最も高貴な共和国ヴェネツィア(もっともこうきなきょうわこくヴェネツィア、ヴェネト語: Serenìsima Repùblica de Venexia(Venessia)、イタリア語: Serenissima Repubblica di Venezia)、通称ヴェネツィア共和国(ヴェネツィアきょうわこく、Repùblica de Venessia、Repubblica di Venezia)は、現在の東北イタリアのヴェネツィアを本拠とした歴史上の国家である。7世紀末期から1797年まで1000年以上の間に亘り、歴史上最も長く続いた共和国である。「晴朗きわまる所[1]」や「アドリア海の女王」とも呼ばれる。東地中海貿易によって栄えた海洋国家であった。
1175年にリアルト(英語版)の有力貴族が小評議会を設立した。これは6人から成るドージェの顧問である。また、1179年には3人から成る最高裁判所Quarantiaが設けられた。これらは1223年にシニョリーア(Signoria)として統合された。これはドージェを含めて10人で構成され、政府の中枢であった。ドージェが死亡した際には、その葬儀で「ドージェは死んだ。しかしシニョリーアは健在である」と述べられた。また、2人から成るサピエンテス(sapientes)も設立され、後に6人に拡張された。これは他の集団と合わせてコッレージョ(collegio)を構成し、政府の実行部門となった。1229年に設立されたコンシリオ・デイ・プレガディ(Consiglio dei Pregadi)は貴族院のようなものであり、大評議会により選出された60名の議員が構成した[2]。これらの機関のために、ドージェの実権は限定的なものとなり、実際の職権は主として大評議会に委ねられた。1335年に十人委員会が設立され、政府の中枢として、非公開の活動を行った。1600年頃には、十人委員会の影響力が大評議会を凌ぐようになり、その権限は縮小された。
サン・マルコ財務官(イタリア語: Procuratori di San Marco)当初はサン・マルコ寺院の施設及び財産を管理する責任者として創設された官職。のちに、サン・マルコ寺院に寄進される莫大な資産や財宝、国内で徴収される教会税、政府の税収や戦利品を管理・運営する職責も与えられたことから、国家官職の中でもドージェに次ぐ大きな権力を持つようになった[7]。
十人委員会(ヴェネト語: Consejo de i Diexe、イタリア語: Consiglio dei Dieci)は1310年に設立され、1797年の共和国滅亡まで存続した政府の中枢機関である。その活動はしばしば秘密にされたが、市民からは効率的かつ公正な機関であると認識されていた。十人委員会は、1310年7月10日にバイヤモンテ・ティエポロ(イタリア語版)が共和国に対して起こした反乱を鎮圧するために、臨時職として設けられた。当初は2ヶ月間の暫定機関であったが、期限の更新が繰り返され、1335年に常設化された。
イタリアでは都市国家によって組合の構成が異なり、会計にも影響を及ぼした。ヴェネツィアでは、貴族の血縁を中心とした家族組合(ソキエタス)による口別損益計算が行われた[11]。ルカ・パチョーリがヴェネツィアで出版した数学書『スムマ』(1494年)は、複式簿記を最初に体系化・理論化した書籍でもあった[12]。イタリア諸都市では13世紀には職業会計士(rationator)が営利事業の会計と監査に関わっており、ヴェネツィアでは1581年に世界初の職業会計士協会が設立され、1585年に会計専門学校(Collegio dei Raxonati)も設立された。これは公会計と監査の人材育成という目的があった[13]。
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