コヴェントリー (Coventry [ˈkɒvəntɹi] ( 音声ファイル ) ) は、イギリス ・イングランド のウェスト・ミッドランズ州 にある都市。イングランドで8番目に人口が多い都市である。
コヴェントリーは自動車産業 と大聖堂 、ゴダイヴァ夫人 (ゴディバ夫人とも表記される)の伝説で有名である。
歴史
ゴダイヴァ夫人の伝説
コヴェントリーは1043年、領主であったレオフリック (Leofric ) とその妻ゴダイヴァ夫人 (Lady Godiva ) によって、ベネディクト派 の修道院 が設立されたことに端を発しているとされていた[誰によって? ] 。近年の調査では、この修道院は1022年には存在していたことが判明し、2人はそれを支援したという見方がされるようになった[誰によって? ] 。
領主レオフリックとゴダイヴァ夫人については有名な伝説がある。重税に苦しむ領民を気の毒に思ったゴダイヴァが、夫レオフリックに税を軽くするように申し述べたところ、レオフリックはゴダイヴァが慎み深い女性であることを知りながら「お前が全裸で馬に乗って町を一周したら考えてやろう」と言った。悩んだ末にゴダイヴァは決意し、町中の住民に外を見ないよう命じた上、長い髪だけを身にまとって馬に乗って町を1周したのである。町民たちはこのゴダイヴァのふるまいに心を打たれ、窓を開けずに閉じこもった。レオフリックはやむを得ず税を軽くしたという。なお、このときにひとりだけ外を覗いた男がおり、彼がピーピング・トム (Peeping Tom ) という言葉の由来になったという。ただし、中世を専門とする歴史家の見解では、上記の伝説が史実でないことで一致している[ 1] [ 2] [ 3] 。この伝説にちなんで、馬に乗ったゴダイヴァの像が市の中心部に建っている。
近世・近代
14世紀になると、布貿易の中心地として栄えるようになる。コヴェントリーは、中世のイングランドで最も重要な都市のひとつであった[要出典 ] 。
19世紀後半になると自転車が流行し、英国中にサイクリング・クラブ ができる。ローバー がコヴェントリーで自転車製造を開始し、多くの自転車製造業者が後に続いた。1896年に赤旗法 が廃止されたのをきっかけとして、20世紀初頭、これら自転車製造業者は自動車の製造を始める。こうしてコヴェントリーは自動車産業の中心地となった。
コヴェントリー爆撃
破壊された大聖堂 新大聖堂の内部
工業都市であったため、第二次世界大戦 中の1940年 11月14日 にはナチス・ドイツ による爆撃「コヴェントリー爆撃 (英語版 ) 」(Coventry Blitz)の標的となり、コヴェントリー大聖堂 (英語版 ) を含む市の中心の大部分が破壊された。
1950年に新しい大聖堂を建てる設計コンペが開催された。設計を勝ち取ったのは、バジル・スペンス (英語版 ) である。1962年、廃墟となった旧大聖堂の脇に新大聖堂が再建され、戦争の爪痕と戦後の復興のシンボルとなった。また、ジェイコブ・エプスタイン (英語版 ) 作『聖ミカエルと悪魔』の青銅像、ジョン・パイパー (英語版 ) 作の色彩豊かなステンドグラス およびグレアム・サザランドのキリストの巨大なタペストリーが注目されるようになった。
ナチス・ドイツによる空襲について、イギリス政府は事前にドイツ軍 のエニグマ暗号 を解読し察知しながら、その後の迎撃戦を有利に運ぶため、コヴェントリー爆撃隊を見逃したとする陰謀論 があり、「小の虫を殺し大の虫を生かす」類の説話としてしばしば語られる。しかし、BBCの説明によれば、イギリスはエニグマ暗号自体の解読には成功していたが、電文中で標的は「Korn」とコードネーム で書かれていたために、それがコヴェントリーを指すことまではわからなかったという[ 4] 。
観光
コヴェントリー大聖堂が観光地として人気である。第二次世界大戦で破壊された旧大聖堂の隣に、近代的なデザインの新しい大聖堂が建っている。
コヴェントリー交通博物館 (Coventry Transport Museum ) では自動車・自転車の街としてのコヴェントリーを知ることができる。
コヴェントリー近郊には、シェイクスピア の生地であるストラトフォード・アポン・エイヴォン や、荘厳な城で有名なウォリック がある。バーミンガム からもアクセスしやすい立地である。
経済
コヴェントリーは1890年代 から自転車と自動車産業で栄えた都市である。ジャガー の本部、コヴェントリー・クライマックス の本社と工場があり、デイムラー 、トライアンフ 、プジョー などの組立工場もある。ロンドンタクシー として有名なブラック・キャブ もコヴェントリーで生産されている。
芸術
クリスマス・キャロル のひとつで、16世紀に成立した『コヴェントリー・キャロル 』で知られる都市である。
19世紀初めには、小説家のジョージ・エリオット の作品『ミドルマーチ』の舞台となった。
1962年、ベンジャミン・ブリテン による『戦争レクイエム 』が初演された。
現在ではコヴェントリー・ジャズ・フェスティバルなどの音楽イベントで人気を博している。
市内のウォーリック大学 には、ロンドン以外ではイングランド最大規模の舞台劇場を備えたウォリック・アート・センター (Warwick Arts Centre ) がある。
教育
スポーツ
出身人物
姉妹都市
出典
^ [1] Coe, Charles. "Lady Godiva: The Naked Truth." Harvard Magazine. July-Aug. 2003 (July 28, 2008) 第2段落目 But as it happens, most medieval scholars agree the ride never took place.
^ [2] Lady Godiva: The naked truth, BBC News, 24 August, 2001, 15:31 GMT 第13段落目 Regrettably, though, the story of Lady Godiva's ride is almost certainly a myth.
^ [3] Why did Lady Godiva take a naked horse ride? 第2ページの最終段落 Too bad it's not true. On the next page, we'll take a closer look at the story and see why historians have discounted it. 第3ページの第5段落目 Therefore, Godiva's ride never happened because there simply was no need for her to prove anything.
^ “The Coventry Blitz 'conspiracy'” . BBC News. (2012年11月10日). http://www.bbc.co.uk/news/mobile/uk-11486219
^ “City remembers schoolgirl Mowlam” . BBC News Online (BBC). (19 August 2005). http://news.bbc.co.uk/1/hi/england/coventry_warwickshire/4165334.stm 23 September 2009 閲覧。
外部リンク
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