯3.39人 |
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坂本茂弘
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仙南村 |
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41.16km2 |
8,381人 |
203.6人/km2 |
2,028世帯 |
1世帯4.13人 |
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松田知己
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合併後 |
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167.80km2 |
24,207人 |
144,3人/km2 |
6,297世帯 |
1世帯3.84人 |
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平成の大合併
2005年に行われた合併記念式典では、功労者表彰および松田知己町長・後松一成町議会議長・寺田典城秋田県知事からの祝辞があった。記念行事として小中学生による発表やタイムカプセルの作成があり、町の木・花・鳥・魚の発表があった。ブラボー中谷(マジシャン)・加藤忍(競輪選手)・華王錦武志(大相撲力士)からのビデオメッセージの放映があった。その後台湾花蓮県瑞穂郷との友好交流に関する協定書調印がおこなわれ、式典終了後、讀賣新聞特別編集委員橋本五郎(秋田県山本郡琴丘町(現・三種町出身)の講演があった[2]。
政治
行政
町長
- 歴代町長
- 職務執行者:藤島長右エ門(旧:千畑町町長) - 合併後に町長選に出馬表明したため、選挙告示後に職務執行者を失職した。
- 初代:松田知己(旧:仙南村村長) - 5期目
町庁舎
- 美郷町役場(旧千畑町役場)
- 中央行政センター(旧六郷町役場)
- 南行政センター(旧仙南村役場)
対外関係
姉妹都市・提携都市
国内
- 提携都市
-
海外
- 提携都市
-
経済
農林業
豊かな水と夏季の温暖な気候にめぐまれ、扇状地扇端部や後背湿地を中心に古来米づくりを中心とする農業が発達してきた[5]。かつては、水の得にくい扇状地扇央部を中心に養蚕・畑作・馬産もみられ、広大な落葉樹林を利用した製炭業やスギなどの林業もさかんであったが、戦後の田沢疏水の開通によって扇央部も水田化が進み、農家の経営規模は拡大した。今日では天狗森丘陵で和牛の飼育、金沢地区・飯詰地区でリンゴの栽培もさかんである[5]。
工業
名水と秋田米を利用した日本酒醸造業が古くから盛んだった。享保年間には、六郷川内池・高野500軒中19軒の酒屋があり、タガ屋が15軒あったと記録されている[6]。今日ではサイダーなど清涼飲料水の生産も行われている[5]。
金融機関
指定金融機関は秋田銀行と北都銀行の輪番制。
郵便局
- 六郷郵便局
- 千屋郵便局
- 仙南郵便局
- 飯詰駅前郵便局
- 畑屋郵便局
教育
小学校を旧町村あたり1校に統合する方針のもと、旧六郷・千畑の両町については、旧六郷・千屋の両小学校の校舎を、旧仙南村については、建築時期が比較的新しく学区の中心にある仙南中学校の廃校後の校舎を利用して、改修の上で小学校に転用することとした。名称は旧町村名を附して「六郷小学校」「千畑小学校」「仙南小学校」とすることとした。また、六郷中・千畑中・仙南中の統合中学校については、旧六郷中学校の校舎を増改築して「美郷中学校」とすることとした。
これにより、2010年(平成22年)4月1日に旧六郷小学校跡地へ旧六郷小と旧六郷東根小の統合校である「美郷町立六郷小学校」が開校した。つづいて2012年(平成24年)4月1日、統合中学校「美郷町立美郷中学校」が開校した。翌2013年(平成25年)4月、千屋小学校・千畑南小学校を統合して「美郷町立千畑小学校」が、仙南東小学校・仙南西小学校・金沢小学校を統合して「美郷町立仙南小学校」が発足した。
畑屋地区に所在する千畑南小学校の廃校舎は「美郷町歴史民俗資料館・佐々木毅記念室」として、また飯詰地区に所在する仙南東小学校の廃校舎は「美郷町宿泊交流館ワクアス」として再生利用することとし、それぞれ2015年(平成27年)に開館した。六郷東根地区の六郷東根小学校、金沢地区の金沢小学校、金沢西根地区の仙南西小学校の廃校舎は、民間企業に貸し出し、大同衣料のストックヤード、三共光学工業秋田事務所、ENEXの農産物生産試験場として利用された[7]。
交通
鉄道路線
路線バス
道路
観光
名所
史跡
先史・古代
中世
- 本堂城(室町時代・戦国時代、県指定史跡)
- 六郷城(室町時代・戦国時代)
- 飯詰城(室町時代・戦国時代)
近世
近現代
天然記念物
百選・百景
観光スポット
- 観光施設・文化体育施設
文化・名物
祭事・催事
名物
出身・関連著名人
政治家
文化人
経済人
医師、教育者
- 藤井玄淵(不詳-1827、出羽国久保田藩藩医。龍角散創始者) - 六郷東根出身
- 藤井玄信(不詳-1844、久保田藩藩医) - 六郷東根出身
- 熊谷松陰(1823-1905、国学者、教育者) - 六郷村出身
- 藤井帰一郎(1860-1942、教育者) - 内小友村(大仙市)出身、六郷町に居住
- 高橋午山(1865-1929、漢詩人、医師) - 畑屋村出身
- 藤井新八郎(1875-1948、医者) - 六郷町出身
- 熊谷カウ(1884-1966、教育者) - 六郷町出身
- 月輪賢隆(1888-1969、仏教研究家) - 金沢村出身
- 栗林治郎作(1892-1967、郷土史家) - 六郷町出身
- 栗林新一郎(1906-1983、教育者、郷土史家) - 六郷町出身
- 佐々木毅(1942-、政治学者) - 千屋村出身
- 照井日出喜 (1950-, 社会学者) -千屋村出身
スポーツ
歴史上の人物
マスコットキャラクター
関連作品
- わらび座ミュージカル『龍角散Presents・ゴホン!といえば』(2022年、脚本・演出:マキノノゾミ[14])
脚注
注釈
- ^ 新住所にも「美郷町六郷」があるが、これは六郷町に由来するものではなく、六郷町の大字であった六郷を引き継いだものである。
- ^ 「名水百選」は1985年(昭和60年)に環境庁、「水の郷百選」は1995年(平成7年)に国土庁、「甦る水百選」は2000年(平成12年)に建設省(建設大臣)による認定である。
- ^ 「水源の森百選」は1995年(平成7年)に林野庁によって選定された。
- ^ 「ため池百選」は2010年(平成22年)に農林水産省によって選定された。秋田県では、他に能代市の小友沼が選ばれている。
- ^ 「新・日本街路樹百景」は、読売新聞社が創刊120年を記念し、1994年(平成6年)に選定した街路樹の景観に優れた場所100ヶ所であり、秋田県では他に、仙北市角館町の「武家屋敷通り」が選ばれている。
出典
参考文献
- 「角川日本地名大辞典」編纂委員会(編集) 編『角川日本地名大辞典 5 秋田県』角川書店、1980年3月。ISBN 4040010507。
- 六郷町史編纂委員会(編纂) 編『六郷町史 上巻(通史編)』六郷町、1991年6月。
- 鐘はかたり清水はささやく、六郷町教育委員会(秋田県)、2004年
外部リンク