『エピゴノイ』(ギリシア語: Epigoni, Epigonoi, 意味は「子孫」)とは、テーバイ圏という叙事詩サイクルに含まれる叙事詩。『テーバイド』の続編にあたるが、古代には『エピゴノイ』は独立した作品でなく、『テーバイド』の一部と考える学者もいた[1][2] 。
作者
ヘロドトスの『歴史』にはホメーロス作と書かれているが、その書き方は疑っているようである[3]。アリストパネースのスコリアでは、作者は「アンティマコス」とされている[4]。アンティマコスとは、おそらく、テオースのアンティマコス(Antimachus of Teos)を指しているようだが、それを理由に、テオースのアンティマコスのものとされる題名のない詩行を『エピゴノイ』の一部とするのは憶測の憶測である[5]。アンティマコスという人物は他に、後世の叙事詩人コロポーンのアンティマコス(Antimachus)がいるが、その名前から、自作の叙事詩『Thebais』にその筋を取り込んだことで、伝統的な『エピゴノイ』を剽窃したと非難されたということだ。
内容
ある文献によると、『エピゴノイ』は7000行の韻文だったらしい[6]。
内容は、テーバイ攻めの七将の子供ら、エピゴノイによるテーバイをめぐる最後の戦いを描いている。
最初の1行めだけが残っている。
- さあ、ムーサイよ、若者たちの歌を我らに始めさせよ……[7]
他の言及から、おそらく、プロクリスの死の神話[8]とテイレシアースの娘マントーの話[9]が『エピゴノイ』の一部を形作っていたものと示唆される。
『エピゴノイ』で語られた物語は後に、ソポクレースの悲劇『エピゴノイ(Epigonoi)』で語られている。
脚注
- ^ パウサニアス、9.9.5
- ^ Scholia on Apollonius of Rhodes 1.308.
- ^ ヘロドトス『歴史』iv.32
- ^ Scholia on Aristophanes, Peace 1270.
- ^ Fragment 2 West; アレクサンドリアのクレメンス『ストロマテス』6.12.7.
- ^ Contest of Homer and Hesiod 15
- ^ Fragment 1 West; Scholia on Aristophanes, Peace 1270; Contest of Homer and Hesiod 15.
- ^ Fragment 3* West; Suda and other lexica s.v. Teumesia.
- ^ Fragment 4 West; Scholia on Apollonius of Rhodes 1.308.
参考文献
- Greek epic fragments ed. and tr. Martin L. West. Cambridge, Mass.: Harvard University Press, 2003.