『美女と竹林』(びじょとちくりん)は、森見登美彦による連作エッセイ。
本作は著者初のエッセイで、同僚の鍵屋さんの実家が所有する竹林を、竹林経営を目的に伐採させてほしいと登美彦氏(著者)が盟友・明石氏と竹林に挑み、その過程で膨らむ妄想、浮かび上がる回想が虚実ないまぜで綴られている。また、エッセイ連載時に手掛けていた小説や『夜は短し歩けよ乙女』で山本周五郎賞を受賞したことにも触れられており、当時の作家生活の一端を垣間見ることが出来る。
『小説宝石』(光文社)2007年1月号から2008年1月号、2008年3月号から6月号に連載され、2008年8月21日に同社から単行本が刊行された。
2010年12月9日には特典として連載の後日談「竹林ふたたび」が収録された光文社文庫版が刊行され[1]、2019年7月1日より開催された光文社の文庫本キャンペーン「乃木坂文庫2019夏 青春&ミステリー」では、秋元真夏が起用された特別装丁の文庫本が刊行されている[2][3]。
注目すべき点は、エッセイでありながら三人称で語られていることで、著者が第三者の視点で自分自身について語る手法がとられている[4]。この手法は、元々は著者のブログで使われていたものである。
著者の森見は子供のころから父親に連れられてタケノコ掘りに行き[5]、大学時代も研究室で竹を研究テーマにするなど[6]竹林に親しみがあり、偶然、同僚[注 1]の実家が竹林を所有していると聞いたことが本作執筆のきっかけとなった[4]。さらに、連載という形を取ることで真面目に竹林へ通う動機づけになるとも考えていた[4]。
『美女と竹林』というタイトルは当初、竹林だけでは注目を集めにくいと考え、意外性を持たせるのに「美女」を加えたもので[4]、タイトルには「美女と竹林は等価交換関係にある」という意味が込められている[5]。森見は竹林の魅力はその人工的な構造や宇宙的な雰囲気にあると考える[4]。
エッセイには竹林経営を作家として行き詰まったときの選択肢として考えていると書かれているが、実際には本格的に取り組む余裕はなく[4]、竹林伐採の描写には実体験が反映されているが、作中に登場する「MBC(モリミ・バンブー・カンパニー)」の描写はフィクションで、多角経営プランは未定であるとインタビューに答えている[4]。また、作中に自身が登美彦氏として登場するのは、読者に自身を客観的に見せるための工夫で、実際の森見登美彦とは異なるキャラクターにしている[4]。
美女と竹林 光文社文庫
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