ナミ(Nami)は、尾田栄一郎の漫画『ONE PIECE』に登場する架空の人物。
「麦わらの一味」航海士。異名は「泥棒猫」。ルフィの2人目の仲間[注 3]。「東の海(イーストブルー)」のコノミ諸島・ココヤシ村出身[注 4]。一人称は「私」。
オレンジ色の髪と左上腕部のタトゥーが特徴の、才色兼備の美女。新世界編では髪が伸び、ウェーブがかかったロングヘアーになっている。アーロン一味の証であるタトゥーを付けていた頃は肩の露出を控えていたが、アーロンパーク編でみかんと風車を掛け合わせたタトゥーに上書きして以降は、露出度が高い服装が多くなった。覗きにはきつい罰を与える。
幼少時から海図を描く能力に長けており、「自分の目で見た世界中の海図を描くこと」を目標としている。作中で海図を描いているシーンはあまり見られないが、昼間は航行の指示を出すため甲板に出ていることが多く、夕食の後に描くことを日課にしている[1]。「体で天候を感じ取ることができる」天性の才能に加え、「偉大なる航路」の出鱈目な気象にも対応できる航海術と、膨大な知識を持っている。船の操舵の指揮を執るため、麦わらの一味においては司令塔とも言える存在。ロビンほどではないが、様々な分野(医学など)の豊富な知識も持っている。
また、わずかな波にも翻弄される「ウェイバー」をも簡単に乗りこなすことができる(一味ではナミ以外は操縦できない)。
手先が器用で、裁縫やスリの腕前をしばしば発揮している。
大好きなものはお金と宝とみかん。当初は宝の概念を「高級品」だと捉えていたが、次第に意味を理解していき、ベルメールのみかん畑から移したみかんの木を、ルフィにとっての麦わら帽子と同等の宝物と捉えるようになった。一味の男達は「手をつけたらナミに殺される」という理由でたとえ飢死しそうになってもこのミカンを食べようとはしないらしい[2]。
お金に関しては非常にがめつく、金銭が絡むと目の色が変わる。金銭管理も彼女の主な仕事となっており、脅迫や色仕掛けを駆使した交渉にも長ける。
ゾロと並ぶ大の酒豪で、一味内での酒の強さはゾロに次ぐ3番目[3]。彼女が作る家庭料理は美味しいらしく、サンジが入団する前に一度だけ料理を作った事があるが、有料で値段も高いので二度と頼まなかったらしい[4][注 5]。ショッピングも好き。幽霊の類や虫は苦手である。
基本的にはしっかり者で飲み込みが早い。そのため一味の中ではツッコミ役に回ることが多く、仲間[注 6]がふざけているとゲンコツを食らわすこともある。
ウソップやチョッパーと同様、戦いにはやや消極的である。強敵の存在を知ると彼ら共々引き上げるようルフィ達を説得しようとする。また、自分の命が惜しいため、懸賞金が上がるたびにショックを受けている。勝気な性格だが臆病な面もあり、危機が迫ると主にルフィ、ゾロ、サンジに頼りがちである。
母親代わりのベルメールを海賊のアーロン一味に殺されて以来、海賊を憎んでいるが、麦わらの一味の仲間は芯から大切に思っている。友を助けるためなら全財産を注ぎ込むことも厭わず、その手段さえも通じなかった時は仲間を救えなかった悲しみに打ちひしがれる情愛を持っている。場合によっては騙し討ちなどの卑怯な手段をとることもあるが、善良な人間が不幸になることには嫌悪を抱く。また、大切な仲間や友達、特に子供を傷つけた相手に対しては激しい怒りを露わにする。
麦わらの一味の仲間のことは呼び捨てにしているが、サンジのみ「サンジ君」と君付けで呼ぶ[注 7]。
ネーミングセンスが悪く、ルフィのように見た目の印象から名付けることが多い[注 8]。
「東の海」オイコット王国[5]の戦災孤児で、1歳の時に当時海兵だったベルメールに拾われ、後の義姉となるノジコと共に養女となる。以後ベルメールの故郷であるココヤシ村に住み、3人で暮らしていた。この頃から独学で航海術を学び、いつか自分の目で見た世界地図を作ることを夢見ていた。ベルメールからは橋の下に落ちていたところを拾ったと聞かされていたが、彼女と喧嘩し家出したとき、ゲンゾウから自分が拾われた本当の経緯を知った。
10年前(当時10歳)、ココヤシ村が魚人海賊団アーロン一味の襲撃を受ける。村人に貢ぎ金を要求するアーロンに、ベルメールは全財産をナミとノジコの分として差し出し、身代わりとして2人の目の前で殺されてしまう。ナミはその知識を買われ、アーロン一味の下で測量士として海図を描かされることになる。同時にアーロンと「ココヤシ村を1億ベリーで買い取る」という取り決めを交わしたナミは、村民達から白い目を向けられつつも[注 9]、資金集めのため「海賊専門の泥棒」を開始する[注 10]。
以下は劇場版『ONE PIECE FILM GOLD』における設定である[6][7]。泥棒として活動していた頃、同年代の女泥棒カリーナと出会う。彼女とは憎まれ口を叩き合いながらも、どこか憎みきれない奇妙な関係だった。14歳の時にマッド・トレジャーの財宝を奪うためトレジャー海賊団のアジトに潜入し、同じく潜り込んでいたカリーナと遭遇し2人で宝を隠したが、揃って捕まってしまい激しい拷問を受ける。ナミは故郷を救うため口を割らなかったが、カリーナは自分が貯めた金の代わりに2人の命を見逃してほしいと懇願する。トレジャーはカリーナに日没までに金を取って来いと告げ解放するもカリーナは戻ってこなかった。ナミは自分の宝を差し出す代わりに命を見逃してほしいと取り引きを持ちかけたが、隠し場所に宝はなくカリーナに盗まれていた。取り引きが白紙になりナミは絶望するが、そこへカリーナが現れ、ナミとトレジャー双方の宝を手にしたことを告げて挑発し、苛立ったトレジャーはカリーナを追いかけていった。ナミは宝を失ったものの、囮となったカリーナのおかげで命を取り留めた。
アラバスタ編までは、三節棍のような3本に分割できる折りたたみ式の棒を武器として使用していた。ルフィ達と旅を続けていく内に戦闘面での重要性を痛感し、アラバスタ編以降はウソップ製作の「天候棒(クリマ・タクト)」を駆使して戦闘に加わっている。最初に天候棒を使用して戦ったミス・ダブルフィンガーも、ナミのことを戦闘に関して全くの素人ではないと認めていた。
超人が多い麦わらの一味においては、肉体的には常人の域を出ていないが、頭の回転の速さや豊富な知識、そして非力さをフォローする天候棒を組み合わせる事で、戦闘での活躍を見せるようになった。
アラバスタ到着前、強敵と渡り合う戦闘力を得るためウソップに頼んで開発してもらった3本の棒形の武器。一本の長棒として繋げることもできる。「アラバスタ編」で初使用。
吹いたり振ったりすることで、それぞれの棒の空洞から「熱気泡(ヒートボール)」「冷気泡(クールボール)」「電気泡(サンダーボール)」という、3種類の小さな気泡を出すことが可能。この気泡を組み合わせることで周りの気圧・温度・湿度を操作し、人工的に蜃気楼を発生させるなど天候を利用した戦闘を行えるようになった。
ウソップの意図としてはあくまで「宴会芸用アイテム」の域を出ず、当初は実用的な技の発動に時間がかかっていた。最初の戦闘では説明書を読みながら使用していた。技名の「テンポ(Tempo)」とは、イタリア語で「天気」の意[11]。
空島編の後、ウソップが「貝(ダイアル)」を使用して全体的に強化した天候棒。各棒の先端に「貝」を仕込んだ球状の部位が存在する。技の発動速度・威力が共に段違いに強化されており、海軍の佐官クラス相手にも十分戦闘が可能になった。劇場版第7作『カラクリ城のメカ巨兵』ではウソップが制作する光景が描かれている。
新世界編から使用。ウェザリアの「天候の科学」による知識で強化された天候棒。「完成版"天候棒"」から従来の棒状に戻った。
「ゾウ編」でウソップによりさらに改良が加えられ、ポップグリーンの効果により握る力加減で自在に伸縮する機能が追加された。表面はフランキーが加工しており、色も水色から橙と白の縞模様になった。見た目は短い一本の棒で、両端に半球状の飾りが付いている。ワノ国編でビッグ・マムの雷雲のホーミーズ「ゼウス」の魂が入り込み一体化したことで雷の力が大幅に強化された。また、ゼウスの意志で棒そのものの形状もトゲを生やすなど自在に変化させることができるようになり、打撃武器としても使えるようになった。
担当声優の岡村明美によると、オーディションでのシーンはアーロンパーク編のルフィとナミの場面だったという[43]。
2021年7月31日、2016年に発生した熊本地震からの復興プロジェクトである「麦わらの一味 ヒノ国復興編」の一環として、「俵山交流館 萌の里」(阿蘇郡西原村)に等身大のナミの銅像が設置された[44]。
アニメ キャラクター事典「キャラペディア」で「アニメファンが選ぶ『もっとも魅力的なアニメ漫画の巨乳キャラ』」第1位に選ばれた[45]。