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この項目では、現在の基隆市について説明しています。日本統治時代の基隆市については「基隆市 (日本統治時代)」をご覧ください。 |
基隆市(キールン/チーロン[3]/きいるん-し、繁: 基隆市、英語: Keelung City)は、中華民国台湾省の市である[注 1]。
概要
台湾北部に位置する港湾都市であり、首都台北市の北約30kmに位置する[4]。
台湾の貿易・物流の重要拠点であり、高雄港に次ぐ台湾第2位の貨物取扱量を誇り、台北市の外港である基隆港を擁している。鉄道・縦貫高速道路の起点でもあり、台湾島内全域と結ばれている[2]。
造船・製鉄・肥料などの工業のほか、漁業も盛んであり、水産加工業が発達している[2]。
2020年現在の人口は、367,577人[5]。面積は約133km2。
地理
地形
東を雪山山脈に、西を大屯山に囲まれており、平地は少ない。東シナ海から深く湾入した沈降地形が、良港となっている[2]。
気候
ケッペンの気候区分では温暖湿潤気候 (Cfa)に属する。
基隆市は世界有数の多雨地となっており、「雨港」・「雨都[6]」の異称がある[2]。特に北東季節風が吹く10月から4月にかけては、雨天日数が月平均で21日に達する[2]。
基隆市 (1981年から2010年)の気候
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月 |
1月 |
2月 |
3月 |
4月 |
5月 |
6月 |
7月 |
8月 |
9月 |
10月 |
11月 |
12月 |
年
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平均最高気温 °C (°F)
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18.3 (64.9)
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18.8 (65.8)
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20.8 (69.4)
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24.4 (75.9)
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27.7 (81.9)
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30.7 (87.3)
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33.0 (91.4)
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32.3 (90.1)
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29.6 (85.3)
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26.2 (79.2)
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23.3 (73.9)
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19.9 (67.8)
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25.42 (77.74)
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日平均気温 °C (°F)
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16.0 (60.8)
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16.2 (61.2)
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17.9 (64.2)
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21.3 (70.3)
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24.5 (76.1)
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27.3 (81.1)
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29.3 (84.7)
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28.9 (84)
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27.0 (80.6)
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24.1 (75.4)
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21.2 (70.2)
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17.7 (63.9)
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22.62 (72.71)
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平均最低気温 °C (°F)
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13.9 (57)
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14.2 (57.6)
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15.5 (59.9)
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18.8 (65.8)
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22.0 (71.6)
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24.6 (76.3)
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26.4 (79.5)
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26.2 (79.2)
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24.7 (76.5)
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22.2 (72)
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19.2 (66.6)
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15.7 (60.3)
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20.28 (68.52)
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雨量 mm (inch)
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335.8 (13.22)
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399.1 (15.713)
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332.3 (13.083)
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240.9 (9.484)
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296.1 (11.657)
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286.7 (11.287)
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150.4 (5.921)
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212.8 (8.378)
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360.8 (14.205)
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413.4 (16.276)
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394.7 (15.539)
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332.1 (13.075)
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3,755.1 (147.838)
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平均降雨日数 (≥0.1 mm)
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21.0
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19.6
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21.1
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17.2
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18.8
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14.2
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9.2
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11.5
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15.0
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17.7
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19.9
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20.1
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205.3
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% 湿度
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81.2
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82.5
|
83.6
|
81.6
|
81.7
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79.6
|
75.1
|
76.7
|
78.6
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79.2
|
79.0
|
78.5
|
79.8
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平均月間日照時間
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54.5
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48.0
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65.6
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83.4
|
90.3
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125.4
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203.0
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192.5
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149.1
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94.3
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58.7
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52.6
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1,217.4
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出典:中央気象局[7]
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行政区画
歴史
「基隆」という地名の由来は、元々この地一帯に住んでいた台湾原住民平埔族ケタガラン族の族名がなまってケランとなり、それに台湾語音によって漢字が宛てられ、鶏籠(雞籠, ケーラン)と呼ばれていたことに由来する。今日でも台湾語ではこう呼ばれる。
1626年にスペイン人が社寮島(現在の和平島(中国語版))を占領しサン・サルバドル城(聖薩爾瓦多城(中国語版))を築き、その頃には先住民や漢人の町が形成された。1642年にオランダ人がスペイン人に代わって社寮島を占領し、石炭や金の採掘に着手したが、1668年に鄭経がオランダ人を駆逐し拠点とした港町である。その後1683年に清朝の支配下に入る。これにより入植する漢人が増えたが、イギリスの軍船による侵犯事件が起こる。清朝統治時代の1863年、対外的に正式に開港した。さらに1875年に清朝政府がここに台北分防通判を置いたことから、ケーランと近い音でさらに「基地昇隆」の意味を込めて、鶏籠から基隆(キールン)に改称した[4](客家語発音である)。
1884年にフランス軍が基隆に上陸し劉銘伝率いる部隊と8ヶ月に渡り対峙する清仏戦争が起こった。1886年に劉銘伝は台湾巡撫に就任し、基隆の重要性を認識していたので、鉄道の建設、港湾や砲台の修復を積極的に進め、台湾初となる鉄道トンネルとなる獅球嶺隧道を完成させた。
1895年に日本が下関条約により台湾を接収、澳底に上陸ののち基隆に入った。以後の日本統治時代も一貫して正式な読みは「きいるん」であった。基隆は日本統治時代以前から対外貿易の拠点となっていたが港湾の水深が浅く岩礁も多かったため大型船の停泊には適さず、近代的な港としての発展には限界があった。日本政府は台湾統治を開始した4年後の1899年より港湾周囲の浚渫(しゅんせつ)工事と防波堤の建設などを進め、1万トン級の船舶が停泊可能な近代港湾として整備した。同時に基隆は台湾縦貫鉄道の北側の起点とされ、その経済的な重要性はさらに高まった。また軍事面でも基隆は海軍が駐留する軍港とされ要塞地帯(基隆要塞)にも指定されていた。
基隆は台湾北部に位置し、内地に最も近い立地のため、内地との貿易港としても繁栄した。また内地から移住する多くの日本人により急速に都市化が進展、1924年には市制が施行され人口は約7万(内地人が25%)の都市へと発展した。太平洋戦争(大東亜戦争)中は、その重要性から米軍の攻撃も受けている。
現在、基隆は台湾北部の港湾都市として、台北市の外港・衛星都市として発展している。1984年には、コンテナ貨物業務の取扱量世界第7位を記録し、輸出入取扱総額台湾一の港湾として現在に至る。このために外省人が多く、国民党勢力圏となっている。近年は基隆港周辺の整備による観光化が行われている。
年表
- 1920年 - 行政区域改革により、台北庁基隆支庁基隆区が台北州基隆郡基隆街となる。
- 1924年10月 - 基隆郡基隆街が市制施行し、基隆市が発足。
- 1945年 - 中華民国国民政府による台湾光復後、基隆市は省轄市となり、台湾省に帰属するようになった。(5区)
- 堀川町・双葉町・天神町・高砂町・旭町・滝川町・福徳町・元町・玉田町の地域をもって、一区を設置。
- 寿町・幸町・東町・緑町・田寮町・曙町、大字大水窟・深澳坑の地域をもって、二区を設置。
- 義重町・日新町・真砂町・社寮町・浜町・入船町、大字八斗子・基隆嶼・花瓶嶼・綿花嶼・彭佳嶼の地域をもって、三区を設置。
- 観音町・宝町・西町の一部、大字大武崙の地域をもって、四区を設置。
- 明治町・大正町・昭和町・仙洞町・西町の一部、大字外木山・内木山・大竿林の地域をもって、五区を設置。
- 1946年 (5区)
- 1947年1月18日 - 台北県基隆区七堵郷を編入。(6区)
- 1949年2月1日 - 七堵区の一部が分立し、暖暖区が発足。(7区)
- 1988年 - 七堵区の一部が安楽区に編入。(7区)
- 1994年 - 省轄市が市に改称される。
政治
行政
市長
日本統治時代
基隆市尹
基隆市長
中華民国時代
- 官選市長
- 民選市長
施設
ホール
図書館
なお、各区に区立図書館がある。
スポーツ
その他
対外関係
姉妹都市・提携都市
- アジア
- 大洋州
- 北米
- 南米
- アフリカ
教育
大学
技術学院
高級中学
高級職業学校
国民中学、国民小学については下部行政区の項目を参照。
交通
鉄道
台湾鉄路管理局
捷運、ライトレール
地元には台北捷運板南線の延伸を求める声があるが、現在のところ具体的な計画はない。
現在、基隆市政府は市内を連絡する交通手段としてライトレール方式の基隆軽軌が計画中である。全部の計画路線は下記の通り。
※台北捷運民生汐止線(ライトレール)と直通運転の予定。
バス
道路
高速道路
省道
水上交通
観光
名所
文化・名物
祭り
- 毎年、鬼月(亡霊の月)と称される旧暦7月頃に盛大な普度活動(盂蘭盆)が行われる。台湾の十二大文化祭りの1つとして有名。
出身有名人
- 白冰冰
- 羅志祥(ショウ・ルオ)
- 陳其邁(現高雄市長、元・行政院副院長)
- 高嘉瑜(PTT管理人、台北市議、民主進歩党立法委員)
脚注
注釈
- ^ 但し1998年に台湾省の機能が凍結(虚省化)されたことに伴って省という区分も名目上のものとなった。
出典
関連項目
外部リンク
ウィキメディア・コモンズには、
基隆市に関連する
メディアおよび
カテゴリがあります。
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14二級行政区(3市・11県) |
現行の行政区画(2014年 - ) |
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