委員長決裁(いいんちょうけっさい)とは、国・州・地方自治体等の議会の委員会において採決を行って可否同数となった場合に、委員長自身がその議案の可決・否決を決めることをいう。以下本項では日本の国会を例に詳述する。
国会法第50条では、委員会の議事において可否同数の場合、委員長の決するところによると規定されている。
日本国憲法は国会の議事において可否同数となった場合は、議長の決するところによるとするが(日本国憲法第56条第2項)、ここでいう「議長」とは、役職としての両議院の議長という意味ではなく、会議を主宰し議事進行時に現に議長席にあって議事を整理している者を指すと解されている[1][2](副議長や仮議長の場合もある[2])。したがって、委員会の委員長も憲法56条2項の「議長」には含まれると解されており[3]、国会法第50条はその確認規定にとどまると解されている[4]。
ただ、委員会の場合には区別のために委員長決裁と呼ばれている。
委員長決裁事例は多数あり、近年では案件のほぼすべてが委員長出身政党寄りの決裁となっている。過去の委員長決裁は殆どが与党寄りの決裁となっているが、ねじれ国会下の参議院では野党寄りの決裁となっている。
国政選挙においては、与党が安定多数の議席を占めることができるかが「勝敗」の一つの目安となるが、これは「国会の各委員会で法案が可否同数となった場合でも、委員長(あるいはこれに次ぐ筆頭理事)ポストを確保しておけば与党寄りの委員長決裁ができ法案は委員会を通過する」という現実が前提とされるためである。