ヴェルフナヤ・ピシュマ市電(ロシア語: Верхнепышминский трамвай)は、ロシア連邦の都市であるエカテリンブルクとヴェルフナヤ・ピシュマ(ロシア語版)を結ぶ都市間路面電車路線。2022年8月31日から営業運転を実施しており、持株会社のモヴィスタ・レギオンズ(Мовиста Регионы)の子会社であるヴェルフナヤピシュムスキー路面電車会社(ООО «Верхнепышминский трамвай»)によって運営が行われる[1][2][3][4][5][6]。
ロシア連邦国内において、都市や地域に新規の路面電車が開通する事例はソ連(ソビエト連邦)時代のチェリョームシキ市電以来となり、ロシア連邦成立後においては初の事例となる[8]。
概要
ヴェルフナヤ・プシュマ(Верхняя Пышма)はスヴェルドロフスク州に属する、州都・エカテリンブルクの近郊都市(衛星都市)である。両都市を結ぶ経路には高速道路が存在するが、これに加えて新たな公共交通機関が求められるようになり、それを受けて地下鉄を始めとする複数の選択肢から検討した結果、2015年に路面電車を建設する事を決定した[2][4][1][9][10][11]。
全長は8.6 km(線路長17.9 km)で電停は14箇所に設けられ[注釈 1]、エカテリンブルク側の一部電停で既存の路面電車(エカテリンブルク市電)や地下鉄(エカテリンブルク地下鉄)と接続する。所要時間は片道20 - 30分で、従来のバスと比べ2倍の速さとなる。車両の修理施設を備えた車両基地はヴェルフナヤ・プシュマ側の終点付近に設置される[注釈 2]。これらの線路や施設の建設においてはPC輸送システムズが展開する車両の規格が基準となっており、同社が展開する超低床電車の71-911EM「ライオネット」が11両導入されている[注釈 3][1][2][3][4][13][7][9][14]。
当初は2020年中に建設が完了する計画だったが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)や財政面の影響により遅延が生じ、最初の試験車両が線路を走行したのは2021年12月となった。営業運転を開始したのは翌2022年8月31日で、333号線という系統名が付けられている[1][3][13][6][9]。
脚注
注釈
- ^ 停留所はエカテリンブルクに10箇所、ヴェルフナヤ・プシュマに4箇所設置されている。
- ^ ただし営業運転開始時点で車両基地は未完成であり、在籍する車両の整備は一時的にエカテリンブルク市電の車両基地で実施される事になっている。
- ^ 計画当初はウラルトランスマッシュ製の71-415を導入する計画だったが、2022年2月に変更された[12]。
出典