セデック語(セデックご、賽徳克語/Kari Seediq)は、台湾先住民であるセデック族の言語。オーストロネシア語族台湾諸語に分類される。広い意味でのセデック族は、台湾の中部、南投県と花蓮県の境界にまたがって居住している。
2004年にセデック族に先駆けて、タイヤル族から分離したタロコ族が話す言葉は、現在、タロコ語(太魯閣語)と呼ばれるが、セデック語とほぼ同一言語と言っていいぐらい、非常に近いものである。
セデック語は、老人を中心にまだ日常的に使われているが、若い世代はセデック語が分からなくなっており、近年は学校教育で教えたり、テレビ放送で講座が行われるなど、復興運動が盛んにおこなわれている。
2011年に制作された台湾映画「セデック・バレ」では、セデック族のセリフの大部分はセデック語である。
言語名について
- セディク語[1]
- セーディク語[2]
- タロコ(太魯閣)語 ※民族の分離の結果、現在はセデック語とは別として扱われている。
方言
- トゥルク方言(もしくはタロコ方言。タロコ語(太魯閣語)とも)
- トダ方言(都達語)
- トゥクダヤ方言(徳固達雅語)
文字
文字はラテン文字を使用する。
発音
母音
母音はa, i, u, e, oの5つ。長短の区別はない。
上下2段ある場合は、上段が無声音、下段が有声音。
その他、二重調音の接近音として、[w] がある。
日本人による研究
長年、日本の研究者は、セデック族をタイヤル族の一部として位置付けてきたため、過去の文献では、セデック語を「タイヤル語」として書いているケースもある。
日本による台湾統治が始まって以降、民族学者や言語学者が、セデック語について記録を残している。早い時期に鳥居龍蔵もフィールドワークを行い、比較的詳しい記録を残している[3]。
また、2004年に分離したタロク族の言語(タロコ語)もタイヤル語もしくはセデック語に含んで記述されてきた。
近年、セデック語パラン方言については、日本人研究者の落合いずみがフィールドワークを重ね、数々の著作を発表している[4]
脚注
- ^ 『世界の言語と国のハンドブック』下宮忠雄(大学書林)
- ^ 『講座言語 第6巻 世界の言語』北村甫編、杉田洋ら共著(大修館書店)
- ^ 鳥居が『東京人類学雑誌』に発表した報告を再編集したものを、戸部実之が『タイヤル語入門』と題して1983年に泰流社より発刊している。ただし、鳥居の記述が言語学的に必ずしも正確ではない上に、セデック語の知識がない戸部が編集したものなので、実用的な価値はない。
- ^ “reseachmap 落合いずみ”. 2020年6月4日閲覧。
参考文献
- 『ニューエクスプレス・スペシャル 日本語の隣人たち(CD付)』中川裕監修、月田尚美ら共著(白水社)
外部リンク