テナガエビ科

テナガエビ科
ヒラテテナガエビ Macrobrachium japonicum のメス
分類
: 動物界 Animalia
: 節足動物門 Arthropoda
: 軟甲綱 Malacostraca
: 十脚目 Decapoda
下目 : コエビ下目 Caridea
上科 : テナガエビ上科 Palaemonoidea Rafinesque, 1815
: テナガエビ科 Palaemonidae
学名
Palaemonidae
Rafinesque1815
亜科

テナガエビ科(テナガエビか、学名Palaemonidae)はコエビ下目に属するエビの1つ。テナガエビ類やスジエビ類など水産資源となる大型種の他、他の大型生物と共生することで知られる小型のカクレエビ類を多数含む。

近縁の科とともにテナガエビ上科 Palaemonoidea というグループを構成する。ただし近縁の科はどれも少数のカクレエビ類を分類したもので、テナガエビ上科の中ではテナガエビ科が最大の科である。

特徴

世界中の熱帯から温帯にかけて500種近くが知られるが、熱帯域ほど種類が多く、温帯域では少ない。

淡水から汽水域、浅いまで幅広く生息し、食用を含めて人の目に触れる機会が多い分類群である。特にサンゴ礁には多くの小型種が知られる。

5対・10本ある歩脚のうち、第1歩脚と第2歩脚は先端にはさみがある鋏脚に変化している。さらに第2歩脚が第1歩脚よりも大きく目立つのがテナガエビ科の特徴で、第1歩脚が大きいテッポウエビザリガニ下目、第3歩脚が大きいオトヒメエビ類などと区別できる。中には両方の鋏脚が大きいものだけでなく、左右のどちらか片方だけ大きくなるものもいる。

また眼柄が長く、複眼も大きく、上から見ると複眼が左右に飛び出る外見のものが多い。ただし共生動物の体内に深く入りこむカクレエビ類には眼が小さく退化したものもいる。

分類

テナガエビ亜科とカクレエビ亜科の2亜科が知られ、外見や生態はそれぞれ大きく異なる。種数はWoRMS[1]による。

テナガエビ亜科

体長は数cm-10cm程度のものが多く、エビとしては中型から大型である。体長30cmを超えるオニテナガエビ Macrobrachium rosenbergii (De Man, 1879) という種類もいる。

淡水から汽水域、浅い海に分布する。淡水性のテナガエビ類でも、幼生期は海で過ごし、稚エビに成長して川を遡る両側回遊性のものが多い。ただし種類によっては陸封され、淡水域から出ずに一生を送るものもいる。テナガエビ類は漁業資源となるものが多い。

また、ソリハシコモンエビやベンテンコモンエビなどはサンゴ礁に生息し、ホンソメワケベラアカシマシラヒゲエビなどと同様に魚類のクリーニング行動をすることが知られる。

テナガエビ亜科 Palaemoninae Rafinesque1815 - 約23属400種

カクレエビ亜科

カクレエビ属の1種 Periclimenes yucatanicus。大型イソギンチャクと共生する

体長は数mm-3cmくらいまでの小型種がほとんどである。全てが海産で、浅い海からやや深い海まで多くの種類が知られる。種間の系統関係はまだはっきりとしておらず、学名がついていない未記載種も多い。未発見種も相当数いるとみられる。

岩石や海藻の陰で生活するものもいるが、海産大型動物と共生するものが多い。共生の相手はそれぞれ決まっており、海綿サンゴイソギンチャクヒトデウミシダウニナマコ二枚貝巻貝ウミウシホヤなど多岐にわたる。

いわゆる「共生エビ」はカクレエビ亜科だけに限らず、同じテナガエビ上科の複数の科、モエビ科テッポウエビ科タラバエビ科ドウケツエビ科など、エビの各科で幅広く見られる。この中には鋏脚が太く発達したものが多いが、カクレエビ亜科を含むテナガエビ上科は第2歩脚が大きく発達するので区別できる。

大きな動物の体表や体内に生息し、捕食者から身を守る。また、アカホシカクレエビなど一部の種は共生動物の周辺に出てきて魚類のクリーニング行動も行う。

これらは小型で食用にはならないが、宿主が食用である場合は料理の際に出てくることがある。また、宿主の表面を徘徊するものは鮮やかな外見のものもいて、これらは共生の好例としてスキューバダイビングなどで観察や撮影の対象となる。宿主もろとも水族館などで飼育・展示されることも多い。

ガンガゼカクレエビ属の1種 Tuleariocaris neglecta。ウニ類の棘の間に生息する

カクレエビ亜科 Pontoniinae Kingsley, 1879 - 約115属630種

参考文献

  1. ^ "Palaemonidae Rafinesque, 1815". World Register of Marine Species. 2015年2月3日閲覧

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