大滝神社脇の湧水池
八ヶ岳南麓高原湧水群 (やつがたけなんろくこうげんゆうすいぐん)は、山梨県 北杜市 長坂町 大泉町 高根町 および小淵沢町 に点在する湧水 群である。この湧水群は1985年 (昭和 60年)、名水百選 のひとつに選定された[ 1] 。
概要
八ヶ岳 南方にある権現岳 の水源林 の水や雨水 が、成層火山 の編笠山 の火成岩 等に浸透して地下水 となり、清里高原 地下の帯水層 を経て、中央本線 小淵沢駅 付近に湧出すると考えられているが、詳細な調査研究は東京海洋大学 の水圏科学フィールド教育研究センター等で行われている[ 2] 。代表的な湧水地として「大滝湧水」「三分一湧水」「女取湧水 」が挙げられ、近隣には「大湧水」「吐竜の滝」「宮司の滝」「三味線滝」や、湧水群を水源に上水道 源となる大門ダム がある。
大滝湧水
大滝神社と大滝湧水
大滝湧水(おおたきゆうすい)は、小淵沢町上笹尾から湧く水。大滝神社 の地内にあり、木をくり抜いた樋口 から日量約22,000t 、水温約12℃ の湧水が流れ落ちる[ 3] 。
大滝神社由来記には武渟川別 が訪問した際、清水の湧出を農業の本、国民の生命、肇国の基礎と称賛して祭祀 したと記されている。古くから伝記としては井戸水が濁った時、この湧水を井戸水に注入すれば清澄になると言われている。江戸時代 には甲府代官 が民有地を買い上げ、湧水の保全を図った。
現代では地区住民によって管理され、水田 の灌漑やニジマス の養殖に利用されている[ 3] 。周りは公園 として整備されていて景観が良く、春には新緑 を、秋には紅葉 を楽しめる[ 3] 。
アクセス
鉄道の場合
JR中央本線 ・小海線 小淵沢駅 で下車
駅より徒歩約20分
駅よりバス利用の場合、北杜市民バス 北部巡回線「滝の前」停留所下車後徒歩約10分、もしくは小淵沢巡回線(水・土曜日のみ運行)「大滝公園入口」停留所下車後徒歩約5分
自動車の場合
三分一湧水
三分一湧水(2023年)
三分一湧水(さんぶいちゆうすい)は、長坂町小荒間から湧く水。日量8,500tの豊かな湧水で、水温は年間を通じて10℃前後に保たれている[ 4] 。飲用には適さず、農業用水として利用されている[ 5] 。
この湧水の利用を巡って下流の村々で長年続いた争いをおさめるため、江戸時代に湧出口の分水枡に三角木柱の利水 施設が造られた。これにより、湧水を三方向の村落に三分一の量ずつ平等に分配できるようになり、三分一湧水の名の由来となった。現代では1922年(大正 11年)に完成した石造の枡が用いられ、水利権 を持つ地区住民が組織する管理組合や地元住民によって管理されている。1943年(昭和18年)に一度山津波 によって破壊されたが、後に復旧した。
毎年6月1日 には、「水元」と称される旧小荒間村の坂本家を主座とする関係集落の立ち合いのもとに分水行事が行われている。
大湧水
大泉村は、1875年(明治8年)谷戸村と西井出村が合併する際に、両旧村の境界にあった泉川の水源「大湧水(だいゆうすい)」にちなんで名付けられた[ 6] 。大湧水は、地元では「泉さん」の愛称で親しまれている[ 6] 。この大湧水は海抜1060mの高原に位置し、一年中「毎分2.5トン」「水温10.0℃」と水量・水温に変化がなく、湧水量が一日4520トンと豊富なため、飲料水・灌漑用水・養魚場など多方面で利用されている[ 6] 。1933年(昭和8年)12月に大泉村湧水地を含め約7000坪を農林省に寄付し、現在は東京水産大学(現:東京海洋大学)に引き継がれ、この湧水を利用して渓流高級魚の生態を研究している[ 6] 。見学する場合は事前の申し込み(大泉総合支所地域振興課 TEL 0551-42-1463)
が必要[ 7] 。
女取湧水
その他の八ヶ岳南麓高原湧水群
脚注
外部リンク
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三分一湧水 に関連するカテゴリがあります。