カリプソ [ 5] [ 6] (Saturn XIV Calypso)は、土星 の第14衛星 である。テティス とほぼ同じ軌道を公転しており、テティスのラグランジュ点 に存在するトロヤ衛星 の一つである。
発見と命名
1980年 3月13日に Dan Pascu、P. Kenneth Seidelmann、William A. Baum、Douglas G. Currie による地上からの観測によって発見された[ 7] 。発見の報告は7月31日の国際天文学連合 のサーキュラーで公表され、S/1980 S 25 という仮符号 が与えられた[ 7] 。その後の観測でも複数回検出されており、その度に S/1980 S 29[ 8] 、S/1980 S 30[ 8] 、S/1980 S 32[ 9] 、S/1981 S 2[ 10] という仮符号が与えられている。これらが全て同一の天体であることが報告されたのは1981年 5月18日になってからである[ 10] 。その後1983年 9月30日にギリシア神話 に登場する海の女神カリプソ に因んで命名され、Saturn XIV という確定番号が与えられた[ 11] 。
トロヤ衛星
カリプソはテティス と同一軌道上にあり、テティスの後方にあるラグランジュ点 (L5 ) に存在している。このような衛星はトロヤ衛星 と呼ばれる。テレスト も同じくテティスのラグランジュ点に存在しており、こちらはテティスの前方のラグランジュ点 (L4 ) に位置している。なお、カリプソがテティスと同じ軌道にあり力学的に安定なラグランジュ点に存在することは、1981年に明らかにされた[ 12] 。この状態は軌道力学 の観点から言うと、テティスとカリプソが 1:1 の平均運動共鳴 を起こしていることを意味している[ 13] 。
物理的特徴
土星の他の小型の衛星や小惑星 と同様にカリプソは不規則な形状をしており、重なった大きなクレーター を持っている。また表面の物質は緩くしか結びついていないため容易に移動することができ、このためクレーターの形状を慣らして滑らかな表面に近づく。カリプソの表面は非常に反射率が高く、可視光での幾何アルベド は 1.34 になる[ 14] 。この非常に明るい表面は、エンケラドゥス の南極領域から噴出してE環 を形成している微小な氷の粒子が降り積もっていることが原因だと考えられている[ 15] 。
土星探査機カッシーニ の観測により、カリプソは氷に覆われていることが判明しており、表面には地すべり の跡の様な模様が確認されている。
出典
^ NASA (2017年12月5日). “In Depth | Calypso – Solar System Exploration: NASA Science ”. アメリカ航空宇宙局 . 2018年12月1日 閲覧。
^ a b c d e f g Jet Propulsion Laboratory (2013年8月23日). “Planetary Satellite Mean Orbital Parameters ”. Jet Propulsion Laboratory Solar System Dynamics . ジェット推進研究所 . 2018年12月1日 閲覧。
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^ a b Jet Propulsion Laboratory (2015年2月19日). “Planetary Satellite Physical Parameters ”. Jet Propulsion Laboratory Solar System Dynamics . ジェット推進研究所 . 2018年12月1日 閲覧。
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^ Mason, Betsy (2010年2月15日). “New Close-Ups of Saturn's Moons Mimas and Calypso ”. wired.com . Condé Nast Digital. 2011年12月23日 閲覧。
関連項目
外部リンク