『ヨッシーのクッキー』 (Yoshi's Cookie) は、任天堂より1992年11月21日に発売されたファミリーコンピュータ(FC)用およびゲームボーイ(GB)用パズルゲーム。マリオシリーズに登場するマリオとヨッシーがクッキー作りを行うパズルゲームであり、同じ種類ごとに揃えて消滅させる1人プレイと、消滅させる速さを競うVSプレイが存在する。
1993年、新たなモードを追加したスーパーファミコン(SFC)版がBPSより発売された。また2003年発売のニンテンドーゲームキューブ(GC)用ソフト『NINTENDOパズルコレクション』(以下GC版)にはリメイク版が収録されているほか、GC本体とゲームボーイアドバンス(GBA)本体をGBAケーブルで接続することでGBA上でFC版の1人用モードをプレイできる。2008年にはWii用バーチャルコンソール対応ソフトとしてFC版の配信が開始されたが、2013年をもって配信を終了した。
システム
フィールド(1人プレイ時は8マス×8マス、VSモード時は5マス×5マス)内に一定数のクッキーが配置された状態から始まる。クッキーの種類は、ハート、フラワー、チェック、ダイヤモンド、サークル、ヨッシーの6種類(後述の隠しラウンドでは異なる)。配置されたクッキーは、縦や横の特定の一列を選択し1個分ずらすことができる(端のクッキーの位置は上下または左右でループする)。同じ種類のクッキーが一列に並ぶとその列が消滅する。ヨッシークッキーは全てのクッキーの代わりに用いることができる。
スコアは消した列の個数に応じた素点(2個で10、3個で20と倍々に増加)が加点され、その後の連鎖毎に、その回数に応じた得点倍率(2回で2倍、3回で4倍と倍化)が素点に掛けられて加点されていく。
1人プレイ
8マス×8マスのフィールドで行われるモード。
フィールド内のクッキーを全て消すとステージクリアになり次のステージへ進む。フィールドにはプレイヤーが操作するクッキーが左下に集められており、一定時間経過ごと現在のクッキーの列数に沿って上端と右端からクッキーが徐々に接近し、接触すると補充される(接近中にフィールドの列数が減ると、補充分の列も削られる)。縦または横の端までクッキーが詰まるとゲームオーバーとなる。補充されるクッキーは任意で速度を上げて出現させられる他、ゲームレベルに応じて補充頻度が高速化するが、フィールド内のクッキーの消去が発生することで少しずつ後退するようになっており、連鎖をすることで画面端に追い込むことができる。
画面右下には全種類のクッキーの絵柄の横にクッキーゲージが表示されており、消したクッキーの種類に応じたものへそれぞれ溜まっていく。1種類のゲージがいっぱいになると、クッキーの列が補充され、ゲージは0に戻り、フィールドに「ヨッシークッキー」が出現する。
10のステージで1つのラウンドとして区切られ、全てのステージをクリアすると次のラウンドへ進むことになる。その間には寸劇が見られる。ラウンド10をクリアしてエンディングが流れた後しばらく放置すると、隠しラウンドへの進み方が表示される[2]。ラウンド11以降に登場するクッキーは、パックンフラワー、テレサ、ゲッソー、クリボー、スーパーキノコ、ノコノコの甲羅、ヨッシーの7種類になる。ラウンド99をクリアした後のエンディングは、ラウンド10をクリアした時のものと比べて豪華になっている。また、ラウンド11以降のBGMは1曲だけラウンド1〜10と異なる。
VSプレイ
5マス×5マスのフィールドで行われるモード。FC・SFC版では2人、GB・GC版では2〜4人で対戦する。BGMの一つにはクシコス・ポストが使われている。
フィールド内は常にクッキーで満たされた状態で、クッキーを消した後には即時補充される。クッキーを消すごとに「ポイントゲージ」が溜まっていき相手よりも先にゲージが上限(25点)に達すると勝利となる。また、クッキーを消さない状態が続くと「タイムゲージ」が増え続け、ゲージが溜まりきると敗北となる(SFC版とGC版では導火線という形で表現)。こうした勝負を繰り返し、3勝すると全体的な勝利者となる。
クッキーを消すごとに、補充されるクッキーの中にヨッシークッキーが1つ現れる。ただし2連鎖または2列同時消しを行うとヨッシークッキーが5つ現れる。1人プレイ時とは異なり、ヨッシークッキーは同種のものを並べた時のみ消すことができる。自フィールドの上部には「(プレーヤー番号またはプレーヤー名)(特殊効果名)」の形で表示されている。ヨッシークッキーを消した際には、ここに表示されているプレーヤーに対し、表示されている内容の特殊効果が発動する。GB・SFC・GC版では、発動効果が自身に有利か不利かが〇または×の札で示されている。発動内容は以下の通り。
- -7、-3、+3:対象プレイヤーのポイントゲージがそれぞれの数値分だけ増減する。
- BLIND:一定時間、フィールド中央の3マス×3マスの枠が「?」で覆われて見えなくなる。
- PANIC:一定時間、クッキーの位置がシャッフルされ続ける。受けた人はこの間クッキーの並べ替えはできない。
- SLAVE:一定時間、カーソルやクッキー並べ替えの動作が発動した人と同じになり、受けた人は一切操作できない。自身に対して発動した場合は何も起こらない。
なお、PANICとSLAVEを受けている間は持ち時間が減らない。
キャラクター
対戦で使用できるキャラクターはFC版を除く作品では、マリオ、ヨッシー、ピーチ、クッパの4人が登場する。GB版の対コンピュータ(CPU)戦ではプレイヤーが選べるのはマリオのみで、ヨッシー・ピーチ・クッパの順でクッキーを消すスピードや妨害を仕掛けてくる頻度が上がる。SFC版とGC版のキャラクターは以下のような能力を持ち、一定条件を満たすとCPUの思考能力が上がる。
- マリオ
- 平均的な能力を持っている。
- ヨッシー
- BLIND・PANIC・SLAVE攻撃を受けた際の影響時間が短い。ヨッシークッキーの効果内容が変わる周期が長い。
- ピーチ
- BLIND・PANIC・SLAVE攻撃を受けると長時間影響される。ヨッシークッキーの効果内容が変わる周期が短い。
- クッパ
- BLIND・PANIC・SLAVE攻撃の影響を長時間与えることができる。クッキーを消すまでの時間制限が短い。
移植版
- ヨッシーのクッキー(SFC版)
- BPSより発売された。1人用モードの「ACTION」と2人用モード「VS」の他に、新たに少ない手数でクッキーの全消しを目指す「PUZZLE」モードが追加されている。
- ヨッシーのクッキー クルッポンオーブンでクッキー
- 松下電器産業(現:パナソニック)のオーブンレンジ「クルッポンオーブン(NE-KC77)」の発売記念に500本ほど配られた非売品ソフト。クッキー生地の作成からNE-KC77を用いての焼成方法など、作り方を指南する「クッキング」モードがSFC版に追加されている。
- NINTENDOパズルコレクション
- 収録作品のひとつとして登場した。1人プレイ用の「ストーリー」モードでは、様々なキャラクターとVSモードのルールで対戦しながらクッパの元へ向かう。ゲームのルールを詳しく解説するモードもある。また、対戦モードでは4人まで対戦できるようになった他、GC本体とGBA本体をGBAケーブルで接続することで、GBA上でFC版の1人用モードをプレイできる。ヨッシークッキーが全てのクッキーの代わりに用いることができなくなっている。
開発
トーセが開発を担当し、プロデューサーはアーケードゲーム『ドンキーコング』(1981年)やディスクシステム用ソフト『メトロイド』(1986年)などを手掛けた横井軍平、ディレクターはスーパーファミコン用ソフト『スペースバズーカ』(1992年)を手掛けた山本雅央およびスーパーファミコン用ソフト『パネルでポン』(1995年)を手掛けた山上仁志、音楽はNOISE FACTORYに所属していた生田ノブヤおよびテクモから稼働されたアーケードゲーム『雷電』(1990年)を手掛けた佐藤亜希羅が担当している。
本作のゲームルールは、BPSとホームデータ(後の魔法株式会社)が開発したゲームソフト『ヘルメティカ』(アーケード、ロケテストのみ)の原型と似ている部分があり、SFC版では両社のクレジット表示がある[7]。またSFC版のスタッフロールによれば、パズル担当のクレジットとして『テトリス』の生みの親、アレクセイ・パジトノフの名前がある[8]。
スタッフ
FC・GB版
- 音楽:生田ノブヤ 、佐藤亜希羅、TSUTOMU、西坂紀子
- キャラクター・デザイン:日野重文、松本千恵子、いのうえみか
- プログラマー:ヂュー・リー、よしかわのなえ、山本雄一
- ディレクター:山本雅央、山上仁志、たかさごたつひろ、RYOJIN
- スペシャル・サンクス:橋本賢一、ひのうえまさし、兼重力
- プロデューサー:横井軍平
SFC版
- エグゼクティブ・プロデューサー:ヘンク・ブラウアー・ロジャース
- プロデューサー:名越康晃、デヴィッド・ノルテ
- ディレクター:たかとりまさより、きたざわとしひこ
- ソフトウェア・デベロップメント・マネージャー:ジョン・ノル
- パズル:アレクセイ・パジトノフ
- 音楽:西坂紀子
評価
- ファミリーコンピュータ版
- ゲーム誌『ファミリーコンピュータMagazine』の読者投票による「ゲーム通信簿」での評価は21.3点(満30点)[21]。
項目
|
キャラクタ |
音楽 |
お買得度 |
操作性 |
熱中度 |
オリジナリティ
|
総合
|
得点
|
3.7 |
3.4 |
3.6 |
3.5 |
3.7 |
3.5
|
21.3
|
- ゲームボーイ版
- ゲーム誌『ファミコン通信』の「クロスレビュー」では合計29点(満40点)[13]、『ファミリーコンピュータMagazine』の読者投票による「ゲーム通信簿」での評価は20.6点(満30点)[22]。
項目
|
キャラクタ |
音楽 |
お買得度 |
操作性 |
熱中度 |
オリジナリティ
|
総合
|
得点
|
3.4 |
3.2 |
3.6 |
3.4 |
3.5 |
3.5
|
20.6
|
- スーパーファミコン版
- 『ファミコン通信』の「クロスレビュー」では、8・7・7・5の合計27点(満40点)[14]、『ファミリーコンピュータMagazine』の読者投票による「ゲーム通信簿」での評価は21.3点(満30点)[23]。
項目
|
キャラクタ |
音楽 |
お買得度 |
操作性 |
熱中度 |
オリジナリティ
|
総合
|
得点
|
3.8 |
3.3 |
3.5 |
3.5 |
3.7 |
3.4
|
21.3
|
脚注
関連作品
- サウンドトラック
- 『ファミコン サウンドヒストリーシリーズ「マリオ ザ ミュージック」』(2004年7月22日、サイトロン・デジタルコンテンツ)[1]
- 収録楽曲内の一部として収録されている。
関連項目
- テトリスDS - 一部で本作のFC版のゲーム画面や音楽が使用されている
- 三波春夫 - CMでレゲエにアレンジされた「炭坑節」の替え歌を歌った
外部リンク
|
---|
ゲーム作品 (ジャンル別) |
アクションゲーム | |
---|
パズルゲーム | |
---|
ガンシューティングゲーム | |
---|
| |
---|
キャラクター | |
---|
漫画 | |
---|
共演・客演 | |
---|
関連企業 | |
---|
カテゴリ |
- ^ “マリオをフィーチャーしたゲーム・ミュージックCD登場!”. CDジャーナル. 音楽出版 (2004年6月4日). 2020年5月16日閲覧。