オニテナガエビ

オニテナガエビ
保全状況評価[1]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
: 動物界 Animalia
: 節足動物門 Arthropoda
: 軟甲綱 Malacostraca
上目 : ホンエビ上目 Eucarida
: 十脚目 Decapoda
: テナガエビ科 Palaemonidae
亜科 : テナガエビ亜科 Palaemoninae
: テナガエビ属 Macrobrachium
: オニテナガエビ M.rosenbergii
学名
Macrobrachium rosenbergii
(De Man, 1879)
英名
giant river prawn
giant freshwater prawn

オニテナガエビMacrobrachium rosenbergii)は、十脚目テナガエビ科の、商業的に重要なエビの一種。淡水に生息するエビでは最大。

名称

Malaysian prawnfreshwater scampi (インド)、cherabin (オーストラリア)、golda chingri (バングラデシュインドベンガル語: গলদা চিংড়ি) udang galah (インドネシアマレーシア)、uwáng または uláng (フィリピン) Thailand prawn (中国台湾) (中国語: Tàiguó xiā 泰國蝦)[2]koong mae nam または koong ghram gram (タイ)[3]

形態

体長は30cmを超える。体色は主に茶色がかっている。頭胸甲および腹節は黄褐色で、青みを帯びる[4]。若い個体は緑色で、縞が入る。頭部は大きく、額角の背中側の棘は11〜14本、腹側の棘は8〜11本。第一胸脚は細長く、小さな爪が付いており、捕食の際の補助として使用される。第二胸脚は特に雄で非常に発達し、体長よりも長く伸びる。可動指は剛毛で覆われる。雄は成長に伴い第二胸脚の色が透明からオレンジ、その後藍色へと変化していく[3][5]。可動指は橙色[4]

雌は雄よりも第二胸脚が小さく、腹部が広くなる。生殖器は雄では第五胸脚、雌では第三胸脚を含む体節にある[3][5]

多型

雄には3つの異なる多型が存在する[6]。初期段階(small male:SM)では、第二胸脚は小さく透明である。その後成長し、(orange claw:OC)と呼ばれる、第二胸脚がオレンジ色で、長さが体長の0.8 - 1.4倍の状態となる[6]。 後に、最終段階(blue claw:BC)に変化する可能性がある。第二胸脚は青色で、長さは体長の2倍になる[5][7]

縄張りを持つBCの雄がOCを支配し、OCがSMを支配する[6]。 BC雄の存在はSMの成長を阻害し、OCからBCへの変変化を遅らせる。OCは変化する前に、付近で最大のBC雄よりも大きくなるまで成長する[6]。雄の3つの段階はすべて性的に活動的で、交尾前の脱皮を終えた雌はあらゆる雄と繁殖する。BCの雄は殻が固まるまで雌を守り、OCとSMは守ることはしない[6]

生態

インドから東南アジア、オーストラリア北部にかけて、インド太平洋熱帯および亜熱帯域に分布する[5]。日本では西表島から報告があるが、養殖種苗の逸出である可能性が指摘されている[4]河川の下流から汽水域にかけて生息する。雑食である。

交尾の際、雄は雌の胸部下側、歩脚の間に精莢を植え付ける。雌はを押し出し、受精する。雌は受精卵を孵化するまで持ち運ぶ。卵は通常3週間以内で孵化する。雌は10,000 - 50,000個の卵を年に5回産む[7]

これらの卵から、幼生の初期段階であるゾエアが孵化する。汽水域で数回の脱皮を経て、通常、孵化後約 32 - 35 日で稚エビになる[7]。体長 7.1 - 9.9 mm で形は成体と似る。その後淡水に戻る[7]

人間との関係

東南アジアでは重要な食料とされ、市場で盛んに流通している。アフリカ、タイ、中国、日本、ニュージーランドアメリカ大陸カリブ海の一部など、世界各地で食用に養殖されている[3][5]

脚注

  1. ^ De Grave, S.; Shy, J.; Wowor, D.; Page, T. (2013). Macrobrachium rosenbergii. IUCN Red List of Threatened Species 2013: e.T197873A2503520. doi:10.2305/IUCN.UK.2013-1.RLTS.T197873A2503520.en. https://www.iucnredlist.org/species/197873/2503520 05 September 2022閲覧。. 
  2. ^ (In Chinese) 大陸南方養蝦發展動態概述”. www.miobuffer.com.tw. 2024年1月6日閲覧。
  3. ^ a b c d Macrobrachium rosenbergii (giant freshwater prawn)”. CABI. 2016年12月23日時点のオリジナルよりアーカイブ2024年1月7日閲覧。
  4. ^ a b c 吉郷英範「日本のテナガエビ属(甲殻類:十脚類:チナガエビ科)」『比婆科学』第206巻、比婆教育振興会、2002年、1-17頁。
  5. ^ a b c d e H. Motoh & K. Kuronuma (1980). Field guide for the edible crustacea of the Philippines. Southeast Asian Fisheries Development Center (SEAFDEC). p. 44. オリジナルの2017-12-01時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20171201072729/https://repository.seafdec.org.ph/bitstream/handle/10862/152/ediblecrustacea.pdf;jsessionid=BFAC47AB199C35EDB0062CE423639508.jvm1?sequence=1 2024年1月7日閲覧。 
  6. ^ a b c d e A. Barki; I. Karplus & M. Goren (1991). “Morphotype related dominance hierarchies in males of Macrobrachium rosenbergii (Crustacea, Palaemonidae)”. Behaviour 117 (3/4): 145–160. doi:10.1163/156853991x00508. JSTOR 4534936. 
  7. ^ a b c d Forrest Wynne (May 2000). “Grow-out culture of freshwater prawns in Kentucky”. August 21, 2008時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年1月7日閲覧。

関連項目

Strategi Solo vs Squad di Free Fire: Cara Menang Mudah!