内藤 誠(ないとう まこと 1936年3月6日 - )は、日本の映画監督、脚本家、著述家。元中部大学人文学部教授。元日本大学芸術学部映画学科講師。
人物・来歴
愛知県名古屋市出身。愛知県立刈谷高等学校を経て、1959年、早稲田大学政治経済学部新聞学科を卒業。唯一、受けた東映の入社試験に合格[1]、東京撮影所に配属される。受験に当たっては師事する木村毅から紹介された雪代敬子に保証人を頼んだ[1]。
佐伯清、成澤昌茂、マキノ雅弘、石井輝男らの助監督を経て1969年に監督に昇進し、主に当時の東映の主流である東映京都撮影所作品などの併映作品、俗に言う「B面映画」の職人監督として活躍した。山下耕作監督『釜ケ崎極道』のB面『ネオンくらげ』は「傑作青春ムービー」[2]、深作欣二監督『仁義なき戦い 代理戦争』のB面『番格ロック』は「女性バードボイルド映画の傑作」[3]と評される。
1979年、東映の子会社東映セントラルフィルムで撮った『十代 恵子の場合』を最後に東映を退社、フリーとなる[4]。その後の活動はインディペンデント映画、テレビドラマ、特撮、アニメ、教育映画など、多岐に渡る。1981年には千葉真一主演の『冒険者カミカゼ -ADVENTURER KAMIKAZE-』の脚本を執筆。1984年の正月映画では4本もの作品に脚本として関わった。また、筒井康隆作品を2作(『俗物図鑑』『スタア』)映画化している。
一方で著述家、翻訳家としても活動。1993年にはイアン・マッカーサー著『快楽亭ブラック 忘れられたニッポン最高の外人タレント』の翻訳で翻訳特別功労賞を受章。日本大学芸術学部映画学科、中部大学人文学部でも長く教鞭をとり、後進の指導に当たった。
1983年、大林宣彦監督の『時をかける少女』に主演の原田知世演じる芳山和子の父親・哲夫役として友情出演。
1995年、芸能事務所「沢井プロダクション」の俳優養成所にて、演技講師を務める。
2010年、24年ぶりとなる監督作『明日泣く』(色川武大原作)を製作、2011年11月に劇場公開。2014年には評論家坪内祐三のエッセイ「酒中日記」を坪内本人の主演で映像化、2015年に劇場公開された。
弟の内藤豊は、テレビディレクターであり翻訳家[5]。息子の内藤研は映画研究者・脚本家(1967年、神奈川県生まれ)。
受賞歴
- 1979年 - 児童映画『わたんべとすばらしい仲間』にて教育映画コンクール文部大臣賞
- 1980年 - 児童映画『生きものと教室の仲間たち』にて教育映画祭優秀作品賞・動物愛護映画コンクール最優秀作品賞・内閣総理大臣賞
監督作品
映画
- 1968年
- 1969年
- 1970年
- 不良番長 王手飛車
- 不良番長 出たとこ勝負
- 不良番長 暴走バギー団
- 1971年
- 1972年
- 1973年
- 1974年
- 1975年
- 若い貴族たち 13階段のマキ
- 青春讃歌 暴力学園大革命
- 男組
- 1977年
- 1979年
- 1980年
- ミスターどん兵衛(脚本も担当)
- 生きものと教室の仲間たち(脚本も担当。16ミリフィルム)
- 時の娘
- 1982年
- 1986年
- 1987年
- 2011年
- 2015年
テレビドラマ
脚本
映画
- 1970年
- 1973年
- 1975年
- 若い貴族たち 13階段のマキ - 金子武郎との共同
- 1977年
- 1979年
- 1980年
- 1981年
- 1982年
- 宇能鴻一郎の人妻いじめ - 桂千穂との共同
- あんねの子守唄 - 木村智美、桂千穂との共同
- 俗物図鑑 - 桂千穂との共同
- 1983年
- 1984年
- 1985年
- 1986年
- 1987年
- 1988年
- 1990年
- コードネーム348 女刑事 サシバ
- 殺しのメロディ Lady Smith
- 1991年
テレビドラマ
- 1972年
- 1973年
- 1979年
- 1981年
- 1987年
企画
映画
出演
映画
バラエティ番組
著作
著書
- インディアン日本をめざす (小峰書店、1977年11月)
- 友よメキシコよ (小峰書店、1979年11月)
- 昭和の映画少年 (秀英書房、1981年4月)
- 映画的筒井論と康隆的映画論 (有楽出版社、1985年10月)
- 実感的シナリオ講座 (桂千穂、如月小春との共著、風媒社、1986年4月)
- 少女物語 (小峰書店、1986年3月)
- 怖いこわーい町 (小峰書店、1988年7月)
- アイドル先生は恋のヒミツがいっぱい!? (ポプラ社、1990年5月)
- 水郷柳川・白秋祭殺人事件 (有楽出版社、1991年12月)
- 物語依存症 (白地社、1991年10月)
- 映画百年の事件簿 (角川書店、1995年3月)
- シネマと銃口と怪人 (平凡社ライブラリー、1997年8月)
- 昭和映画史ノート (平凡社新書、2001年7月)
- 事件とシネマ (中部大学、2006年1月)
- 外国人が見た古き良き日本 (講談社インターナショナル、2008年1月)対英訳
- 日本を愛した外国人たち (内藤研との共著 講談社インターナショナル、2009年6月)対英訳
- 偏屈系映画図鑑 (キネマ旬報社、2011年11月)
- 監督ばか (彩流社、2014年6月)
- 編集ばか (坪内祐三・名田屋昭二との共著、彩流社、2015年11月)
- 監督 山際永三、大いに語る 映画『狂熱の果て』から「オウム事件」まで (山際永三・内藤研との共著、彩流社、2018年9月)
- まんが 古関裕而ものがたり 名曲でふりかえる「昭和」とオリンピック (原作 画:三代目仙之助、彩流社、2020年3月)
- 映画の不良性感度(小学館新書、2022年4月)
訳書
- 『ママ・アイラブユー』ウィリアム・サローヤン ワーク・ショップガルダ(岸田今日子と共訳、のちブロンズ新社、のち新潮文庫) 1978年10月
- 『ロック・ワグラム』ウィリアム・サローヤン 新潮社、1990年2月
- 『快楽亭ブラック』イアン・マッカーサー 講談社、1992年9月(堀内久美子と共訳)
- 『母が教えてくれた歌』 マーロン・ブランド、ロバート・リンゼイ 角川書店、1995年6月(雨海弘美と共訳)
- 『サローヤン伝説』 ローレンス・リー、バリー・ギフォード ワールドマガジン社、1997年2月(堀内久美子と共訳)
脚注
- ^ a b 内藤誠『監督ばか』彩流社〈フィギュール彩〉、2014年6月、13-14頁。
- ^ “THE ネオンくらげ”. ラピュタ阿佐ケ谷. 2024年5月7日閲覧。
- ^ 松崎憲晃 編『映画秘宝EX 鮮烈!アナーキー日本映画史1959-1979』洋泉社〈洋泉社MOOK〉、2012年5月、147頁。
- ^ 木全公彦. “コラム 『日本映画の玉(ギョク)』 「母に捧げるバラード」のこと”. 映画の國. マーメイドフィルム. 2024年5月7日閲覧。
- ^ 杉本武之. “田村孟さんをめぐって(3)内藤豊さんとの出会い”. ちたろまん. 2024年5月7日閲覧。
- ^ ※ 助監督として参加。
- ^ ※ 第4話で監督・脚本の両方を担当している。
- ^ a b ※ 内藤まこと名義で参加。
- ^ ※ 原野 立と共同執筆、ノンクレジット。
- ^ ※ 内藤まこと名義で参加し、第9話・第10話を担当。佐伯俊道と共同で執筆した。
- ^ ※ 原野 立と共同執筆、ノンクレジット。
関連文献
関連項目
外部リンク