このような2確率変数の同時確率質量関数を表にまとめると、表1のようになる。可能な事象は3つなので、2×2の表では (1, 0) の確率は0である。表の最終列と最終行は各々 X と Y の分布である。これを同時確率質量関数の周辺確率質量関数または周辺分布と呼び、行和や列和を計算して求めることができる。この周辺分布より、E (X) = 1/2, V (X) = 1/4, E (Y) = 3/4, V (Y) = 3/16 などが求められる。同時確率質量関数からは X と Y の積の期待値や共分散などが計算できる。計算方法は1変数の期待値と同様で、E (XY) = ((X × Y) × (X × Y) が起きる確率) の総和と定義される。上記の例では 1/2 となる。共分散は Cov (X, Y) = E (XY) − E (X) E (Y) であり、1/8 と求められる。X と Y の結びつき具合を示す母関数係数は ρ = Cov (X, Y) / (V (X) V (Y))1/2 と定義され、これは 1/31/2 である。なお、同時確率質量関数から求める母相関係数と、データの特性を調べるために求める標本相関係数の違いには注意が必要である(相関係数を参照)。条件付き確率質量関数とは、このような同時確率質量関数の任意の行あるいは列を選択して、確率の総和が 1 になるように調整したものをいう。例えば、Y = 1 の条件をつけた場合の X の条件付き分布は、0 と 1 を各々 1/3 と 2/3 で執る分布である。1/3 は (0, 1) が起きる確率 1/4 を列和の 3/4 で割って求める。Y = 0 の条件をつけた X は確率 1 で 0 になる。これは退化分布である。
条件付き確率質量関数も確率質量関数の要件を満たしていることから、条件付き確率質量関数について、期待値・分散を計算できる。これを条件付期待値・条件付き分散(偏分散)という。例えば、Y = 1 の条件を付した場合の X の条件付き期待値は、E (X | Y = 1) = 2/3, E (X | Y = 0) = 0、条件付き分散は V (X | Y = 1) = 2/9, E (X | Y = 0) = 0 などとなる。条件によって値は変化する。