『スタートレック:エンタープライズ 』(英 : Star Trek: Enterprise 、略称 ENT)は、アメリカ のSF テレビドラマ シリーズ。『スタートレック 』メディア・フランチャイズ の5番目のテレビドラマ 作品。全98話。
あらすじ
2063年 の異星人(バルカン人)とのファーストコンタクト からおよそ90年が経過した2151年 、地球のオクラホマ、ブロークンボゥにクリンゴン人 の宇宙船が何者かに追われて墜落する。
地球連合宇宙艦隊 のジョナサン・アーチャー 大佐は完成したばかりの人類初の深宇宙探査船「エンタープライズ NX-01 」を使用してクリンゴン領に生存者を送り届けることにするが、それによって数世紀の時をまたぐ「時間冷戦」に巻き込まれることになる。
舞台設定
2001年9月から、UPN 系列で全米での放送を開始した。『宇宙大作戦 』で描かれたカーク船長の5年間の探査ミッションの約100年前、惑星連邦 成立前の22世紀を舞台に、ジョナサン・アーチャー 船長指揮する地球初の深宇宙探査船「エンタープライズ NX-01 」とそのクルーの活躍を描く。スタートレック世界の時間軸で、映画『ファーストコンタクト 』から『宇宙大作戦』までの期間を直接描いた初めての作品となる。
時間冷戦
カバルや球体創造者 など、異なる時代の複数の勢力が自己に有利なように歴史改変を行おうとして生じた対立。
第3シーズンまでのストーリーのおおまかな軸となっていたが後述する制作側の混乱により第4シーズン序盤で時間冷戦に関するエピソードは終りを迎え、その全貌が明かされることは無かった。
時間冷戦の参加勢力
カバル(22世紀)
スリバン人 の組織。28世紀からの指示で動く。
球体創造者 (21世紀~22世紀もしくは25世紀)
限定的に未来視やタイムトラベルができる種族。
ナクール (29世紀)
惑星連邦 (31世紀)
ダニエルスを22世紀に派遣。
製作
本作以前の『スタートレック』は、シリーズを通しての設定や別の作品のストーリーを前提とした話も多かったが、本作はシリーズ第一作である『宇宙大作戦』以前の時代を舞台とし、そうした設定をいったん白紙の状態に戻した事で、予備知識を持たない人も楽しむことができるようになっている。また、他作品のエピソードの前日譚も随所に織り込まれている。
本国アメリカではシリーズで初めてタイトルに「Star Trek 」の名を冠しないで放送された。アメリカでの番組タイトルは、第1・第2シーズンの放送時は Enterprise で、第3シーズンから日本版と同じく、Star Trek: Enterprise に変更。
本作のテーマ曲「Where My Heart Will Take Me 」はスタートレックシリーズ では初となる歌詞付きで、歌手はイギリス出身のラッセル・ワトソン (原曲はロッド・スチュワート の「Faith of the Heart 」)。なお、第3シーズンからの番組名変更にともない、主題歌も新アレンジで再録音された。
しかし、放送開始当初から視聴率的には低迷し、過去のシリーズに登場したキャラクターや俳優を出演させるなど様々なテコ入れが試されたが、視聴率は地を這う一方で、2005年2月3日(現地時間2日)に第4シーズン・フィナーレを最後に打ち切りされることが正式に発表された。そして、同年5月中旬、「最後のフロンティア[1] 」が最終エピソードとして放送され、全4シーズン・98話を以って終了した。最終話には『新スタートレック 』のウィリアム・T・ライカー 副長役のジョナサン・フレイクス とカウンセラー・ディアナ・トロイ 役のマリーナ・サーティス が特別ゲスト出演した(内容としても新スタートレック第164話『難破船ペガサスの秘密』と関連づいている)。
『スタートレック 』シリーズはその時点で、1966年の『宇宙大作戦』開始から40年近くが経過していた。1987年に始まった『新スタートレック』からは15年以上にわたり途切れなくテレビ放送が続いており、そのうち7年は2つのシリーズが並行して放送されていた。『新スタートレック』開始以降だけでも3本のテレビシリーズ(合計500話以上)と6本の映画が製作される中、『スタートレック・ヴォイジャー』の第4シーズン終了時~第6シーズン初期にかけて、『新スタートレック』時代からシリーズを構築、支え続けていたスタッフのマイケル・ピラー 、ロナルド・D・ムーア 、ジェリ・テイラー らが連続して離脱し、それ以降はリック・バーマンとブラノン・ブラーガの2トップ体制が続いた結果、実質ワンマン体制による脚本の質の大幅な低下や、それに伴うレギュラーメンバー描写の偏りが目立つようになり、最終的に本作においてTOS以来の打ち切りという終わり方を招く事になった。
『新スタートレック』以降のテレビシリーズや劇場作品で製作陣の中枢にあり、本作の最終話を含む数多くの脚本も執筆していたリック・バーマンとブラノン・ブラーガ は、打ち切りと言う結果を招いた事もあり、シリーズから完全に退くことになった。
元々この2人は第4シーズン開始時に製作陣からは外されており、マニー・コトが後を引き継いでからは、過去シリーズとのつながりも矛盾のないものとなり、また補完が行われるなどストーリーの質も大幅に回復した。マニー・コトらにはシーズン5への意欲もあり、実現していれば更にいくつかの新しい要素の追加や、過去シリーズ(劇中では未来)の要素について語られる計画があった。
・初期のストラートへの訪問
・ベレンガリア7号星における、初の宇宙基地建設について
・ロミュラン戦争と、それに伴うロミュランへスパイとして潜入していたトゥポルの父親について
・ボーグクイーンの起源について
・シュランのレギュラー化(『氷窟の民』での本人のセリフと関連し、エンタープライズの乗員として)
・エンタープライズの大規模改装(第二船体の追加。『スタートレック・ピカード』シーズン3にて、艦隊ミュージアムにて展示されているものが映像として確認出来るようになり、正史として拾われた形となった。)
しかし最終話の脚本を再びリック・バーマンとブラノン・ブラーガが担当しており、第4シーズンで積み重ねてきたタッカーとトゥポルの関係を特に理由もなくリセットさせていたり、俳優自身も疑問を呈するほどの必然性の無い死に方をタッカーにさせたため、多数の視聴者から抗議や疑問の声があがり、打ち切り後に出版されたいくつかの小説で、タッカーのその後を描かれた理由の一つにもなった。
タッカーの扱いについて、多くのファンから糾弾されたブラノン・ブラーガは、タッカーを死なせたことについて後悔はない等と発言した。その後スタートレックシリーズの「パロディ」ドラマである宇宙探査艦オーヴィル に参加している。
なお、日本語吹き替え版は当初「船長」ではなく、「艦長」と当てられていたが、『宇宙大作戦』との整合性をとるために、第1話『夢の旅立ち』のアフレコ終了後に変更され、第1話自体も録り直されている。
登場人物
※ 演の括弧内は日本語吹き替え。
レギュラー
その他の登場人物
未来人
演 - ジェームズ・ホーラン (森田順平 )
遺伝子操作されたスリバン人で構成される工作組織「カバル」を操る時間冷戦の当事者。種族や性別は不明で、常にシルエットのみで登場。
ケルビー
演 - デレク・マジャル (髙階俊嗣 )
タッカー少佐の部下の機関部員。階級は大尉。地球人男性。タッカーが姉妹船コロンビアに転出した後に機関部長を引き継ぎ少佐に昇進したが、タッカーがエンタープライズに復帰すると元の大尉に戻った。
サブタイトル
シーズン1
番号
原題(英語)
日本語版題名
1
Broken Bow
夢への旅立ち(前編)
2
Broken Bow
夢への旅立ち(後編)
3
Fight or Flight
死のファースト・コンタクト
4
Strange New World
風が呼んだエイリアン
5
Unexpected
予期せぬ侵入者
6
Terra Nova
植民星テラ・ノヴァの謎
7
The Andorian Incident
汚された聖地
8
Breaking the Ice
彗星は去り行くとも
9
Civilization
狙われた星アカーリ
10
Fortunate Son
復讐の連鎖
11
Cold Front
時を見つめる男
12
Silent Enemy
言葉なき遭遇
13
Dear Doctor
遥かなる友へ
14
Sleeping Dogs
名誉に生きる者
15
Shadows of P'Jem
恩讐を越えて
16
Shuttlepod One
引き裂かれたクルー
17
Fusion
果てなき心の旅
18
Rogue Planet
幻を狩る惑星
19
Acquisition
獲物たちの罠
20
Oasis
閉ざされたオアシス
21
Detained
テンダーの虜囚
22
Vox Sola
漂流生命体の叫び
23
Fallen Hero
追放された者への祈り
24
Desert Crossing
幻影の戦士
25
Two Days and Two Nights
楽園での出来事
26
Shockwave, Part I
暗黒からの衝撃波(前編)
シーズン2
番号
原題(英語)
日本語版題名
27
Shockwave, Part II
暗黒からの衝撃波(後編)
28
Carbon Creek
スプートニクの飛んだ夜に
29
Minefield
許されざる越境
30
Dead Stop
謎の自律浮遊基地
31
A Night in Sickbay
小さな生命の灯
32
Marauders
招かれざる訪問者
33
The Seventh
封印された記憶
34
The Communicator
危険なコンタクト
35
Singularity
三重星系の誘惑
36
Vanishing Point
転送空間の恐怖
37
Precious Cargo
眠る女の謎
38
The Catwalk
嵐を告げる男達
39
Dawn
熱き夜明け
40
Stigma
消せない汚名
41
Cease Fire
戦場の絆
42
Future Tense
沈黙の漂流船
43
Canamar
地獄への護送船
44
The Crossing
光の意志
45
Judgment
反逆の法廷
46
Horizon
兄弟の地平
47
The Breach
理由なき憎しみ
48
Cogenitor
第3の性
49
Regeneration
覚醒する恐怖
50
First Flight
運命の飛行
51
Bounty
狙われた首
52
The Expanse
帰還なき旅
シーズン3
番号
原題(英語)
日本語版題名
53
The Xindi
トレリウムD
54
Anomaly
オサーリア人の襲撃
55
Extinction
突然変異
56
Rajiin
美しき潜入者
57
Impulse
幽霊船
58
Exile
孤独な亡命者
59
The Shipment
兵器工場潜入
60
Twilight
留められない記憶
61
North Star
ウエスタン
62
Similitude
ライサリア砂漠幼虫
63
Carpenter Street
デトロイト2004
64
Chosen Realm
選ばれし領域
65
Proving Ground
アンドリア人の協力
66
Stratagem
策略
67
Harbinger
新たなる脅威の兆し
68
Doctor's Orders
フロックス船長の孤独
69
Hatchery
トゥポルの反乱
70
Azati Prime
爬虫類族の攻撃
71
Damage
球体創造者
72
The Forgotten
デグラの決断
73
E2
エンタープライズ2
74
The Council
評議会の分裂
75
Countdown
地球攻撃10時間前
76
Zero Hour
最終決戦
シーズン4
番号
原題(英語)
日本語版題名
77
Storm Front, Part I
時間冷戦(前編)
78
Storm Front, Part II
時間冷戦(後編)
79
Home
ヒーローたちの帰還
80
Borderland
ボーダーランド
81
Cold Station 12
コールド・ステーション
82
The Augments
野望の果て
83
The Forge
狙われた地球大使館
84
Awakening
陰謀の嵐
85
Kir'Shara
バルカンの夜明け
86
Daedalus
亜量子転送
87
Observer Effect
死の観察者
88
Babel One
バベル1号星
89
United
ロミュランの陰謀
90
The Aenar
氷窟の民
91
Affliction
クリンゴンの苦境
92
Divergence
優生クリンゴン
93
Bound
誘惑の甘い罠
94
In a Mirror, Darkly, Part I
暗黒の地球帝国(前編)
95
In a Mirror, Darkly, Part II
暗黒の地球帝国(後編)
96
Demons
テラ・プライム(前編)
97
Terra Prime
テラ・プライム(後編)
98
These Are the Voyages...
最後のフロンティア
その他
ラッセル・ワトソン が歌うオープニング曲「ホェア・マイ・ハート・ウィル・テイク・ミー」 (Where my heart will take me ) は、映画『パッチ・アダムス 』のエンディングで流れるロッド・スチュワート が歌う「フェイス・オブ・ザ・ハート」 (Faith of the Heart ) に若干のアレンジを施したものである。ヴォーカルの入った曲が、スタートレックのシリーズのテーマ曲に使われたのは、初めてである。
最終話では「宇宙、それは最後のフロンティア...(Space, the final frontier…)」に始まるシリーズお馴染みのナレーションをジャン=リュック・ピカード (パトリック・スチュワート )、ジェームズ・T・カーク (ウィリアム・シャトナー )、ジョナサン・アーチャー (スコット・バクラ )が語り繋ぐ演出がとられた。原語版ではピカードとカークの台詞はオリジナルからのアーカイブ音声。日本語吹替版ではスーパー!ドラマTV 放映時はアーチャー役の谷口節 が単独で担当していたが、DVDではピカードとカークのオリジナルキャストである麦人 と矢島正明 [2] が起用され録り直しが行われた。
脚注
^ These Are the Voyages... (ズィーズ・アー・ザ・ボイェジーズ)
^ 『宇宙大作戦 』当時のナレーターは若山弦蔵 。
外部リンク
公式
非公式
テレビ番組
劇場版
未成作品 ゲーム 主役艦・基地 一覧 関連項目