岐阜県警察(ぎふけんけいさつ)は、警察法第36条により岐阜県に置かれた警察組織であり、岐阜県内を管轄区域とし、岐阜県警と略称する。警察法第38条により岐阜県公安委員会の管理を受ける。給与支払者は岐阜県知事。警察庁中部管区警察局管内。本部所在地は岐阜市薮田南2丁目1-1。
沿革
- 発足時の組織は9課1隊1校25署
- 25署:岐阜中署、岐阜南署、岐阜北署、稲葉署、羽島署、高須署、高田署、垂井署、大垣署、揖斐署、北方署、高富署、八幡署、関署、金山署、加茂署、御嵩署、多治見署、中津川署、恵那署、岩村署、萩原署、高山署、古川署、神岡署の25警察署体制になる。
- 1954年(昭和29年)10月29日:高田警察署を養老警察署に改称。
- 1955年(昭和30年)1月15日:高須警察署を海津警察署に改称。
- 1963年(昭和38年)4月1日:稲葉警察署を各務原警察署に改称。
- 1985年(昭和60年)4月1日:御嵩警察署を可児警察署に改称。
- 2003年(平成15年)4月1日:高富警察署を山県警察署に改称。
- 2004年(平成16年)3月1日:八幡警察署を郡上警察署に改称。
- 2005年(平成17年)4月1日:古川警察署と神岡警察署を統合して飛騨警察署を設置。萩原警察署と金山警察署を統合して下呂警察署を設置。
- 2006年(平成18年)1月1日:羽島警察署を岐阜羽島警察署に改称。(柳津町合併に伴う)
- 2006年(平成18年)4月1日:岩村警察署を恵那警察署に統合。
- 2007年(平成19年)4月1日:交番、駐在所を再編。交番数88(93)、駐在所数146(147)になった。
- 2009年(平成21年)4月1日:本部内に捜査第三課、取調べ監督課を新設。
- 2010年(平成22年)4月1日:本部内に通信指令課を新設(地域課内の一セクションであった通信指令室から課へ格上げ)。
- 2013年(平成25年)4月1日:本部内に地域部を新設。
- 2014年(平成26年)4月1日:本部内に国際捜査課を新設。
- 2016年(平成28年)4月1日:本部内に警備総務課を新設。
本部組織
- 交通部
- 交通企画課
- 交通指導課 - 交通捜査室
- 交通規制課 - 交通管制センター
- 運転免許課
- 岐阜試験場
- 岐阜運転者講習センター
- 多治見運転者講習センター・多治見試験場
- 東濃運転者講習センター・東濃試験場
- 飛騨運転者講習センター・高山試験場
- 中濃運転者講習センター
- 西濃運転者講習センター
- 交通機動隊
- 岐阜第1小隊
- 岐阜第2小隊
- 岐阜第3小隊
- 東濃分駐隊
- 飛騨分駐隊
- 高速道路交通警察隊
- 岐阜(岐阜羽島)分駐隊
- 多治見分駐隊(東濃)
- 各務原分駐隊(岐阜)
- 高山分駐隊(飛騨)
- 総務室
- 総務課 - 取調べ監督室
- 広報県民課 - 岐阜県警察音楽隊
- 会計課
- 装備施設課 - 警察車両整備センター
- 情報管理課
本部庁舎
以前は岐阜県庁舎内(2階 - 7階)に入居していたが、手狭であったため、県庁舎の西隣に新庁舎が建設された。2006年3月に完成。11階建、延床面積約2万5千m2。
データ
警察署
警察署数は22。※警察車両のナンバー地名は美濃地域が「岐阜」、飛騨地域が「飛騨」である。岐阜中・大垣の各署長階級は警視正。
交通信号機の特徴
雪の積もることがほとんどない美濃地方では横型の車両用信号機を採用しているが、豪雪地帯である高山・飛騨・郡上の各署管内および垂井署管内の一部(関ヶ原地区)では日本海側仕様の縦型車灯が使われている。
また、レンズ径45cmの通称「バズーカ灯」は金属製LED灯への交換に伴い急速に減少している。さらに岐阜市内の一部にあった路面電車用信号機も名鉄が岐阜市内線を廃止したため撤去された。
メーカーは、京三製作所や信号電材が多い。日本信号も多く使われる。京三製作所のうち樹脂灯器は三協高分子製OEM。
コイト電工は垂井警察署管内、揖斐警察署管内、郡上警察署管内、飛騨地域に多い。中津川警察署管内のうち中津川市山口町も長野県警察から引き継いだ小糸工業→コイト電工が使われる。
不祥事
- 2015年5月 - 各務原警察署の元生活安全課長の警部が、昨年4月から10月にかけて、単身赴任手当を不正受給をしたりパワハラも行っていたとして2015年2月に本部長訓戒処分を受けていたことが新聞社の取材で分かった。この警部は自ら降格を申し出て、現在は巡査部長として勤務している[6]。
- 2016年7月 - 捜査第二課の課長補佐の男性警部(46歳)が、2012年9月~2016年1月に捜査協力者との飲食のために支給されていた捜査費を、岐阜市内のスナックなどで私的な飲食代に充てるなどし、約2万800円を着服。県警は7月15日、男性警部を停職6ヵ月の懲戒処分とした。男性警部は同日付で依願退職[7]。
- 2018年9月 - 9月2日、レジャー施設内のプールで女性の体を触ったとして、加茂警察署の巡査長(37)が大阪府浪速警察署に逮捕された。事件が起こったのは、9月2日午後3時10分ごろ。大阪市浪速区のレジャー施設のプールで、泳いでいた府内の女性(21)の尻を触った疑い。浪速警察署によると、巡査長はわざとほかの客に体をぶつけたり、混雑の中で潜ったりと不振な行為をしており、そうした動きをプール監視員が発見したため警戒していたところ、男が女性の体を触ったため、取り押さえたという。男は警察の調べに対して、「触ったことは間違いない」と容疑を認めているという。[8]
- 2018年12月 - 県内の警察署に勤務する40代の男性巡査部長について、勤務中に知り合った17歳の少女にわいせつな行為をしたとして書類送検した。捜査関係者によると、巡査部長は、17歳の少女が18歳未満と知りながら、複数回にわたって警察車両や少女の自宅などでわいせつな行為をしたという疑い。巡査部長は、事件に関する相談に乗ったことで少女と知り合い、2年ほど前には少女の家族が「『キスをされた』と言っている」と署に相談したが、巡査部長は内部調査に対して否定していた。岐阜県警察は、巡査部長を青少年健全育成条例違反などの疑いで書類送検、巡査部長は依願退職した模様[9]。
- 2019年2月 - 人事異動の内部職員しか扱えない報道向け幹部の写真に不適切な文字が入っていたことが判明・公表される[10][11]。同年4月19日にデータを不正処理した50代男性警部補を戒告の懲戒処分とし、実行した警部補は自主退職している。公表していない職員の写真に対しても同様な加工がされた形跡を確認している[12][13]。
- 2019年12月26日 - 高山警察署地域課長、管区機動隊中隊長、大垣警察署機動警ら課長などを歴任した元岐阜県警の警部の赤座孝明が代表を務める「赤座警部の全国自立就職センター」を名乗る組織によって2015年9月に自宅から強制的に連れ出され、行動の自由を制限されたり、実態のない支援で多額の契約料を支払わされたとして、30代女性とその母親が東京都内の業者に対して契約不履行や慰謝料など計1727万円の損害賠償を求めた訴訟で、東京地方裁判所は運営元の株式会社エリクシルアーツと代表者らに対して約505万円の支払いを命じる判決を言い渡した[14][15]。
- 2020年1月 - 1月5日正午ごろ、中央自動車道にて高速道路交通警察隊の覆面パトカーがガードレールに衝突しおよそ2時間にわたって通行止めを発生させた。岐阜県警は当初パトカーによる事故の事実を隠蔽していた[16]。
- 2020年3月 - 岐阜市の長良川にかかる河渡橋の下で、野宿(ホームレス)生活をしていた男性(当時81歳)が、地元の朝日大学(瑞穂市)の学生2名を含む19歳の少年5人に襲われ死亡した。殺害前の、3月12日、13日、20日、22日、と、襲撃が連日くり返されていたため、男性と生活していた女性が「犯人たちはきっとまた来るから、見張ってほしい」と岐阜県警察に頼んだが「いたちごっこになるから、(女性たちのほうが)ここを出ていけ」と一蹴されたという。殺害事件の前日、岐阜県警のパトカーが1台、巡回にやってきたが、2時間ほど様子をみただけで「用があるから」と帰ってしまった。殺害事件はその翌日に発生している[17]。事件後、男性が亡くなってから、女性には女性刑事が「保護のため」と称して張りつくようになり「護身のために」と、非常通報装置『ココセコム』を渡され、常に首にかけているようにと言われたという。女性は女性刑事に「あのとき、あなた方(岐阜県警)が、私にこれを渡してくれていたなら、(男性は)死なずにすんだのではないですか? 」と、問いつめたが「まあまあ、そんな責めんといてよ」と傍らにいた男性刑事が笑い、女性刑事はあれこれ理屈をこねて言い訳するだけだったという。また、別の日の襲撃の際には、犯人のうち、上から石を投げてきた男の1人が「俺の父さん(岐阜)県警本部におるでー(おるで=いるから、愛知・岐阜の方言)」と、威張るように言っていたという。[18]
- 2020年3月 - 岐阜県警の警察官が書類送検され、処分されたにもかかわらず、発表されなかった事案が、2019年度に少なくとも2件発生した。岐阜県警は不祥事に関する取材にも答えない事項が多く、専門家からは「積極的に情報公開をしていくべき」と批判の声が上がっていた。同年度には、警察官が書類送検または逮捕され、停職の懲戒処分となった事案が3件発表された。一方で、書類送検されて訓戒処分となった事案が2件あったが、これらは発表されていない。[19]
- 2020年5月 - 5月19日午前4時35分ころ、岐阜南警察署地域課の男性巡査部長(26歳)が運転し、同課の女性巡査(20歳)が同乗したパトカーが、警備会社からの建物侵入の通報を受け、赤色灯を付けサイレンを鳴らして現場へ向かう途中で大型トラックおよび乗用車と衝突。乗用車に乗っていた女性(44歳)が骨折。乗用車を運転していた女性(40歳)も怪我。岐阜南署は「原因を究明し、適正に対処する」とした[20]。
- 2020年7月 -7月27日、岐阜市の駐停車禁止路側帯2カ所で、交通規制に必要な岐阜県公安委員会の決定がないにもかかわらず、過去5年間に誤って8件を放置駐車違反として取り締まっていたと発表した。それぞれ1万5千円の反則金と違反点数2点を科していたが、対象者に謝罪した上で反則金を返還し、違反点数を抹消した。交通部交通指導課と交通規制課によると5月19日、岐阜北警察署員が岐阜市福光西の市道で、車両の駐車を禁止する駐停車禁止路側帯内に放置駐車していた乗用車を取り締まり、その後の事務処理で、路側帯の一部が公安委の規制対象になっていないことが判明した。県警が県内にある同様の路側帯616カ所について過去5年間分を調べたところ、岐阜市鶴田町の市道を含め計2カ所で8件の誤った取り締まりがあった。
- 2023年10月3日、刑事部組織犯罪対策課、大垣警察署は、自宅で拳銃の実包132発を所持していたとして、銃刀法違反の疑いで、県警の元警部の男性(享年90歳)を被疑者死亡のまま書類送検した。書類送検容疑は、2007年11月7日、法定の除外事由がないのに、大垣市内の自宅で拳銃の実包132発を所持した疑い。県警によると、家族が2022年11月、遺品を整理していたところ、倉庫で段ボール箱に実包が小分けされて置かれているのを見つけ、猟銃の処理業者を介して署へ届け出た。家族らへの聞き取りや鑑定などから、実包は在職当時の警察官が使っていたものと同じ形状だったと特定した。県警は職場から持ち出したとみている。拳銃は見つからなかった。男性は1940年に拝命し、1976年に辞職。16年前に亡くなっていることや、実包の管理に関する在職当時の資料が保存期限を過ぎて残っていないことから、自宅に持ち込んだ経緯は分からなかったという。[21]
関連項目
脚注
出典
- ^ 警察署の名称、位置及び管轄区域に関する条例
- ^ “女子大学生の太ももを触った岐阜県警の警官を愛知県警が逮捕。懲戒処分 - 相川哲弥ブログ”. 女子大学生の太ももを触った岐阜県警の警官を愛知県警が逮捕。懲戒処分 - 消費者保護。東日本大震災・津波避難・福島原発。子供安全。冤罪。警察不祥事。労働者権利。相川哲弥ブログ. 2020年6月9日閲覧。
- ^ “県警、反対住民の情報漏らす 発電所巡り中部電子会社に”. 朝日新聞デジタル (朝日新聞社). (2014年7月24日). オリジナルの2015年6月10日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20150610003114/http://www.asahi.com/articles/ASG7R4G3MG7ROIPE01H.html 2018年6月5日閲覧。
- ^ “岐阜県警が反対住民情報を漏洩 風力発電計画巡り”. 日本経済新聞 (日本経済新聞社). (2014年7月24日). オリジナルの2014年7月28日時点におけるアーカイブ。. https://archive.today/2014.07.28-210356/http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG2401V_U4A720C1CC0000/ 2018年6月5日閲覧。
- ^ “岐阜県警、個人情報漏えい 風力発電めぐり”. 中日新聞 (中日新聞社). (2014年7月24日). オリジナルの2014年7月29日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20140729042202/http://www.chunichi.co.jp/s/article/2014072490121912.html 2018年6月5日閲覧。
- ^ “不正受給とパワハラ、自ら申し出て警部から降格”. 読売新聞 YOMIURI ONLINE (読売新聞社). (2015年5月16日). オリジナルの2015年5月17日時点におけるアーカイブ。. https://archive.today/2015.05.17-044916/http://www.yomiuri.co.jp/national/20150516-OYT1T50031.html 2015年5月17日閲覧。
- ^ “46歳の捜査2課課長補佐を書類送検 捜査費2万800円を着服”. 産経新聞 2016.7.15 18:29. 2016年7月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年9月15日閲覧。
- ^ “岐阜県警の巡査長が大阪のプールで痴漢 「監視員の見事な仕事ぶり」に称賛相次ぐ”. ニュースサイトしらべぇ (2018年9月3日). 2020年6月9日閲覧。
- ^ k8899 (1544173138). “岐阜県警察の巡査部長、JKにわいせつ行為!!”. 元警察官けいのブログ. 2020年6月9日閲覧。
- ^ “幹部の写真に「死ね」「呪」の文字 岐阜県警が報道提供”. 朝日新聞デジタル (朝日新聞社). (2019年2月28日). オリジナルの2019年2月28日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20190228154512/https://www.asahi.com/articles/ASM2X66NHM2XOIPE01W.html 2019年3月1日閲覧。
- ^ “幹部の顔写真に「呪」や「死ね」の文字 岐阜県警異動で報道各社に送信”. 毎日新聞 (毎日新聞社). (2019年2月28日). オリジナルの2019年3月1日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20190301120821/https://mainichi.jp/articles/20190228/k00/00m/040/235000c 2019年3月1日閲覧。
- ^ “県警幹部写真に「死ね」「呪」 50代警部補を戒告”. 岐阜新聞Web (岐阜新聞社). (2019年4月20日). オリジナルの2019年4月20日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20190420011252/https://www.gifu-np.co.jp/news/20190420/20190420-131681.html 2019年4月20日閲覧。
- ^ “「呪」「死ね」 警察幹部の報道用写真に加工 岐阜県警警部補を懲戒処分”. 毎日新聞 (毎日新聞社). (2019年4月19日). オリジナルの2019年4月20日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20190420011319/https://mainichi.jp/articles/20190419/k00/00m/040/291000c 2019年4月20日閲覧。
- ^ “平成29(ワ)13447 損害賠償請求事件” (PDF). 希望のまち東京をつくる会. 2020年11月15日閲覧。
- ^ “ひきこもり支援業者に500万円賠償命令 連れ出しは違法”. 日本経済新聞. 2023年6月15日閲覧。
- ^ “東海テレビNEWS”. tokai-tv.com. 2020年1月9日閲覧。
- ^ “【岐阜・ホームレス殺害事件】少年らの犯行をつぶさに見てきた「生き証人」の告白《前編》”. 週刊女性PRIME. 2020年6月8日閲覧。
- ^ “【岐阜・ホームレス殺害事件】どこにも報道されていない「生き証人」の証言《後編》(2020年6月5日)|BIGLOBEニュース”. BIGLOBEニュース. 2020年6月8日閲覧。
- ^ “岐阜)県警の処分「積極的に公開を」 発表しない事案も:朝日新聞デジタル”. 朝日新聞デジタル. 2020年6月9日閲覧。
- ^ “パトカーと車2台衝突 岐阜市の国道、2人けが”. 岐阜新聞Web. 2020年5月20日閲覧。
- ^ “遺品整理中、自宅から拳銃実包132発 90歳で死亡の元警部を所持容疑で書類送検 | 岐阜新聞Web”. 遺品整理中、自宅から拳銃実包132発 90歳で死亡の元警部を所持容疑で書類送検 | 岐阜新聞Web (2023年10月4日). 2023年10月6日閲覧。
外部リンク
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