ジョン・バティステ (Jonathan Michael "Jon" Batiste、1986年 11月11日 - )[ 1] は、ルイジアナ州 メテリー 出身のアメリカのミュージシャン、バンドリーダー、シンガー・ソングライター。アメリカの人気TV番組『ザ・レイト・ショー・ウィズ・スティーヴン・コルベア 』の音楽ディレクター兼ハウスバンドのリーダーそしてテレビのパーソナリティ [ 2] 。定期的に自身のバンドのツアー [ 3] やアトランティック の音楽監督およびハーレムの国立ジャズ博物館のクリエイティブディレクターも務める[ 4] 。
彼はこれまでさまざまなジャンルの音楽(スティーヴィー・ワンダー 、プリンス 、ウィリー・ネルソン 、レニー・クラヴィッツ 、エド・シーラン 、メイヴィス・ステイプルズ )のアーティストとレコーディングおよびパフォーマンスを行い、自身のレコーディングをリリースし、40か国以上でパフォーマンスを行ってきた。
ジュリアード音楽院 の修士課程を修了し、TVパーソナリティーや教育者、NYハーレムにある国際ジャズ博物館のアート・ディレクターとしての顔を持つ多方面で活躍の人物で、米国「フォーブス 」誌の名物企画「世界を変える30歳未満の30人 」にも選出。また、映画監督のスパイク・リー との親交も知られ、2012年公開の『レッド・フック・サマー』(日本未公開)では音楽を手掛けている。
さらにファッション・ブランド、「ラルフ・ローレン 」「バーニーズ 」などのアンバサダーも経験し、コーチ の2020年秋冬コレクションでは、マイケル・B・ジョーダン 、ジェニファー・ロペス と共にブランドアイコンに抜擢され、ファッション界でも注目されている。
2020年12月25日にディズニープラス で公開されたディズニー&ピクサー 映画『ソウルフル・ワールド 』では、トレント・レズナー とアッティカス・ロス とともに映画の音楽担当として抜擢され、劇中歌とエンド・ソングを担当。
初期の人生と教育
ジョン・バティステは1986年11月11日、ニューオーリンズ郊外のメテリーで生まれた。彼が生まれたバティスト家は多くのミュージシャンを輩出しており、一族の中にはクラリネット奏者のアルヴィン・バティスト 、編曲家、プロデューサーのハロルド・バティスト 、ファンキー・ミーターズ で活躍したドラマーのラッセル・バティストJr. 、トレメ・ブラス・バンドのバスドラム奏者であったライオネル・バティスト などがいる[ 5] [ 6] [ 7] 。
8歳のとき、彼は家族バンドであるBatiste Brothers Bandでパーカッショニストとして初のギグを体験[ 8] 。 11歳の時、母親の勧めでピアノに転向する。バティステは、クラシック音楽のレッスンを受け、ストリートファイターアルファ 、ファイナルファンタジーVII 、ソニックザヘッジホッグ などのビデオゲームの曲を書き写すことでピアノのスキルを磨いた[ 9] 。
さらに、10代の頃からインターネット上で音楽をリリースし始め、17歳で自主制作で『Times in New Orleans』を発表。その後、音楽の名門ジュリアード音楽院 でピアノの学士号と修士号を取得。
キャリア
2014年のモンタレー・ジャズ・フェスティバル でのジョン・バティステ 2012年に公開された、スパイク・リー 監督の映画『レッド・フック・サマー』(日本未公開)の音楽を手掛ける。
2017年からは、雑誌The Atlanticの音楽ディレクターに就任。
2019年にはメジャー・デビュー作である『ハリウッド・アフリカンズ』の収録曲「セント・ジェームス病院 」がグラミー賞 最優秀アメリカン・ルーツ・パフォーマンス賞にノミネート。
2020年7月、NBAで最も注目が集まるキックオフ・ゲームで国歌を歌う。同年12月25日公開のディズニー&ピクサー 映画『ソウルフル・ワールド 』では、映画の音楽担当として抜擢され、劇中歌とエンド・ソングを担当。
2021年には、カーネギーホール で上演される『アメリカン・シンフォニー』では、バティステの作曲とソング・ライティングが大きく特集される予定となっている。
2022年4月4日、第64回グラミー賞 で年間最優秀アルバムを受賞。
ステイ・ヒューマン
2015年のニューポート・ジャズ・フェスティバル で演奏するバティステとステイ・ヒューマン
2005年 、バティステはジュリアード音楽院の仲間のベーシスト、フィル・クーンとドラマーのジョー・セイラーとともにレギュラーでニューヨークにおいてプレイし始めた。彼は後になってアルト・サクソフォーンにエディ・バーバッシュ、チューバにイバンダ・ルフンビカをメンバーに加えた[ 10] 。バティステはこのバンドをステイ・ヒューマンと名付けた。これは、「プラグインしてあとは耳を貸さない」という特性を持った現代社会において、ライヴ音楽のパフォーマンス中の人間同士の相互作用が人間性を高めることができるという信念を表現したものである。このバンドは、即興でストリートでの演奏を行ない、バティステはこれを「愛の暴動 (love riots)」と呼んでいる[ 11] 。しばしば著名なアーティストがバティステと共演する様子が目撃され、その中にはウィントン・マルサリス も含まれている[ 12] 。
2011年 、ステイ・ヒューマンは、全てをニューヨーク市地下鉄 の電車内でレコーディングしたアルバム『MY N.Y.』をリリース。これは、どのように人々とつながることができるかと探求する中でバティステが思いついたアイデアであった[ 13] 。
2014年 には、バティステとステイ・ヒューマンはコルベア・レポー に出演、オースティン・ビスが作曲し、プロデュースした彼らのシングル「Express Yourself」を演奏した。
2017年 4月22日 、彼らはワシントンD.C. のワシントン記念塔 で行なわれたワシントン・モニュメントでのマーチ・フォー・サイエンス集会で演奏している[ 14] [ 15] 。
ザ・レイト・ショー・ウィズ・スティーヴン・コルベア
2015年 6月4日 、ジョン・バティステとステイ・ヒューマンが『ザ・レイト・ショー・ウィズ・スティーヴン・コルベア 』のハウス・バンドを務めることが発表された。同番組は2015年 9月8日 、CBS で放送を開始[ 4] 。番組ではバティステとステイ・ヒューマンがビリー・ジョエル 、ウィル・スミス 、ウィントン・マルサリス 、ジョン・レジェンド 、グレース・ヴァンダーウォール 、ナズ といった面々と演奏している。
2022年 8月11日 の放送で、コルベアはバティステが「個人的、職業的関心事を追求するため」、『ザ・レイト・ショー・ウィズ・スティーヴン・コルベア』には戻らないことを発表した[ 16] 。
ジューンティーンスの祝典 (2020年)
2020年、ブルックリンのジューンティーンスでのバティステ
2020年、バークレイ・センターでのブラック・ライヴズ・マター 集会で演奏するバティステ
2020年 6月、バティステはニューヨークのブルックリンで開催されたジューンティーンス の祝典に参加。この祝典では「黒人の権利と待遇の平等を祝し、団結を示し、戦う」ための抗議、更新、集会、夜警が行なわれた[ 17] ブルックリン公立図書館の階段で演奏したバティステはピアニストのマット・ウィテカーと共演。このパフォーマンスは非営利団体「シング・フォー・ホープ」とのパートナーシップの下で行なわれたものであった[ 17] 。
2020年のジューンティーンスは、ジョージ・フロイドの死 を受けての抗議運動 が巻き起こり、また新型コロナウィルスの流行 で人種不平等への意識が高まる中で迎えることとなった[ 18] 。変化を求める運動とそれに対する音楽の関わりの違いについて問われたバティステは次のように答えている。「音楽は、我々の生活、我々のコミュニティ、我々の癒し、我々の口には出さない苦痛にあらゆる目的を持つものであり続けたし、メッセージを伝達し、人々の状況について関心を高めることに寄与してきました。(中略)昔と異なるのは、400年に渡って続いてきた制度的抑圧を変えるための支持が、今は以前より広範囲に広がっていることです。」「今こそ、我々の祖先が何のために音楽を使ったのかについて再び思いをはせることがかつてないほど重要です。なぜならそれは忘れ去られているからです。(中略)世界では一般的に音楽はエンターテインメントとみなされています。それは音楽の一つの側面ではありますが、根本としては違います。音楽の全体像は、それよりも遥かに深く幅が広いのです[ 19] 。」
『ソウルフル・ワールド』と『ウィー・アー』
バティステは、2020年の映画『ソウルフル・ワールド 』の音楽をトレント・レズナー 、アッティカス・ロス と共同で作曲した[ 20] [ 21] 。3人は、アカデミー作曲賞 [ 22] 、ゴールデングローブ賞 作曲賞 [ 23] を始め、その他多くの受賞と賞のノミネーションを受けた。
2021年 3月19日 、バティステは通算5枚目のソロ名義のスタジオ・アルバム『ウィー・アー』をリリースした。アトウッド誌のインタビューに答え、彼はこの作品について「現時点での僕の人生の集大成」であると説明し、「クリエーターとして、またアーティストとして僕が今いる地点を最も的確に表しています」と語っている[ 24] 。
2021年7月、バティステはエレクトリック・レディ・スタジオ にて1日で演奏されたライヴ盤EP『Live at Electric Lady』をリリースした。このアルバムはSpotify の独占リリースだった[ 25] 。
2021年10月の深夜、彼はハーレム の通りにマドンナ とともにサプライズで登場し、「ライク・ア・プレイヤー 」を歌った。これは近隣のレストランで行なわれたマドンナのコンサート映画『Madame X』のプロモーション・イベントに2人が出演したあと、通りに出てたものだった[ 26] 。
第64回グラミー賞 において、バティステは『ウィー・アー』で8部門、『ソウルフル・ワールド』で3部門の計11部門でノミネーションを受けた[ 27] 。バティステは11部門中、年間最優秀アルバム賞を含む5部門において受賞をし[ 28] 、2008年 でハービー・ハンコック が『リヴァー〜ジョニ・ミッチェルへのオマージュ 』で受賞して以来の黒人による年間最優秀アルバム賞受賞となった[ 29] 。
『ワールド・ミュージック・レディオ』
2023年 6月、バティステは新作のコンセプト・アルバム『ワールド・ミュージック・レディオ』のリリースを発表した。同作は2023年8月18日にリリースとなった[ 30] 。ラナ・デル・レイ 、リル・ウェイン 、NewJeans 、JIDらがフィーチャー・アーティストとして参加している。本作からは「Calling Your Name」がシングル・カットされた[ 31] 。
来日公演
2023年10月、下記の日程で初来日公演を行なった[ 32] 。
2023年10月6日(金) 東京・神田スクエアホール (Premium Showcase in TOKYO)[ 33]
2023年10月7日(土) 神奈川・ぴあアリーナ MM (Coke STUDIO SUPERPOP JAPAN 2023)
2023年10月8日(日) 神奈川・ぴあアリーナ MM (Coke STUDIO SUPERPOP JAPAN 2023)
日本でのラジオ / テレビ出演
ラジオ
テレビ
私生活
カーネギーホール などで行われるコンサートステージに多くの学生を招待することで知られており、世界中でマスタークラスを開催するなど若いミュージシャンの育成にも力を注いでいる。[要出典 ]
アンダーソン・パーク やコモン らのヒップホップ系アーティストとも親交が深い。[要出典 ]
バティステはジャーナリスト、作家であり、癌克服者であるスレイカ・ジャワードと結婚している。
両者は十代の頃にバンドのキャンプで出会った[ 34] 。2022年4月3日、CBSニュース・サンデー・モーニングのインタビューの中で、2人は2022年2月にプライベートな式を挙げて結婚したことを明らかにした[ 35] 。
ディスコグラフィー
[ 36] [ 37]
『Times in New Orleans』 (Jonathan Batiste, 2005年)
『Live in New York: At the Rubin Museum of Art』 (Jonathan Batiste, 2006年)
『MY N.Y.』 (Naht Jona, 2011年)
『Jazz Is Now』 (Naht Jona, 2013年)
『Social Music』 (Razor & Tie, 2013年)
『ザ・プロセス』 - 『The Process』 (Victor, 2014年) ※チャド・スミス 、ビル・ラズウェル との共作 [ 38]
『Christmas with Jon Batiste』 (Naht Jona, 2016年)
『The Music of John Lewis』 (Blue Engine, 2017年) ※ウィントン・マルサリス との共作
『ハリウッド・アフリカンズ』 - 『Hollywood Africans』 (Verve, 2018年)[ 39]
『Chronology Of A Dream: Live At The Village Vanguard』 (Verve, 2019年)
『Anatomy of Angels: Live At The Village Vanguard』 (Verve, 2019年)
『Meditations』 (Cory Wong/Jon Batiste, 2020年) ※コリー・ウォングとの共作
『ソウルフル・ワールド オリジナル・サウンドトラック 』- 『Soul: Original Motion Picture Soundtrack』 (Walt Disney, 2020年)
『Music from and Inspired by Soul (Original Motion Picture Soundtrack)』 (Walt Disney, 2020年)
『ウィー・アー』 - 『We Are』 (Verve, 2021年)
『Live at Electric Lady』 (Spotify, 2021年) ※EP-配信のみ
『ワールド・ミュージック・レディオ』 - 『World Music Radio』 (Verve/Interscope, 2023年)
『ベートーヴェン・ブルース』 - 『Beethoven Blues - Batiste Piano Series, Vol. 1』 (Universal Jazz, 2024年)[ 40]
出典
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参考文献
外部リンク
1934–1950 1951–1975 1976–2000 2001–2025
1968–1980 1981–2000 2001–2020 2021–2040