ケララ州(ケーララ州)(ケララしゅう、マラヤーラム語: കേരള、英語: Kerala)は、インドの州の一つであり、南インドを構成する州の一つに数えられる。東にタミル・ナードゥ州と接し、北にカルナータカ州と接する。州都はティルヴァナンタプラム、最大都市はコーチ。マラバール海岸によりインド洋に臨んでおり、西にはラクシャドウィープ連邦直轄領が、南にはモルディブの島々が、海の中に浮かんでいる。旧フランス領でポンディシェリ連邦直轄領の一部となっているマーヒが、ケララ州の一部を切り取るように存在している。
メソポタミアのシュメール時代から香辛料貿易の中心地として記録されている[1][2]。エジプト、フェニキア、中国、バビロニアなどの地方からの人々でにぎわいを見せた。
8世紀の代表的な思想家としてシャンカラが出た。ケララはアーユルヴェーダの発祥の地としても知られる。
1102年にチョーラ朝が北部に侵攻してチェーラ・ペルマル朝(英語版)が滅ぼされ、コーチン王国が興った。
大航海時代の1498年にポルトガル人が訪れ上陸し、拠点を築いた。その後続いてオランダ、イギリス、フランスからも相次いで上陸し、象牙、チーク材、香辛料などを求めるヨーロッパ人との交易が開始され、今日は多文化共生となっている。ケララ州の沿岸はマラバール海岸と呼ばれコショウの原産地である。14世紀から17世紀まで多くの数学者や天文学者を生んだ(ケーララ学派、マーダヴァ)。マルコ・ポーロが上陸したのは、コバラム近くのマラバール海岸である。明朝の鄭和もカリカット(コーリコード)に来航し[3]、15世紀にはヴァスコ・ダ・ガマが上陸した[4]。古代イスラエルのソロモン王も船を寄せたとの伝説もある[5]。1661年、オランダ領マラバール(英語版)(1661年 – 1795年)が出来る。現在も海運業・造船業が盛んであり、インド初の国産空母ヴィクラントの建造もコーチの造船所が請け負っている。
18世紀初頭、南部にトラヴァンコール王国(1729年 - 1947年)が建国された。
1967年から1970年にかけてKunnikkal Narayanan(マラヤーラム語版)が毛沢東主義のナクサライト(Naxalite)をケララ州で率いていた。
1991年の湾岸戦争時にサッダーム・フセイン大統領を支持する人々が「サダム・ビーチ」という名前に変えた海岸の村がある。
2016年4月10日、ヒンドゥー教寺院で行われた無許可の花火大会で、花火が保管場所に落下して爆発。数千人がパニック状態に陥ったことで100人超が死亡、200人超が重軽傷を負う群衆事故が発生した[6]。
2018年のモンスーン時には、例年にない集中豪雨に見舞われ洪水のほか土砂災害が多数発生。州内で324人以上の死者を出したほか、31万人以上が避難を余儀なくされた[7]。
インド半島南西部のアラビア海に面した南北に長く延びた州。多くの川がそれぞれに支流を伸ばし、複雑な海岸線を形成している。南北590 kmの海岸線を有し、東西の幅は11 km〜121 km。自然地理は東部の平均高度1500 mに達する西ガーツ山脈と西部の海岸平野、中間部の紅茶産地であるニルギリなどの丘陵地帯に区分される。
気候は熱帯海岸性で多雨で知られる。夏の南西モンスーン、冬の北東モンスーンによるもので、年間降水量2900 mmに達する。気温は年間を通じ最高28〜35 ℃、最低22〜25 ℃である。
政治的には1957年に世界的にも珍しい普通選挙を通じた共産党政権(インド初の非インド国民会議州政権)が発足してE・M・S・ナンブーディリパド(英語版)が初代州首相に選出されて以来、インド共産党マルクス主義派が与党になることも多い。また、かつてはインド共産党も与党になったことがある。
州議会の議員数は140議席で、2016年5月16日に行われた州議会選挙での政党別議席配分は以下の通りである。
インド初で最大のIT特区でもあるティルヴァナンタプラムテクノパーク(英語版)がつくられており、Linuxや自由ソフトウェアを積極的に推進し、リチャード・ストールマンからアジアで最初に提携する州に選ばれた[8][9]。ティルヴァナンタプラムはインドの宇宙開発の発祥地でもある[10]。また、電子政府化も進んでおり、「インドで初めて完全にデジタル化された州」と呼ばれている[11]。
同州は人間開発指数で最高値を記録しており[12]、識字率はほぼ100 %[注釈 1] に達し、インド初の家族計画政策で人口増加率は最も低く[13]、治安面では殺人率は最も低く[14]、インドでのユニバーサルヘルスケアの先駆け[15] として平均寿命もインドでは最も高く、インドで最も公衆衛生が進んでるとされ[16]、世界保健機関とユニセフからは表彰もされている[17]。ケララ・モデルは経済学者のアマルティア・センやマブーブル・ハックなどから絶賛されている。
出稼ぎが湾岸アラブ諸国で多く[18]、ドバイに住むインド系の過半数がケララ出身であるとされる。ドバイ政府とはIT都市スマートシティ・コーチの建設で協力している[19]。
最大都市のコーチで2013年から地下鉄の建設工事がはじめられ、2017年より営業運転を開始している[20]。このコーチ地下鉄には、インド国内ではじめて無線式列車制御システム(CBTC)が導入された[21]。
ケララ州は、14の県(ジッラ ജില്ല)に分けられている。
この他、以下の大都市は政令指定都市(マハーナガラム മഹാനഗരം ; 「大都市」)に指定されている。
主な民族としてはマラヤーリ、en:Adivasi、en:Kerala Iyers、en:Shivalli Brahmins、カンナダ人(英語版)、コンカニ人、en:Cochin Sikhsが存在。
公用語はマラヤーラム語。タミル語、コンカニ語、トゥル語、ヒンディー語、ベンガル語、en:Maldivian language、及び各種Adivasi(アーヂヴァーシー)語が使用されている。
ヒンドゥー教、イスラム教、キリスト教、仏教、ユダヤ教、ジャイナ教などと宗教的には多様だが、宗教間の衝突は他の州に比べれば少ないとされる[22]。
ナスラーニー(英語版)にアッシリア人が合流した東方教会系のカルデア・シリア教会がある。
インドで最も古いモスクとシナゴーグや聖トマス教会[23][24][25]、ヴィシュヌを奉っていることで有名なパドマナバスワミ寺院(英語版)はケララにある。
ケララ州には先カンブリア時代の岩石が広く分布し、岩石に含まれるモナザイトを産出する海岸が250 kmの長さに及ぶ。これがインドを世界一のモナザイト産出国にし、モナザイトを含む黒い砂浜[26] と共に、世界有数の自然放射線量の地域としても知られている。ケララ州海岸線付近における1人・1年間あたりの被照射線量は平均3.8 mSv、高い地域では20 mSv以上に達する[27]。家系内遺伝調査の結果によれば、高線量地域では統計的に有意に生殖細胞由来の点突然変異が高い傾向にある[28][29]。
マラップラム県のKodinhi村では、双子が多いことでも知られており、Krishnan Sribiju医師によれば、原因は不明だが、60年〜70年前からみられる傾向だという[30][31]。この現象はKodinhi村に限ったことではなく、ブラジルのCândido GodóiやナイジェリアのIgbo-Oraなどでも双子の高発生率が観測されており、Sribiju医師はブラジルやナイジェリアの医師とコンタクトをとるなど原因の解明に向けて活動を行っており[32]、遺伝学者などからなる調査団はさらに詳細な調査が行われる必要があるとしている[33]。
{{cite news}}
|accessdate=
|date=
この項目は、インドに関連した書きかけの項目です。この項目を加筆・訂正などしてくださる協力者を求めています(Portal:アジア / Portal:ヒンドゥー教 / プロジェクト:南アジア)。