日向 敏文(ひなた としふみ、1955年2月23日 - )は、東京都大田区出身の作曲家、ピアニスト。
弟は音楽プロデューサー、作曲家、キーボーディストの日向大介[3]。
プロフィール
幼稚園からヤマハオルガン教室に通ったのち、ピアノ教室に移行し高校を卒業するまでレッスンを受けていた。ピアノを習っていた一方、高校生の頃にローリング・ストーンズなどの洋楽ロックに没入し、デルタ・ブルースも聴いていた影響で、ブルースにも関心を持つようにもなったという[4]。
学習院高等科卒業後に渡英。ユースホステルに滞在しながらオートバイ会社でアルバイトするも帰国[5]。その後、アメリカのノースランド大学に環境学を勉強するために留学する[4]。
ウィスコンシン州のバーでバークリー音楽大学にトランペットを演奏しているミュージシャンとブルースバンドを結成し、キーボードを担当した。そのバンドのメンバーから勧誘されたことがきっかけで、1976年にバークリーへ転校し、2年間ジャズを中心に学修するが、1978年にミネソタ大学ツインシティー校に転校。そこで4年間クラシックピアノを専攻し、音楽理論や作曲を勉強した[4]。
ミネソタ大学ツインシティー校を卒業後は、実弟である日向大介と共同で、東京に個人事務所「AVR Corporation」及びレコーディングスタジオ「STUDIO AVR」を設立[6][7]。
ミネソタ州を活動拠点に音楽活動を開始し、1985年にアルファレコードからアルバム『サラの犯罪』でデビュー[3]。中山美穂や、Le Coupleをはじめ、松たか子、KOKIA、竹内結子、ダイアナ・ロス等の楽曲提供や、楽曲プロデュース、テレビドラマ『東京ラブストーリー』『愛という名のもとに』『ひとつ屋根の下』などの劇伴も手がけている。
2021年に、アルファミュージックからリリースされたアルバムの配信がソニー・ミュージックダイレクトより開始され、1986年に発表した『ひとつぶの海』に収録されている「Reflections」は、Spotifyの再生回数が2021年11月時点で2,280万回を記録し[8]、配信開始2か月で700万回再生を達成した[9]。
2022年、2009年に発表したオリジナルアルバム『いつかどこかで』以来、13年ぶりとなる作品『Angels in Dystopia Nocturnes & Preludes』が7月27日にリリースされた[10]。
作風
基本的に大げさなアレンジを嫌い、「劇的な間奏で盛り上げる」「バックトラックを目立たせる」という演出を使用しない。その方針について、藤田恵美からは「歌を一番大切に考えている」と信頼を示している[11]。
音色にこだわってしまう性分で、音色の研究に1日7~8時間かけてしまうこともある。そのため、作曲作業と並行しないで切り離して行う時間を作る[12]。
コンピューターを駆使しての音楽作りに対しては「全てを自分の手中に収められるから、コントロールが効く」と肯定的に捉えている。反面、「スタジオミュージシャンが自分の思い通りにプレイしてくれるのか」という答えのない疑問に必ず立ち会うため、なるべく機械的にならないようにしている[12]。
制作姿勢
オリジナルアルバムは、「1人のミュージシャンがアルバムを作る」と言うロマンティックな過程がある。「この曲はこうイメージしているから、こうしたいんだ」「自分はこういうアーティストだから、こういう雰囲気でいく」というのがある[6]。
オリジナルアルバムの理想は「たまたま作っていた曲が良い形で集まってきて、1つのまとまったテーマの固まりを持った状態。出来れば期間も長い区切りが無い方がいい」を目標としている[12]。
サウンドトラックは、「こういうドラマにするから、こういう曲を作って欲しい」「こういう場面があるから、こういう雰囲気のある曲を作って欲しい」というリクエストを短い締め切りを守りながら取り組む。演出家も人間だから、制作過程で気が変わると同時に、注文も変わっていき、最初に作ってあったメロディ・雰囲気を全て変えなきゃいけない時もある。例えば「ヴァイオリンのパートをサックスのパートにして欲しい」と言われた時にすぐ対応できる様に「どちらでも合いそうなメロディにする」「他の楽器の音色では合わない曲は、最初から作らない」と対策をたてる[6]。特にテレビドラマは「メインキャラクターが中心に動いていく世界」と捉えており、それに演出家・プロデューサーが『どういうドラマにしたいか』という考え方・背景にどんな要素があるかで、音楽も変わってしまう。もちろん自分勝手に出来るわけじゃないから、何度も話し合った上で初めて曲が出来る[12]。
本放送開始の3ヶ月前に「やるかどうかわからないけど、スケジュール空いてる?」と連絡がくる。その時点だと役者が変更になったり、スポンサーが乗り気じゃなかったり、企画そのものが無くなってしまったり、音楽を担当する人自体が変わることもある。第1回目の脚本ができる頃にスタッフ・キャスト・世界観がようやく固まっていることが多い[6]。
サウンドトラックのCDを作る企画が同時に立ち上がると、スケジュールとしても最低1ヶ月はかかるため、そこから「1曲に対しての色んなバージョン」「細かい場面の短い曲をいつまでに作るか」と逆算的にスケジュールを組んでいく[6]。
ポリシーとして、「家庭で普通に見られて、流せる劇判を作る」[6]「サウンドトラックのCDが売れるのは、キャラクター・物語・レイアウトに引き付けられているだけで、音楽はどこまでいっても副産物でしかない。起用する側は正直どんなミュージシャンでもいいわけ」「マンネリにならないこと」「常にインスピレーションを磨いておくこと」[12]としている。
ディスコグラフィ
シングル
|
発売日
|
タイトル
|
c/w
|
規格
|
規格品番
|
アルファレコード
|
1st
|
1991年4月1日
|
リカのテーマ (スペシャル・ヴァージョン) (RICA'S THEME-SPECIAL VERSION)
|
グッド・イヴニング, ハートエイク (GOOD EVENING, HEARTACHE) エンド・タイトル (END TITLE)
|
8cmCD
|
ALDA-26
|
2nd
|
1991年7月1日
|
ラ・コート・サンセット (La Côte, Sunset)
|
異国の女たち (Exotic Women)
|
8cmCD
|
ALDA-28
|
3rd
|
1992年2月21日
|
メイン・テーマ〜フレンズ (Main Theme〜Friends)
|
ヤング・メモリー〜貴子のテーマ (シングル・ヴァージョン) (Young Memory〜Takako's Theme)
|
8cmCD
|
ALDA-45
|
4th
|
1993年5月1日
|
ライク・ア・レインストーム (Like a Rainstorm)
|
Candy
|
8cmCD
|
ALDA-75
|
5th
|
1993年5月1日
|
悠希のテーマ〜メインテーマ
|
Coming Home You and I
|
8cmCD
|
ALDA-82
|
6th
|
1994年2月1日
|
メイン・タイトル〜イザカヤ・ストーリー (Main Title - Izakaya Story)
|
ホエン・サマー・イズ・ゴーン (When Summer Is Gone) シー・イズ・ソー・ファイン (She Is So Fine)
|
8cmCD
|
ALDA-109
|
7th
|
1994年6月1日
|
マドルガーダ・セレーナ 〜朝もやの海 (Madrugada Serena)
|
ホエン・ユー・カム・ホーム - ピアノヴァージョン (When You Come Home - Poano Version) ホエン・ユー・カム・ホーム (When You Come Home)
|
Maxi
|
ALCA-1002
|
アルバム
オリジナルアルバム
ベストアルバム
リミックスアルバム
サウンドトラック
タイアップ
楽曲
|
タイアップ
|
収録作品
|
Sarah's Crime
|
シャープ『AVテレビ』CF曲
|
アルバム『サラの犯罪』
|
FM横浜『グリコ・カルチャーデザート』テーマ曲
|
Sarah(1.Adagio,2.Rondeau,3.Menuet)
|
『トヨタ・カローラFX』CM曲
|
Pentimento
|
異国の女たち
|
フジテレビ系TV『男女7人夏物語、秋物語』挿入曲
|
アルバム『夏の猫』
|
Menuet
|
DE BEERSダイヤモンドCF曲
|
アルバム『ひとつぶの海』
|
Ode to the Unknown
|
映画『Pavee Lackeen the Traveller Girl(英語版)』エンディングテーマ
|
アルバム『アイシス』
|
Les Enfants
|
NHK『にっぽん水紀行』テーマ曲
|
ベストアルバム『アナザー・グラフィティ』
|
Mirage
|
ラ・コート・サンセット
|
オンワード樫山“SUIVI”CF曲
|
シングル「ラ・コート・サンセット」
|
Théme
|
アルバム『いたずら天使』
|
Little Rascal
|
Maison Branch
|
Woman in the Isle
|
JION CO., LTD“ラ・モーダ・デ・ピアチェーレ”CF曲
|
Aténa
|
メイン・テーマ〜フレンズ
|
フジTV系全国ネット『愛という名のもとに』挿入曲[14]
|
シングル「メイン・テーマ〜フレンズ」
|
ヤング・メモリー〜貴子のテーマ
|
ライク・ア・レインストーム
|
フジTV系ドラマ『ひとつ屋根の下』メインテーマ[15]
|
シングル「ライク・ア・レインストーム」
|
悠希のテーマ〜メインテーマ
|
NHK連続テレビ小説『ええにょぼ』メインテーマ
|
シングル「悠希のテーマ〜メインテーマ」
|
メイン・タイトル〜イザカヤ・ストーリー
|
フジTV系ドラマ『陽のあたる場所』メインテーマ[16]
|
シングル「メイン・タイトル〜イザカヤ・ストーリー」
|
マドルガーダ・セレーナ 〜朝もやの海
|
ポーラ“エスティナ”CFイメージ曲
|
シングル「マドルガーダ・セレーナ 〜朝もやの海」
|
音楽担当
テレビ音楽
ドラマ
ドキュメンタリー
- ETV特集(NHK教育テレビジョン)
- 女ひとり70歳の茶事行脚 (2016年)
- 老いて一人なお輝く、一人芝居50年 (2017年 NHK)
- おうちへ帰ろう (2022年 NHK)
- ザ・ノンフィクション (フジテレビ)
- 愛のチカラ (2016年)
- 母の涙と罪と罰 (2018年)
- 一人で生きていても (2019年)
- 生まれてくれて ありがとう ~ピュアにダンス 待寺家の17年~ (2020年)
- 母の涙と罪と罰 2020 前編 元ヤクザ マナブとタカシの5年 (2020年)
- 母の涙と罪と罰 2020 後編 元ヤクザと66歳の元受刑者 (2020年)
- 奇跡の夏に輝いて ピュアにダンス 待寺家の18年 (2021年)
- 四国歩き遍路の旅 (2017年 旅チャンネル)
- Tsuruko's Tea Journey (2018年 NHKワールド JAPAN)
- NHK BS1スペシャル
- 私は左手のピアニスト~希望の響き 世界初のコンクール~ (2019年 NHK BS1)
- ハルカとカイト 舞台に立つ ~宮本亞門とダウン症の青年たち~ (2021年 NHK)
- NHK BS1 ザ・ヒューマン
- 女ひとりドイツ茶事行脚 (2020年 NHK BS1)
楽曲提供
- 熊本マリ
- 秘密(編曲)
- 庭で遊ぶ少女達(編曲)
- 懺悔すれどなおわが罪は深く(編曲)
- 玩具箱と別れた頃(編曲)
- 鏡と噴水(編曲)
- うれしい手紙が来た(編曲)
- 恋に妙薬はない(編曲)
- 遠いむかしの祭り(編曲)
- 異教徒たちの村にて(編曲)
- 祝祭日(編曲)
- 舟は出た梶もないまま(編曲)
- 雨上りの遊園地(編曲)
- KOKIA
- 鈴木ほのか
- ダイアナ・ロス
- 竹内結子
- 中山美穂
- 早瀬優香子
- Fruri
- 松たか子
- Le Couple
- 渡辺未央
プロデュース
参加作品
サウンドトラック
- Here We Are Again〜ロングバケーション オリジナル・サウンドトラックIII
リミックス
脚注
注釈
出典
外部リンク