ガヴォット・ダンス(フランス、ブルターニュ地方・1878年)
ガヴォット (仏 :gavotte )は、フランス に見られる地方のフォークダンス と、それに由来する古典舞曲 の名称。「ガヴォット」の名は、踊りの発祥したドーフィネ 旧地域圏のペイ・ド・ギャップ(Pays de Gap)地方ガヴォ(Gavot)に由来する。
ガヴォットは、中庸のテンポ の舞曲で、4分の4拍子ないしは2分の2拍子で記譜される。ガヴォット特有のリズムの特色は、小節 の半ばかアウフタクト に始まることである。
概要
ガヴォットは、リュリ が首席宮廷作曲家として権勢をふるったルイ14世 の宮廷で持て囃された。その後たびたび舞曲や、組曲の任意挿入楽章として利用され、標準的な器楽曲として定着した。古典組曲 においてガヴォットは、他の任意楽章(たとえばパスピエ 、ブレー 、メヌエット 、リゴドン )とともに、しばしばサラバンド とジグ の間に挿入される。組曲における用例として最も有名なのは、バッハ の作品であり、とりわけ《パルティータ 第3番》BWV1006の「ロンド形式によるガヴォット」であろう。バロック時代のガヴォットは、典型的な二部形式 をとっている。上記のバッハ作品は、その有名な例外にほかならない。
19世紀 になるまでに、ガヴォットはアウフタクトよりも、小節の半ばで開始するのが通例となり、有名な《ゴセックのガヴォット 》はこの典型的な例となっている。マスネ の歌劇 《マノン 》のガヴォットも同様である。ルイ13世 の作と伝えられるフランス民謡 《アマリリス》も、小節の半ばで開始する例である。
ミュージカル 《マイ・フェア・レディ 》(1956年 )の「アスコット・ガヴォット」は、競馬 を観戦する上流階級のお偉方を描写するため、アウフタクトによる伝統的なリズム定形を完全に廃し、行進曲 風の堂々とした押し出しを利用している。対照的に、同年のレナード・バーンスタイン のオペレッタ 《キャンディード 》は、小節半ばに始まるガヴォット特有のリズム定形を保持したナンバーが含まれている。
ガヴォットを用いた楽曲の例
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