『勇者30 SECOND』(ゆうしゃさんじゅう せかんど)は、2011年8月4日にマーベラスエンターテイメントから発売されたPlayStation Portable用のゲームソフト。
2014年4月4日にはWindows版がSteamで『Half-Minute Hero: The Second Coming』として発売された。
フリーゲームの『三十秒勇者』が元となった『勇者30』の続編となっており、システムが王道のRPGに一本化され、新しいゲームモードやシステムを採用した他、プレイヤーがステージを作成するロマンシング・ツクレールも追加された。
前作の正当な続編であり、前作の登場人物や敵、アイテムも多数登場する。ゲーム画面は変わらず拡大されたようなドット絵だが、前作よりもドットが細かく精密に描かれている。
ジャンル名は「超速ドラマチックRPG」。その名の通り今作は前作以上にストーリー性を重視しており、全5章からなる一貫した物語になっている。本編のクエストだけでもその数は70を超える。魔王や神が世界を滅ぼすまでの30秒以内にその元凶を倒なければならない。中には別の理由で30秒の制限時間が設けられていたり、逆に30秒耐え抜くミッションなども存在する。
ダウンロードコンテンツ(以下、DLC)を導入することでステージを追加することが出来る。料金は500円でPlayStation Storeから利用可能。初回版にはDLCのプロダクトコードも同梱されている。
「週刊ファミ通」2011年8月11日号の新作ゲームクロスレビューにてゴールド殿堂入りを果たした。
レベルを上げ、装備を整え、町の人の頼みをきく……などのRPGでよくあることを、全て30秒以内にやらなければならない。が、町にいる間だけは時間が止まる。ステージの中には、サブイベントや隠しアイテムが多数盛り込まれている。
また時間がなくなってきたら、時の女神や30号にお祈りをすることで、30秒まで時間を巻き戻してもらえる。ただし有料であり、時間を戻すたびに要求される金額は高くなっていく。
前作と違いシンボルエンカウント制になっており、敵の強さが敵アイコンで点滅する光の色で分かるようになっている。点滅しない敵は主人公と同格。黄色く点滅する敵は少し強く、赤はかなり強い。青く点滅する敵は主人公より圧倒的に弱く、接触すると戦闘に入ることなく倒すことが出来る。
基本的なシステムは前作と同じだが、本作は新たなシステムも盛り込んでいる。主なものを以下に記す。
前作はステージ毎に仲間が存在したが、今作は仲間になったキャラはイベントで外れない限りそのまま主人公に同行する。そのため、仲間が多くなれば最大5人のパーティを編成する必要がある。また、「陣形」を選択することも可能でさまざまな恩恵を受けることが出来る。
今作では戦闘中にスキル(必殺技)が発動することがある。スキル毎に閃き率が設定されており、発動すればその間は時間が停止して攻撃や回復などの効果を発揮する。主人公は武器から取得可能で、装備中の武器のスキルとマスターしたスキルを使用することが出来る。仲間達はそれぞれ専用のスキルを持つ。
主人公はクラスを変更することが出来る。剣士、槍使いなどが存在し、それぞれ使用可能スキルやパラメータ、得意武器が異なる。
クエスト以外の移動パート。ステージ選択制だった前作とは異なり、今作はステージ間は自由に冒険出来るようになっている。時間制限はないが、同時に時の女神の加護もないため、得られる経験値とお金は微々たるものである。しかし、グローバル中に得たそれらは一切没収されることはないため、ここでレベルを上げればその分強い状態からステージを開始することが出来る。
グローバル中に立ち入ることが出来るダンジョン。一度クエストでクリアしたダンジョンに限るが、クエスト中とは内部構造が変わっている。レアなアイテムが存在し、中には条件を満たさなければ開かない扉などもある。ただし、ダンジョン内でやられると得たアイテムは全て宝箱に戻ってしまう。アイテムを持ち帰るには一度自分の足でダンジョンを出なければならない。
ストーリーが進むと手に入る移動要塞。城に足が付いただけのシンプルなデザインだが、戦闘も可能。中には仲間達が居て会話をしたり買い物をすることが出来る。増築することで城の上に新たな城を乗せることが出来る。城はパーツとして分類され、西洋の城以外にも日本風の城やお菓子の城など、さまざまな種類が用意されている。また、脚部もいくつかのパーツが用意されている。最初の段階では移動可能な地形が少ないという制約があるが、新しいエンジンを搭載することで移動可能範囲が広がる。勇者城はストーリーを跨いでもすぐに登場するため、ゲーム全体を通して利用することになる。
クエスト中も乗り込んで操縦可能。通常のモンスターであれば踏み潰して瞬殺出来る。クエスト中には巨大モンスターが登場することもあり、どんなにレベルが高くても生身では一瞬でやられてしまう。これらを倒すには勇者城で戦う必要がある。また、勇者城もクエスト中は超速レベルアップ可能で、モンスターを倒す度にスピードや戦闘力が上昇する(小さいモンスターを踏み潰すだけでも良い)。ただし、小さいモンスターを踏み潰してもお金は手に入らない。
前作同様、多数の称号が存在するが、今作では集めた称号に応じて褒美がもらえるシステムとなっている。勇者城に勝手に住み着いたマオウに話すと取得済みの称号が確認でき、一定数集めるとアイテムが貰える。
クエスト中に借金が可能。ただし、利子は毎秒3%と高額で、返済しないままボスを倒そうとすると「借金鳥」という強力なモンスターに襲われてしまう。
クリア済みのステージは何度も挑戦出来るが、前作とは違ってそのステージ以降に手に入れた装備品の持ち込みも可能。また、初期レベルもグローバルレベルが適用される。
ストーリーは大きく分けて5つだがこの他にもさまざまなモードが存在する。
「序曲」を意味する本作の序章。前作の最後の戦いより100年後、女神暦600年が舞台。主人公はブレイブ王国・王宮直属遊撃隊の隊長ユーシャ。エイトエレメンツという獣討伐の任務を受けたユーシャ。彼らがホロビのブレスを放つまでの30秒間に討伐する。
パーティに加わるキャラはナイト、ルルフィ、ローケン、ガイ。クエストの数は12個。
OVERTUREとJUDGEMENTはいわば前編、後編に当たるシナリオであるため、他のシナリオに比べるとクエスト数は少なめである。
「天罰」を意味する第二章でありユーシャ編終章。OVERTUREをクリアするとプレイ可能になる。エイトエレメンツの全滅により魔界の封印が解け、地上に攻めてきた魔王達を倒す。
パーティに加わるキャラはコール、リィナ、オルトロス。隠しキャラとしてグリアードがパーティに加わる。このシナリオで「勇者城」を入手する。クエストの数は13個。
「変革」を意味する第三章。JUDGEMENTをクリアするとプレイ可能になる。
女神暦800年の平和な世界が舞台。他のシナリオに比べると文明が発達しており、SF要素も登場する。育ちのいい王国の王女のユシアが主人公。魔王兵器と人造魔王「グリモワール」を作り出す帝国との戦いを描く。
パーティに加わるキャラはレバン、ナナコ、シャマル、テツ、シルベリア、アテナ、おじさま。クエストの数はダウンロードコンテンツ(DLC)を含めると25個。
「終末」を意味する第四章。REVOLUTIONをクリアするとプレイ可能になる。
女神暦999年の神々によって荒廃した世界が舞台。主人公は破天荒なレジスタンスのリーダー・ユウジャ。
REVOLUTIONの後、地上へと出て来て人類との共存を始めた魔族。しかし神々は魔族を悪と認識し、殲滅するために地上へ降臨。ハメツの詩を唱える神々と、豹変した時の女神(黒女神)との戦いを描く。
このシナリオでは序盤を除いて時の女神が同行しないため、時の女神型アンドロイド・30号に時間を巻き戻してもらう。
パーティに加わるキャラはカリン、フランシスカ、天使オロンまたは悪魔オロン、サッチャン。隠しキャラとしてコザイン、アシュラコがパーティに加わる。クエストの数はDLCを含めると26個。
「運命」を意味する最終章。RAGNAROKをクリアするとプレイ可能になる。
RAGNAROKの直後、時の女神が自分を操っていた運命に復讐するために勇者城ごと天界に乗り込むところから始まる。復活したユーシャが再び主人公を務め、仲間を集めて運命の打倒を目指す。
パーティに加わるキャラはユウジャ、ユシア、その他今までのキャラ全員がパーティに加わる。勇者300 REVOLUTIONであるイベントを発生させると真・おじさまがパーティに加わる。隠しキャラとして三名がパーティに加わる。ステージの数は隠しステージを含めると7個。
無限に出現する魔王をそれぞれ30秒以内に倒すモード。5体倒すごとに村の商品がランダムに変化し10体倒すごとに違うステージに移動する。100体倒すと最初のステージに戻る。ステージの中には前作のステージも登場する。
クリア済みのステージを選択して挑戦するタイムアタックモード。本編と兼ねていた前作とは異なり、モード分けがされている。成績に応じて称号が与えられる。レベルはリセットされるが、本編で手に入れた装備品と仲間にしたキャラクターは全て使用可能であり、自由にカスタマイズして挑戦することが出来る。
なお、今作では難易度設定は「勇者無限」と「勇者タイムアタック」でのみ可能。
前作の「勇者大戦」に続く多人数通信プレイモード。アドホック通信を利用して最大四人までの同時プレイを楽しむことが出来る。
ステージを自作するモード。マップの配置、モンスター、イベントの設定などを自由に編集し、オリジナルの「勇者30」ステージを作成することが出来る。ダウンロードコンテンツで新たなパーツを追加することも可能。また、ここで作成したステージは真・勇者大戦でプレイしたり、専用サーバー上にアップロードも可能である。
ユーシャ、ユシア、ユウジャの名前は変更可能。
サウンド:伊藤賢治、下村陽子、光田康典、浜渦正志、谷岡久美、並木学、岩田匡治、弘田佳孝、なるけみちこ、岩垂徳行、霜月はるか、桜庭統、岩月博之、田中敬一、青木佳乃、柴田徹也、麻中秀樹、井内舞子、中橋孝晃、冷牟田卓志、山手安生、YAMAPY_1、一色由比、Otomania、エンジンズ、BLACKART(神野貴志/銀河方面P)
キャラクターデザイン:須田彩加、緑川美帆、rareengine、一徳、小城崇志、塚本陽子、結川カズノ、シュン、獅子猿、風間雷太、hippo、甲壱、前河悠一、ヒロアキ
スーパーバイザー:吉田浩太郎(UUE) - 『三十秒勇者』原作者
プロデューサー/ディレクター:高木謙一郎