ゴセックは、ロマン派音楽の時代における、オーケストラの拡張や上演における起用人員の膨張傾向、ステージ上・ステージ外における空間配置へのこだわりなどを先取りしている。それは、ゴセック独りのうちで一過性に終わったというより、ベルリオーズを通じて、その後の、とりわけドイツ・ロマン派音楽の展開に影響を与えたというべきかも知れない。1790年の革命1周年を祝う《テ・デウム》は、1200人の歌手[2]と300人の吹奏楽を必要としており、いくつかのオラトリオは、複数の合唱の物理的な配置と分割が指示され、しかもステージの陰には、聴衆から見えない合唱隊も使われている。《共和政の勝利Le Triomphe de la République 》や《自由の賜物L'Offrande à la Liberté 》のようなフランス革命賛美の作品もいくつか遺した。
管弦楽曲
いくつかの楽器のための6つの交響曲Sei sinfonie a più stromenti 作品4 (1759年)
いくつかの楽器のための6つの交響曲Sei sinfonie a più stromenti 作品5 (1761年)
6つの交響曲Six Symphonies 作品6 (1762年)
大管弦楽のための6つの交響曲Six Symphonies à grand orchestre 作品12 (1769年)
2つの交響曲Deux symphonies (1773年)
交響曲 第1番Symphonie n° 1 (1771年頃~1774年)
交響曲 第2番Symphonie n° 2 (1771年頃~1774年)
交響曲 ヘ長調Symphonie en fa majeur (1774年)
狩の交響曲Symphonie de chasse (1776年)
交響曲 ニ長調Symphonie en ré (1776年)
'交響曲 ニ長調'Symphonie en ré (1777年)
いくつかの楽器のための協奏交響曲 第2番Symphonie concertante en fa majeur n° 2, à plusieurs instruments (1778年)
17声部の交響曲 ヘ長調Symphonie à 17 parties en fa majeur (1809年)
吹奏楽曲
葬送行進曲Marche lugubre (1790年)
軍隊交響曲ヘ長調Sinfonia militaire (1793年)
管楽器のための交響曲 ハ長調Symphonie en do majeur for wind orchestra (1794年)[3]
行進曲「帝国の護り」Garde impériale
室内楽
ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタSei sonate a due violini e basso 作品1 (1753年頃)
フルート四重奏曲集Sei quartetti per flauto e violino o sia per due violini, alto e basso 作品14 (1769年)
6つの弦楽四重奏曲Six Quatuors à deux violons, alto et basse 作品15 (1772年)
歌劇『ロジーヌ』(Rosine, ou L'épouse abandonnée, 1786年)の中の曲を、ウィリー・ブルメスターがピアノ伴奏つきのバイオリン独奏曲に編曲したもの。ゴセックの曲としては日本では最も有名。高度な演奏技巧を必要としないが、明るくかわいらしい表現にあふれ、旋律も覚えやすく、口ずさみやすい。4分の4拍子、三部形式の形をとっている。単純なピアノ伴奏の上に、スタッカートを取り入れた旋律で曲は始まる。中間部は二重把弦による優雅な旋律に変わり、最後にスタッカートを取り入れた第1部を再現させる。本来、ガヴォットは弱拍(3拍目)から始まるが、この曲は強拍(1拍目)から始まるのが特徴。