下村 陽子(しもむら ようこ、1967年10月19日 - )は、日本の作曲家、編曲家。兵庫県生まれ。大阪音楽大学短期大学部音楽科器楽専攻卒業。
主にゲームミュージックの作曲活動で知られる。担当作品に『ストリートファイターII』、『スーパーマリオRPG』『マリオ&ルイージRPG』シリーズ、『キングダム ハーツ シリーズ』、『ファイナルファンタジーXV』など。
カプコン、スクウェア(現スクウェア・エニックス)を経て、フリー。ゲーム以外にも映画やテレビアニメ、舞台作品に関わり、活躍の場を広げている。
来歴
4歳の頃にピアノを始める。小学6年生の時に本人いわく「スイッチが入って」練習に熱を入れるようになり、中学からは音楽漬けの生活を送る。高校の時には指揮を習い、ブラスバンドではフルートを担当した[1]。大阪音楽大学短期大学部でピアノを専攻。また、副専攻で作曲を学んだ[2][3]。
卒業後、カプコンに入社。『ストリートファイターII』など数々の音楽を手がける。しかし、コンシューマーゲームの制作から外れ、アーケードゲームの担当に移ったことや、「RPGが作りたかった」という理由から、1993年、スクウェアに転職[4][5]。念願のファンタジーRPGである『聖剣伝説 LEGEND OF MANA』をはじめ数々の音楽を手がける[6][7]
2002年末にスクウェアを退社し、フリーとして活動を行う[8][9]。その後も、古巣のカプコン、スクウェアの後継会社であるスクウェア・エニックスや任天堂の作品など、ゲーム音楽を中心に活動を行っている。
人物
自分自身を『直情型』と評するように[10]、直感的な作曲傾向が見られるが、『パラサイト・イヴ』では感情を封印した曲作りを行っている[11]。同作の制作中からMacintoshを仕事に取り入れるようになり、楽曲制作にはDigital Performerを使用している[12]。通称「下村節」と呼ばれ最も得意としているのは16ビートのバトル曲。[要出典]
最も感動したゲーム音楽には『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』の「おおぞらをとぶ」(すぎやまこういち作曲)を挙げており、「これほどの曲が作れたなら、その瞬間に死んでも構わない」と思わせる程の衝撃であったと語っている[13]。また、凄いと思ったミュージックコンポーザーに任天堂の近藤浩治[13]、クラシックの分野で好きな作曲家にラフマニノフ、ショパンらを挙げている[14]。
担当作品
ゲームソフト
※印が付いている作品は数曲のみの一部参加タイトル。また、印が付いていないタイトルも、一部他の作曲者による楽曲が含まれているものがある。
カプコン在籍時代
カプコンサウンドチーム「ALPH LYLA」の一員としての仕事のため、メイン担当作品でも他のコンポーザーの曲が含まれている作品も存在する。この頃は「ぴぃ♪」「SHIMO P」などの名前で活動していた。
スクウェア(現スクウェア・エニックス)在籍時代
フリー以降
メイン担当作品
メインコンポーザーとして関わったタイトル。他の作曲家との共同担当を含む。
一部参加作品
ゲストコンポーザーとして参加したタイトル。1曲、あるいは数曲の提供が中心。
映画
テレビアニメ
テレビ番組
舞台作品
- Pures 「終わらない僕たちの夜〜The spring time of life〜」(2006年)
- R:MIX 「魔王降臨」(2006年)
- Puresセカンドエディション 「バレンタイン☆キッス」(2007年) - 複数の作曲家と共作、数曲担当
- R:MIX 「ストラルドブラグ」(2007年、2010年) - 複数の作曲家と共作、数曲担当
- R:MIX 「魔王転生」(2008年) - 複数の作曲家と共作、数曲担当
- 宝塚歌劇団 「天は赤い河のほとり」(2018年) - 2曲提供
ソロアルバム
- drammatica -The Very Best of Yoko Shimomura- (2008年) - 作曲家20周年記念アルバム。
- memória! The Very Best of Yoko Shimomura (2014年) - 作曲家25周年記念アルバム。
アレンジアルバム
- parasite eve remixes (1998年)
- STREET FIGHTER Tribute Album(2003年)
- Piano Collections KINGDOM HEARTS (2009年)
- Piano Collections KINGDOM HEARTS FIELD & BATTLE (2010年)
- 聖剣伝説 LEGEND OF MANA Arrangement Album -Promise- (2015年)
- Piano Collections FINAL FANTASY XV (2017年)
楽曲提供
作品解説
- 『マリオ&ルイージRPGシリーズ』
- 『マリオ&ルイージRPGシリーズ』のBGMは元の『マリオシリーズ』の雰囲気を踏襲したラテンテイストのものが主だが、ラストバトルのBGMはそれまでの雰囲気とは一変した非常に重厚なBGMとなっている。これは「自分の世界とは違う異質なものを作るため、それまで作ってきた世界観を忘れて作曲しているから」だと語っている[24]。
備考
脚注
参考文献
- 田渕亮「特集ゲームオンガク SPECIAL INTERVIEW 2 下村陽子 楽曲が彩るのはゲームの世界観」『DTM magazine 2014年9月号』寺島情報企画、2014年。
- 「ゲーム・ミュージックのメロディ職人たち Yoko Shimomura Interview」『Keyboard magazine 2017年 SUMMER Vol.397』リットーミュージック、2017年。
- 田中“hally”治久、糸田屯『ゲーム音楽家インタヴュー集──プロのベテラン18人が語るそれぞれのルーツ』Pヴァイン、2023年。
関連項目
外部リンク