神学部(しんがくぶ)は、神学(英語:Theology ドイツ語:Theologie)の研究・教育を行う日本では主に学士課程の4年制学部である。なお、神学校あるいは神学大学院も同様の機関であるが、とくに米国では学士課程の神学部は稀で、ほとんどが大学院(Divinity School)[1]であり、神学校(Seminary)[2]も大学院課程である。なお、後述の通り、神学部は本来聖職者・教職者を養成する目的の高等教育機関であった。
日本においては、「神学」が慣習上キリスト教神学を指すことが多いため、「神学部」もキリスト教神学の研究・教育を行う学部を意味することが多い。しかし一般的には、キリスト教以外の宗教学も学問対象として含むことがある。実際、欧米の大学や、日本の一部の大学の中には、イスラム教・ヒンドゥー教・ユダヤ教などの他宗教をも、神学部で講じている大学は存在する。
キリスト教を学ぶ学部としての神学部における具体的なカリキュラムには、旧約・新約聖書に関する聖書学、聖書をより正確に読解するための語学(ヘブライ語・ギリシャ語)、教会史、教義学(教理学)、宗教哲学、歴史神学、実践神学、そして組織神学などが含まれる。大学・学部によって、キリスト教会の牧師や司祭など、神学校として宗教家の養成を主な使命とするものと、教養・知識としての神学(あるいはキリスト教学)教育を並行して行うものとに分かれる。後者の大学では、キリスト教信者以外の者にも門戸を開いている。
大学の歴史をみると、中世ヨーロッパの大学の中にはもともと修道院や教会が、設立母体となって誕生したものがある。そうした大学においては、哲学(自由七科)を修めた者がさらに学ぶ科目が、法学・医学と並び神学であったため、神学部は最も古くからある学部の一つといえる。ドイツ語圏の伝統的な大学の多くには神学部が置かれ、聖職者や宗教科目教員が養成されている。原則的には設置されている地元州の教職者を養成しているが、テュービンゲン大学 福音主義神学部のように学術的名声と人気を兼ね備えてドイツ語圏全域から多くの学生を集めている神学部もある。
戦前の旧制大学では独立した神学部を設置することは認められておらず[3]、わずかに同志社大学が文学部神学科、立教大学が文学部宗教学科、関西学院大学が法文学部文学科宗教学専攻を設置するにとどまった。戦後の旧学制の終末期(1947年)に設立された同志社大学神学部が日本における大学神学部の嚆矢である。
他に、学部ではないが、国際基督教大学、立教大学、南山大学、清泉女子大学、東京女子大学、ルーテル学院大学、神戸女学院大学などには学科として神学科やキリスト教学科、もしくはそれに準じるコース、副専攻制度等がある。
京都大学文学部・大学院文学研究科には、日本の国公立大学で唯一、キリスト教学研究室が存在し、キリスト教神学の研究が行われている[5]。
ドイツの国立大学には50以上の神学部(Theologische Fakultät)が存在する。以下、主要な神学部。
他にもアメリカやイギリス(例:オックスフォード大学 神学・宗教学部)、オランダ、イタリアや北欧などの国々に、神学部を擁する教育・研究機関、大学・大学院は数多く存在する。