数学 の実解析 あるいは測度論 の分野におけるヴィタリの収束定理 (ヴィタリのしゅうそくていり、英 : Vitali convergence theorem )とは、イタリア の数学者 ジュゼッペ・ヴィタリ (英語版 ) の名にちなむ定理で、アンリ・ルベーグ の有名な優収束定理 の一般化として知られる。一様可積分性 に依存する強い結果であり、問題となる関数列に対して支配的な関数を見つけることが出来ないときに重宝する。そのような支配的な関数を見つけられるときは、ルベーグの定理がヴィタリの定理の特別な場合として従う。
定理の内容
(
X
,
F
,
μ μ -->
)
{\displaystyle (X,{\mathcal {F}},\mu )}
を正の測度空間 とする。もし
μ μ -->
(
X
)
<
∞ ∞ -->
{\displaystyle \mu (X)<\infty }
{
f
n
}
{\displaystyle \{f_{n}\}}
は一様可積分
f
n
(
x
)
→ → -->
f
(
x
)
{\displaystyle f_{n}(x)\to f(x)}
a.e. as
n
→ → -->
∞ ∞ -->
{\displaystyle n\to \infty }
|
f
(
x
)
|
<
∞ ∞ -->
{\displaystyle |f(x)|<\infty }
a.e.
が満たされるなら、次が成立する:[ 1]
f
∈ ∈ -->
L
1
(
μ μ -->
)
{\displaystyle f\in {\mathcal {L}}^{1}(\mu )}
lim
n
→ → -->
∞ ∞ -->
∫ ∫ -->
X
|
f
n
− − -->
f
|
d
μ μ -->
=
0
{\displaystyle \lim _{n\to \infty }\int _{X}|f_{n}-f|d\mu =0}
.
証明の概略
定理の1を証明するために、ファトゥの補題 を用いる:
∫ ∫ -->
X
|
f
|
d
μ μ -->
≤ ≤ -->
lim inf
n
→ → -->
∞ ∞ -->
∫ ∫ -->
X
|
f
n
|
d
μ μ -->
{\displaystyle \int _{X}|f|d\mu \leq \liminf _{n\to \infty }\int _{X}|f_{n}|d\mu }
一様可積分性により、
μ μ -->
(
E
)
<
δ δ -->
{\displaystyle \mu (E)<\delta }
であるような集合
E
{\displaystyle E}
に対して、
∫ ∫ -->
E
|
f
n
|
d
μ μ -->
<
1
{\displaystyle \int _{E}|f_{n}|d\mu <1}
where
E
{\displaystyle E}
が得られる。
エゴロフの定理 (英語版 ) より、
f
n
{\displaystyle {f_{n}}}
は集合
E
C
{\displaystyle E^{C}}
上で一様収束する。
p
{\displaystyle p}
を十分大きいとしたとき、すべての
n
>
p
{\displaystyle n>p}
に対して
∫ ∫ -->
E
C
|
f
n
− − -->
f
p
|
d
μ μ -->
<
1
{\displaystyle \int _{E^{C}}|f_{n}-f_{p}|d\mu <1}
が成立する。三角不等式 により
∫ ∫ -->
E
C
|
f
n
|
d
μ μ -->
≤ ≤ -->
∫ ∫ -->
E
C
|
f
p
|
d
μ μ -->
+
1
=
M
{\displaystyle \int _{E^{C}}|f_{n}|d\mu \leq \int _{E^{C}}|f_{p}|d\mu +1=M}
を得る。
これらの上界に関する不等式を、初めのファトウの補題による不等式の右辺に適用することにより、定理の1は示される。
定理の2のために、不等式
∫ ∫ -->
X
|
f
− − -->
f
n
|
d
μ μ -->
≤ ≤ -->
∫ ∫ -->
E
|
f
|
d
μ μ -->
+
∫ ∫ -->
E
|
f
n
|
d
μ μ -->
+
∫ ∫ -->
E
C
|
f
− − -->
f
n
|
d
μ μ -->
{\displaystyle \int _{X}|f-f_{n}|d\mu \leq \int _{E}|f|d\mu +\int _{E}|f_{n}|d\mu +\int _{E^{C}}|f-f_{n}|d\mu }
を用いる。ここで
E
∈ ∈ -->
X
{\displaystyle E\in X}
であり
μ μ -->
(
E
)
<
δ δ -->
{\displaystyle \mu (E)<\delta }
である。
この右辺の項はそれぞれ、上の定理の1と
f
n
{\displaystyle f_{n}}
の一様可積分性、すべての
n
>
N
{\displaystyle n>N}
に対するエゴロフの定理を用いることにより、任意に小さく出来ることが分かる。
定理の逆
(
X
,
F
,
μ μ -->
)
{\displaystyle (X,{\mathcal {F}},\mu )}
を正の測度空間 とする。もし
μ μ -->
(
X
)
<
∞ ∞ -->
{\displaystyle \mu (X)<\infty }
f
n
∈ ∈ -->
L
1
(
μ μ -->
)
{\displaystyle f_{n}\in {\mathcal {L}}^{1}(\mu )}
lim
n
→ → -->
∞ ∞ -->
∫ ∫ -->
E
f
n
d
μ μ -->
{\displaystyle \lim _{n\to \infty }\int _{E}f_{n}d\mu }
はすべての
E
∈ ∈ -->
F
{\displaystyle E\in {\mathcal {F}}}
に対して存在する
が満たされるなら、
{
f
n
}
{\displaystyle \{f_{n}\}}
は一様可積分である[ 1] 。
脚注
参考文献
Folland, Gerald B. (1999). Real analysis . Pure and Applied Mathematics (New York) (Second edition ed.). New York: John Wiley & Sons Inc.. pp. xvi+386. ISBN 0-471-31716-0 MR 1681462
Rosenthal, Jeffrey S. (2006). A first look at rigorous probability theory (Second edition ed.). Hackensack, NJ: World Scientific Publishing Co. Pte. Ltd.. pp. xvi+219. ISBN 978-981-270-371-2 MR 2279622
外部リンク