バランスオブゲーム(欧字名:Balance of Game、1999年4月22日 - )は、日本の競走馬、種牡馬[1]。主な勝ち鞍に2001年の新潟2歳ステークス、2002年の弥生賞、セントライト記念、2003年の毎日王冠、2005年の中山記念、2006年の中山記念、オールカマー。主戦騎手は田中勝春。
中央競馬におけるGII競走6勝は、歴代最多記録となっている[2]。
経歴
1999年のセレクトセールで、競馬ゲーム『ダービースタリオン』の開発者である薗部博之によって、競り合いの末870万円で落札された。競った相手とみられる人物は岡田繁幸で、薗部に売却交渉を持ちかけてきたという[3]。
2001年8月12日、新潟競馬の新馬戦でデビュー。1番人気に応えて勝利する。続く新潟2歳ステークスをレコードタイムを記録して優勝。2戦目にして重賞初勝利となった[4]。レース後、骨膜炎を発症していたことから休養が与えられた。
休養後は12月のGI朝日杯フューチュリティステークスに出走し(結果は4着)、レース後再び休養を経て翌2002年3月、皐月賞トライアルの弥生賞に出走。同レースを逃げ切って優勝した[5]。その後、GIの皐月賞と東京優駿ではそれぞれ8着、7着に敗れた。東京優駿の後は夏期休養が与えられ、復帰戦となった菊花賞トライアルのセントライト記念を優勝。続く菊花賞は5着に敗れ[6]、この年の競走を終えた。
2003年の初戦はアメリカジョッキークラブカップの予定であったがレースの数日前に顔面を負傷したため陣営は出走を回避し、中山記念に出走。このレースで2着になったのを皮切りに日経賞2着、金鯱賞4着と堅実な成績を収めた。宝塚記念で11着に敗れて前半シーズンを終え、後半シーズンは毎日王冠から始動しレコードタイムで優勝した。この頃から陣営はバランスオブゲームに1800mを超えるレースでは詰めが甘くなるという傾向を感じ取っており、次のレースには天皇賞(秋)ではなくマイルチャンピオンシップが選ばれた(結果は4着)。
2004年の初戦には大阪杯が選ばれ、4着になった。レース振りから前半シーズンの目標には1600mの安田記念が選ばれ、3着に好走。8月には札幌記念に出走し2着になった。その後天皇賞(秋)、マイルチャンピオンシップでは9着、8着に敗れ、この年は勝利を挙げることができないまま競走を終えた[7]。
2005年は初戦の中山記念で久々の勝利を飾る。この年は他のレースでも好走はしたものの勝利を挙げることができなかった。2006年はフェブラリーステークスを目標に初めてのダート戦となる根岸ステークスに出走したが11着に敗れ、計画は撤回された。次のレースには中山記念が選ばれ、逃げ切って優勝。グレード制導入以後初の中山記念連覇を達成した。続く安田記念では17着に敗れたが、宝塚記念では得意の渋った馬場で逃げて3着に粘った。夏期休養を挟み、秋初戦はオールカマーに出走。好位から抜け出して、日本記録となるGII6勝目を挙げた[2]。次走には15回目のGI挑戦となる天皇賞(秋)が選ばれたが、レース直前の調教後に左前浅屈腱不全断裂を発症[8]。競走能力を喪失し、競走馬を引退した[9]。
引退後
引退後は種牡馬となり、アロースタッドで繋養される。2012年に種牡馬を引退、苫小牧市のノーザンホースパークで乗馬となる[10]。
2021年現在は、乗馬クラブクレイン竜ヶ崎で現役の乗馬である[11]。
主な産駒
競走成績
競走日 |
競馬場 |
競走名 |
格 |
距離(馬場) |
頭 数 |
枠 番 |
馬 番 |
オッズ (人気) |
着順 |
タイム (上り3F) |
着差 |
騎手 |
斤量 [kg] |
1着馬(2着馬) |
馬体重 [kg]
|
2001.08.12
|
新潟
|
2歳新馬
|
|
芝1000m(良)
|
13
|
1
|
1
|
002.50(1人)
|
01着
|
R0:56.3(32.9)
|
-0.1
|
0田中勝春
|
53
|
(ソルジェンテ)
|
456
|
0000.09.02
|
新潟
|
新潟2歳S
|
GIII
|
芝1400m(良)
|
10
|
3
|
3
|
019.70(5人)
|
01着
|
R1:21.7(35.4)
|
-0.3
|
0木幡初広
|
54
|
(スターエルドラード)
|
454
|
0000.12.09
|
中山
|
朝日杯FS
|
GI
|
芝1600m(良)
|
16
|
7
|
14
|
010.40(4人)
|
04着
|
R1:34.1(35.4)
|
-0.3
|
0木幡初広
|
55
|
アドマイヤドン
|
468
|
2002.03.03
|
中山
|
弥生賞
|
GII
|
芝2000m(良)
|
11
|
4
|
4
|
013.40(4人)
|
01着
|
R2:02.0(34.6)
|
-0.1
|
0田中勝春
|
56
|
(ローマンエンパイア )
|
464
|
0000.04.14
|
中山
|
皐月賞
|
GI
|
芝2000m(良)
|
18
|
1
|
1
|
015.20(7人)
|
08着
|
R1:59.3(36.3)
|
-0.8
|
0田中勝春
|
57
|
ノーリーズン
|
460
|
0000.05.26
|
東京
|
東京優駿
|
GI
|
芝2400m(良)
|
18
|
7
|
15
|
030.1(10人)
|
07着
|
R2:26.9(36.2)
|
-0.7
|
0田中勝春
|
57
|
タニノギムレット
|
458
|
0000.09.15
|
新潟
|
セントライト記念
|
GII
|
芝2200m(良)
|
17
|
6
|
12
|
003.90(2人)
|
01着
|
R2:12.9(34.6)
|
-0.2
|
0田中勝春
|
56
|
(アドマイヤマックス )
|
458
|
0000.10.20
|
京都
|
菊花賞
|
GI
|
芝3000m(良)
|
18
|
8
|
16
|
014.10(6人)
|
05着
|
R3:06.5(35.7)
|
-0.6
|
0田中勝春
|
57
|
ヒシミラクル
|
454
|
2003.03.02
|
中山
|
中山記念
|
GII
|
芝1800m(重)
|
12
|
7
|
9
|
008.00(4人)
|
02着
|
R1:47.9(36.0)
|
-0.3
|
0田中勝春
|
57
|
ローエングリン
|
478
|
0000.03.29
|
中山
|
日経賞
|
GII
|
芝2500m(良)
|
10
|
4
|
4
|
002.00(1人)
|
02着
|
R2:31.5(36.1)
|
-0.2
|
0木幡初広
|
57
|
イングランディーレ
|
476
|
0000.05.31
|
中京
|
金鯱賞
|
GII
|
芝2000m(稍)
|
14
|
6
|
10
|
004.30(2人)
|
04着
|
R1:59.2(35.5)
|
-0.3
|
0田中勝春
|
58
|
タップダンスシチー
|
472
|
0000.06.29
|
阪神
|
宝塚記念
|
GI
|
芝2200m(良)
|
17
|
6
|
12
|
067.3(11人)
|
11着
|
R2:13.5(38.2)
|
-1.5
|
0武幸四郎
|
58
|
ヒシミラクル
|
460
|
0000.10.12
|
東京
|
毎日王冠
|
GII
|
芝1800m(稍)
|
11
|
6
|
7
|
015.70(5人)
|
01着
|
R1:45.7(34.6)
|
-0.4
|
0田中勝春
|
58
|
(トーホウシデン )
|
468
|
0000.11.23
|
京都
|
マイルCS
|
GI
|
芝1600m(良)
|
18
|
5
|
10
|
006.90(4人)
|
04着
|
R1:33.6(34.6)
|
-0.3
|
0田中勝春
|
57
|
デュランダル
|
472
|
2004.04.04
|
阪神
|
産経大阪杯
|
GII
|
芝2000m(稍)
|
11
|
8
|
11
|
005.90(2人)
|
04着
|
R1:59.9(35.6)
|
-0.3
|
0田中勝春
|
58
|
ネオユニヴァース
|
478
|
0000.06.06
|
東京
|
安田記念
|
GI
|
芝1600m(稍)
|
18
|
8
|
16
|
009.00(5人)
|
03着
|
R1:32.8(34.9)
|
-0.2
|
0田中勝春
|
58
|
ツルマルボーイ
|
472
|
0000.08.22
|
札幌
|
札幌記念
|
GII
|
芝2000m(良)
|
11
|
3
|
3
|
003.30(2人)
|
02着
|
R2:00.5(36.0)
|
-0.1
|
0田中勝春
|
57
|
ファインモーション
|
478
|
0000.10.31
|
東京
|
天皇賞(秋)
|
GI
|
芝2000m(稍)
|
17
|
8
|
15
|
013.90(8人)
|
09着
|
R2:00.5(36.0)
|
-1.6
|
0田中勝春
|
58
|
ゼンノロブロイ
|
470
|
0000.11.21
|
京都
|
マイルCS
|
GI
|
芝1600m(良)
|
16
|
5
|
9
|
032.40(8人)
|
08着
|
R1:34.0(35.2)
|
-1.0
|
0田中勝春
|
57
|
デュランダル
|
470
|
2005.02.27
|
中山
|
中山記念
|
GII
|
芝1800m(良)
|
14
|
7
|
11
|
007.60(4人)
|
01着
|
R1:46.5(34.8)
|
-0.1
|
0田中勝春
|
58
|
(カンパニー )
|
478
|
0000.06.05
|
東京
|
安田記念
|
GI
|
芝1600m(良)
|
18
|
4
|
8
|
019.2(12人)
|
07着
|
R1:32.8(34.9)
|
-0.5
|
0田中勝春
|
58
|
アサクサデンエン
|
470
|
0000.10.09
|
東京
|
毎日王冠
|
GII
|
芝1800m(稍)
|
17
|
3
|
6
|
009.20(5人)
|
04着
|
R1:47.0(33.7)
|
-0.5
|
0田中勝春
|
58
|
サンライズペガサス
|
470
|
0000.10.30
|
東京
|
天皇賞(秋)
|
GI
|
芝2000m(良)
|
18
|
8
|
18
|
082.9(16人)
|
11着
|
R2:00.7(33.8)
|
-0.6
|
0田中勝春
|
58
|
ヘヴンリーロマンス
|
470
|
0000.11.20
|
京都
|
マイルCS
|
GI
|
芝1600m(良)
|
17
|
5
|
9
|
114.7(13人)
|
05着
|
R1:32.4(35.0)
|
-0.3
|
0木幡初広
|
57
|
ハットトリック
|
476
|
2006.01.29
|
東京
|
根岸S
|
GIII
|
ダ1400m(良)
|
16
|
6
|
11
|
018.50(8人)
|
11着
|
R1:24.6(37.3)
|
-0.9
|
0木幡初広
|
58
|
リミットレスビッド
|
488
|
0000.02.27
|
中山
|
中山記念
|
GII
|
芝1800m(重)
|
12
|
5
|
6
|
015.40(6人)
|
01着
|
R1:48.9(35.6)
|
-0.8
|
0田中勝春
|
59
|
(ダイワメジャー )
|
484
|
0000.06.04
|
東京
|
安田記念
|
GI
|
芝1600m(良)
|
18
|
6
|
12
|
022.90(9人)
|
17着
|
R1:35.4(37.1)
|
-2.8
|
0田中勝春
|
58
|
ブリッシュラック
|
474
|
0000.06.25
|
京都
|
宝塚記念
|
GI
|
芝2200m(稍)
|
13
|
8
|
13
|
066.80(9人)
|
03着
|
R2:13.8(36.6)
|
-0.8
|
0田中勝春
|
58
|
ディープインパクト
|
468
|
0000.09.24
|
中山
|
オールカマー
|
GII
|
芝2200m(良)
|
15
|
3
|
5
|
005.50(4人)
|
01着
|
R2:12.1(35.6)
|
-0.0
|
0田中勝春
|
58
|
(コスモバルク )
|
474
|
エピソード
2004年放送のフジテレビ721・『ゲームセンター「CX」』に薗部が出演した際、「(この馬はGIでは足りないので)最多GII獲得馬になってほしい」と夢を語っており、その夢が実現された。
GI勝利こそ無いが、GIで掲示板に乗った回数は6回あった(最高着順は2004年安田記念と2006年宝塚記念の3着)。このようにGIIでの勝利および好走が多く、GIでは今ひとつの成績であることから、「GII番長[13]」と揶揄する競馬ファンもいる。田中勝春も2007年皐月賞までJRAのGIは100戦以上連敗していたため、境遇が似ていた。G2大将[14]やGIIの鬼とも[15]呼ばれた。
血統表
脚注
参考文献
- 田中直成「記憶の中の名馬 バランスオブゲーム」『週刊Gallop』2008年7月27日号 - 8月17日号、産業経済新聞社
外部リンク