大江戸温泉物語株式会社(おおえどおんせんものがたり)は、東京都中央区に本社を置く資産保有会社である。この項目では温浴施設ホテルを運営する大江戸温泉物語ホテルズ&リゾーツ株式会社などの大江戸温泉物語グループの法人についても述べる。
概要
2001年、世界都市博覧会が中止となって用途を失った有明地区の博覧会予定地の有効活用を目的として、当時キョウデン社長の橋本浩が設立した会社であり、2003年には同地区に温浴施設・東京お台場 大江戸温泉物語をオープンさせた[3]。その後2007年からは、経営破綻した旅館や不振の公共宿泊施設など地方の温泉宿を買収、居抜き出店するなどを行い、全国的に「大江戸温泉物語」のブランドを展開していった。
2015年2月13日、投資ファンドであるベインキャピタルが、橋本浩率いるキョウデンエリアネット他より大江戸温泉物語株式会社の親会社である大江戸温泉ホールディングス株式会社の全株式を取得すると発表した[4]。買収総額は、約500億円と報じられている[5]。
2016年2月1日、大江戸温泉物語株式会社が大江戸温泉ホールディングス株式会社を吸収合併。同年3月29日、大江戸温泉アセットマネジメント株式会社により大江戸温泉リート投資法人が設立された。
2016年12月21日、中華人民共和国上海市に「大江戸温泉物語」と同じ名称の温浴施設がオープンした。外観も日本の施設と酷似している。大江戸温泉物語株式会社は「全く無関係。」とコメントしており、中国の施設運営側は「上海の別の会社を通してブランド名の使用許可を得た。」と主張している。この主張に対し大江戸温泉物語株式会社は「海外の企業・団体と資本・業務提携はない」と否定している[6]。
2017年10月1日、大江戸温泉物語グループ株式会社(2017年6月29日設立)が大江戸温泉物語株式会社の全株式を取得および株式会社大江戸温泉ホールディングスジャパンの事業の一部を吸収分割により承継。同年11月1日、大江戸温泉物語グループ株式会社が大江戸温泉物語株式会社が手掛けていた全ての事業を吸収分割により承継。大江戸温泉物語株式会社は資産保有会社となった[2]。
2018年9月1日、大江戸温泉物語ホテルズ&リゾーツ株式会社(旧・株式会社BCJ-30)が、株式会社大江戸温泉物語ホールディングスジャパンと大江戸温泉物語グループ株式会社の2社を吸収合併[7]。
2021年6月23日、東京都との事業用定期借地権設定契約が、同年12月に期限を迎える事を受け、「東京お台場 大江戸温泉物語」を同年9月5日限りで閉館すると発表した[8]。
2022年1月15日、ベインキャピタルは同年2月末までに本企業の株式並びに経営権をベインキャピタルと同じアメリカの投資ファンドであるローンスターグループに売却すると発表した[9]。
2023年12月、チェーンの資産運用会社である「大江戸温泉アセットマネジメント」をアパグループに売却した(現 アパ投資顧問株式会社[10])[11]。
湯快リゾートとのブランド統合
2023年6月13日、同じくローンスター傘下となった湯快リゾートとともに新設持株会社のGENSEN(ゲンセン)ホールディングスを設立しその傘下とする経営統合を予定していると報道された[12]。その後、暫く湯快リゾートとの関係に関する正式発表はなかったが、公式サイトで相互リンクを開始するなどしていた。
2024年9月2日、11月1日付での湯快リゾートとのブランド統合を正式発表。各施設の運営会社は変わらないものの、湯快リゾート系の各ブランドを大江戸温泉物語系の各ブランドに転換する形で統合する(ただし、犬を連れて一緒に泊まれる「湯快わんわんリゾート」に相当する大江戸温泉物語の既存ブランドはないため、「大江戸温泉物語わんわんリゾート」という新ブランドとなる[13])。本統合と新築物件獲得[14]により、大江戸温泉物語グループは全67施設となる[15]。
大江戸温泉物語グループ
- GENSEN HOLDINGS株式会社
- 大江戸温泉物語ホテルズ&リゾーツ株式会社
- 大江戸温泉物語株式会社:子会社(100%出資)
- 株式会社大江戸温泉レインボー:東京都中央区、子会社(100%出資)
- 株式会社山下家:石川県加賀市、子会社(56%出資)
- 片山津大江戸温泉物語株式会社:石川県加賀市、子会社(53%出資)
- 株式会社レオマユニティー:香川県丸亀市、子会社(100%出資)
- 湯快リゾート株式会社:京都府京都市
過去の関連会社
- 大江戸温泉アセットマネジメント株式会社:東京都中央区、孫会社(大江戸温泉物語株式会社100%出資)、2023年12月にアパグループに売却
- 串本温泉ホテル株式会社:和歌山県東牟婁郡串本町、子会社(100%出資)、2018年3月1日付で大江戸温泉物語ホテルズ&リゾーツ株式会社に合併。
- 合同会社香川県観光開発:香川県丸亀市。2023年3月1日付で大江戸温泉物語ホテルズ&リゾーツ株式会社に合併。
ブランド
TAOYA
2023年以降、「TAOYA」という新名称をグループの最上位ブランドと位置づけ、温泉リゾートホテルを順次展開している。
例えばTAOYA日光霧降においては、1996年竣工~2007年3月31日営業終了の旧メルモンテ日光霧降の建物を利用し、プリツカー賞を受賞した建築家であるロバート・ヴェンチューリによる設計のため特異なインテリアおよびエクステリアデザインを特徴とし、内部にはマルセル・ブロイヤーのワシリーチェアやミース・ファン・デル・ローエによるブルーノチェアなどを配するなど、従来の温泉旅館とは異なる高級感を演出する方向を打ち出している。
TAOYAの名は「ゆったりと、たおやかに」というブラントコンセプトから来ており[16]、「オールインクルーシブ」(館内のほぼ全てのサービスを含んだ宿泊料金)を特徴とする。
大江戸温泉物語
すべての世代の方に親しみやすい温泉宿を目指し、「温泉」「バイキング」「おもてなし」の3つのこだわりをもって客をもてなす
- 大江戸温泉物語(スタンダード)
- 主力形態。笑顔と元気があふれる温泉宿。全国のいい湯と、その土地ならではの旬の美味しい料理を、気軽に何度でも利用できるようにしている。
- 大江戸温泉物語premium
- 開放感にあふれた空間で温泉を楽しめる大浴場や、ちょっとした贅沢感を楽しめるメニューやその土地ならではの食材を味わえるバイキング、滞在中に何度でも利用できるプレミアムラウンジでは、ドリンク片手に語らいのひと時を楽しめる。家族の楽しい時間も、大人のくつろぎ時間も、諦めることなく満喫できる。充実させた分、客単価が高くなっている。
- 大江戸温泉物語わんわんリゾート
- 湯快リゾートから引き継がれた形態。ペットとの家族旅行を楽しむ温泉宿。ペット同伴専用の温泉宿なので、ほかの客に気兼ねなく、ペットとゆっくり過ごすことができる。部屋はもちろん貸切風呂などペットと一緒に利用できる。ドッグラン、フォトスポットなど、ペットとの滞在を快適にする多彩な施設やアイテムを用意している。
施設
(2024年12月時点)[17]2024年11月に湯快リゾートから合流した施設には頭に■を付し、以前の名称を<<>>という形で付す。該当施設の詳細は湯快リゾートを参照。
- 東北
- TAOYA
- 旧・岩沼屋。2020年大江戸温泉物語グループ入り、2023年6月にTAOYAへリニューアル。
- 大江戸温泉物語Premium
- 2010年10月東武鉄道より全株式を買収、2024年7月Premiumにリニューアル[18]
- 大江戸温泉物語
- 2施設とも2016年大江戸温泉物語が取得[19]
- 旧・ウェルサンピア会津(厚生年金健康福祉センター)、2007年大江戸温泉物語が取得。
- 2007年民事再生手続開始、2008年大江戸温泉物語が取得。
- 関東
- TAOYA
- 旧・かもしか荘(栃木県勤労者休養施設)。2008年大江戸温泉物語が取得、2023年8月にTAOYAへリニューアル[16]。
- 旧・メルモンテ日光霧降(メルパルク系列)。2007年大江戸温泉物語が取得、2023年4月にTAOYAへリニューアル。
- 大江戸温泉物語Premium
- 旧岡部ホテルグループ。2010年大江戸温泉物語が取得、2024年7月Premiumにリニューアル[20]
- 大江戸温泉物語
- 2006年経営破綻、再建を手がけた投資ファンドから2010年に大江戸温泉物語が取得。
- 旧・伊香保東急ビラ(東急ホテルズグループ)、2007年大江戸温泉物語が取得。
- 旧・ウェルサンピア君津(厚生年金健康福祉センター)、2007年大江戸温泉物語が取得。グループ唯一の人工温泉。
- 甲信越
- TAOYA
- 旧・ホテル木曽路。2018年大江戸温泉物語が取得、2024年4月にTAOYAへリニューアル。
- 大江戸温泉物語Premium
- 旧・夕映えの宿汐美荘。2020年大江戸温泉物語が取得、2023年6月Premiumにリニューアル[21]。
- 大江戸温泉物語
- 2012年大江戸温泉物語が取得。
- 藤館は旧鹿教湯温泉ホテル東急(東急ホテルズグループ)、桜館は旧かんぽの宿鹿教湯。いずれも2007年大江戸温泉物語が取得。
- 東海
- TAOYA
- 旧・タラサ志摩ホテル&リゾート。2018年10月大江戸温泉物語が取得、2019年4月にTAOYAブランド第1号としてリニューアル[22]。
- 大江戸温泉物語Premium
- 旧・南明ホテル。2011年大江戸温泉物語が取得(大江戸温泉ブランドへの転換は2012年)、2024年7月Premiumにリニューアル[23]
- 旧・ホテルパストール。2007年大江戸温泉物語が取得(「大江戸温泉物語 下呂」)、2017年7月「下呂新館」にリニューアル、2023年6月Premiumにリニューアル[21]。
- ■ 下呂本館(岐阜県下呂市)<<湯快リゾート 下呂彩朝楽本館>>
- 旧プレミアムタイプ。2024年11月にリニューアルオープン。[24]
- 旧・旅情館紫光。2010年民事再生申請、2012年大江戸温泉物語が取得、2024年6月Premiumにリニューアル。
- 旧プレミアムタイプ
- 2016年大江戸温泉物語が取得、2017年4月リニューアルオープン。
- 2013年、プレシアリゾート土肥より取得。
- 大江戸温泉物語
- 旧岡部ホテルグループ。2010年大江戸温泉物語が取得。
- ■下呂別館(岐阜県下呂市)《湯快リゾート 下呂彩朝楽別館》
- 旧スタンダードタイプ。
- ■恵那峡(岐阜県恵那市)《湯快リゾート 恵那峡国際ホテル》
- 旧プレミアムタイプ。
- 旧プレミアムタイプ
- 北陸
- 大江戸温泉物語premium
- 創業200年余の老舗旅館だったが、民事再生手続中の2009年に大江戸温泉物語が取得、2024年4月Premiumにリニューアル[25]。
- ■加賀まるや(石川県加賀市)《湯快リゾート NEW MARUYAホテル》
- 旧プレミアムタイプ。2024年11月リニューアル[24]
- 旧プレミアムタイプ。
- 旧プレミアムタイプ
- 大江戸温泉物語
- 旧プレミアムタイプ
- 旧・片山津温泉ホテルながやま。2008年大江戸温泉物語が取得。
- ■山代彩朝楽(石川県加賀市)《湯快リゾート 彩朝楽》
- 旧スタンダードタイプ。湯快リゾート第一号店。
- ■山中彩朝楽(石川県加賀市)《湯快リゾート 花・彩朝楽》
- 旧スタンダードタイプ。2023年4月までは女性専用だった。
- 旧プレミアムタイプ。2024年12月露天風呂がオープン。
- 旧・芦原岡本ホテル(岡本倶楽部グループ)。2011年大江戸温泉物語が取得、2012年2月オープン。
- 大江戸温泉物語わんわんリゾート
- 旧わんわんタイプ。食事はバイキング。
- 旧わんわんタイプ。食事は会食形式なので注意。
- 近畿
- TAOYA
- 旧プレミアムタイプ。2024年11月、湯快リゾートの施設から初となるTAOYAへのリニューアル。[26]
- 大江戸温泉物語premium
- 旧プレミアムタイプ
- 旧プレミアムタイプ。2024年1月よりラウンジを先行導入している。
- 旧プレミアムタイプ。湯快リゾートプレミアム第一号店。
- 旧・ホテルブルーきのさき、2011年大江戸温泉物語が取得[27]、2023年7月Premiumにリニューアル。
- 大江戸温泉物語
- 2013年大江戸温泉物語が取得[28]。温泉レジャー施設「箕面温泉スパーガーデン」を併設。2025年3月より約1年半休館する。
- 旧プレミアムタイプ。部屋の風呂も温泉である。
- 旧・浦島ハーバーホテル、2017年大江戸温泉物語が取得[29]、2018年4月リニューアルオープン。
- レジャー施設
- 詳細は上記「箕面観光ホテル」を参照。
- 中国・四国
- 大江戸温泉物語premium
- 旧プレミアムタイプ
- 大江戸温泉物語
- 旧スタンダードタイプ
- 旧スタンダードタイプ
- 2010年大江戸温泉物語が取得。
- 旧スタンダードタイプ
- レジャー施設
- レオマの森と同時に大江戸温泉物語が取得
- 九州
- TAOYA
- 旧・西海橋コラソンホテル。2020年大江戸温泉物語が取得、2023年8月にTAOYAへリニューアル[16]。
- 大江戸温泉物語premium
- 旧プレミアムタイプ。湯快リゾートの中で最も西にある旅館であった。
- 大江戸温泉物語
- 旧・別府ホテル清風。2016年大江戸温泉物語が取得、2017年7月リニューアルオープン[30]
- 旧プレミアムタイプ
- 元は別府ホテル清風の系列だった。2016年大江戸温泉物語が取得、2017年4月リニューアルオープン[31]
- 旧プレミアムタイプ
- 旧・亀屋ホテル華椿。2019年大江戸温泉物語が取得、同年8月リニューアルオープン[32]
過去の運営施設
- 東京お台場 大江戸温泉物語 - 東京都江東区 、2003年3月1日オープン、2021年9月5日閉館[8]
- 大江戸温泉物語 天下泰平の湯 すんぷ夢ひろば - 静岡市駿河区 、2012年4月20日リニューアルオープン、2019年8月30日営業停止[33]、2020年7月15日売却[34]
- 大江戸温泉物語 浦安万華郷 - 千葉県浦安市。株式会社湯巡り万華郷の株式買収による物件取得と経営権取得、借地契約満了により、2024年6月2日付で閉館[35][36]。
- 大江戸温泉物語 仙台コロナの湯 - 宮城県仙台市、2012年3月28日にオープンしたコロナグループの直営施設だったが、2012年3月から2023年9月18日まで同社と賃貸借契約を締結して仙台コロナワールドの温浴施設の運営委託を受けていた(賃貸借契約終了後はコロナグループの直営店に戻り、2023年12月再開店)[37][38]。
今後の展開施設(リニューアル含む)
- TAOYA
- 星野リゾートが運営していた川治温泉の界 川治(元・宿屋伝七、2024年10月閉館)を2024年5月に取得した。2025年2月にTAOYA川治としてオープン予定[39]。
- 元湯快リゾート金波荘。白浜千畳と同時にTAOYAブランドに転換する予定だったが、2024年1月の能登半島地震により著しい建物の損傷を受け休館中で、暫くの間は営業再開か廃館かの方向性すら決められず、ブランド転換が一旦保留になっていた。2025年にTAOYAブランドとして営業再開する形で再計画されている[40]。
- 大江戸温泉物語premium
- 現・TAOYA西海橋。2025年1月6日付でpremiumとしてサービスを提供する。1月6日からは、夕食アルコールサービスは有料(2024年10月までに予約した客は無料)、シャンプーバイキングは順次終了予定。4月1日付でロビーラウンジはpremiumブランドに準じたものに、朝食シャンパン、コラソンラウンジ、夜食、演奏、大浴場でのタオル設置を廃止し、マッサージチェアや日帰りのタオル利用は有料になる。
- 元湯快リゾート山中グランドホテル。2024年5月より改修工事のため休業。2025年2月大江戸温泉物語のプレミアムタイプとしてリニューアルオープン[41]。
- 旧岡部ホテルグループ。2010年大江戸温泉物語が取得。2024年9月2日より改修工事のため休業。2025年3月プレミアムタイプとしてリニューアルオープン。[42]
- 大江戸温泉物語
直行運行バス
全て湯快リゾートが運行している。基本的には、旧湯快リゾートの施設まで運行している。大江戸温泉管理の施設には★を付す。
北陸エリア
- 新大阪駅・京都駅〜粟津温泉
- 新大阪駅・京都駅〜片山津温泉
- 新大阪駅・京都駅〜山代温泉
- 新大阪駅・京都駅〜山中温泉
- Premium 山中グランドホテル
- Premium よしのや依緑園
- 山中彩朝楽
- 新大阪駅・京都駅〜芦原温泉
東海エリア
- 新大阪駅・京都駅〜下呂温泉
- 名古屋駅〜下呂温泉
- ★Premium 下呂新館
- Premium 下呂本館
- 下呂別館
- 新大阪駅・京都駅〜恵那峡温泉
- 名古屋駅〜恵那峡温泉
- 新大阪駅・京都駅〜鳥羽・志摩
近畿エリア
- 京都駅・新大阪駅・天王寺駅前〜南紀白浜温泉
- Premium 白浜御苑
- Premium 白浜彩朝楽
- TAOYA白浜千畳
- 京都駅・新大阪駅〜湯村温泉
中国・四国エリア
- 京都駅・新大阪駅〜三朝温泉
- 京都駅・新大阪駅〜湯原温泉
- 梅田駅・天王寺駅〜讃岐丸亀(このバスのみ大江戸温泉が運行)
九州エリア
- HEARTSバスステーション博多・長崎駅前〜嬉野温泉
- HEARTSバスステーション博多・長崎駅前〜雲仙温泉
出典
外部リンク
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