イースター航空(Eastar Jet)は、韓国の格安航空会社である。U-FLY Allianceの一員[1]。
概説
2007年10月、設立。
2008年8月、不定期航空運送事業免許を取得した[2]。
2009年1月7日、金浦 - 済州間の国内線を運航開始[3]。
2009年10月、国際線運送事業免許取得により、ソウル - コタキナバルを結ぶ初の国際線に就航。
2015年、韓国LCC(格安航空会社)史上初、金大中夫妻の訪北時の運航会社に選定され、南北間の特別チャーター便(ソウル-平壌間)を運航した。
2015年2月、グランドハンドリングを目的とするEASTAR PORTを設立。
2016年、累積利用客数2,000万人を超えた。
2017年には、国際航空運送協会(IATA) に加入し、現在、国際航空運送協会が公認する国際運航安全監査プログラム(IOSA)認証を取得している。
2018年、2015年の軍事境界線北側への運航に続き、3回目となる南北間の特別チャーター便(ソウル - 平壌間)を運航した。
2018年8月、タイにThai Eastar Jet法人を設立。韓国からタイへ、更にタイからヨーロッパなど中長距離を結ぶ路線を計画している。[4]
2018年12月、韓国の航空会社として初となるボーイング社の最新型 B737-MAX 8を導入した。[5]
2019年、顕在化したボーイング737 MAXにおける飛行トラブルにより前年に導入した2機の機体が使用不能となる[6]。
日韓関係の冷却化と経営危機
2019年、日本と韓国の関係が冷却化したことに伴い、韓国の航空各社は日本乗り入れ便を次々と運休させたが、イースター航空は2018年実績で国際線の46%が日本行きであったため経営面に大きな打撃を受けることとなった。 イースター航空の社内向けウェブサイトには、一時、国内外の状況が原因で数百億ウォンの損失を抱え創業以来「最大の危機」にあるとする最高経営責任者のコメントが掲載(掲載直後に削除)されたほか、経営陣は客室乗務員らに対して今年後半に最長4週間の無給休暇を取得するよう要請した[7]。
その後、大株主のイースターホールディングスが売却に向け交渉していることが明らかになり[6]、2019年12月18日、ライバルのチェジュ航空が同社を買収することが発表された[8][9]。しかし、その後も新型コロナウィルスの流行など悪材料が続き、2月の給与が40%しか支払われないなど苦境に陥っており、LCC他社と共同で政府に緊急金融援助を要請した[10]。2020年3月2日、チェジュ航空との間で545億ウォンで株式売買契約書(SPA)を締結した[11]。3月9日、日本政府の入国制限措置により日本路線が全路線運休し、国際線の運航が中断。さらに、3月24日からは国内線の運航も中断し、韓国の航空会社では初めて全路線が運休する事態になった[12]。チェジュ航空との合併条件をめぐる対立から、予定されていた買収契約は延期されており、3月からはリース費用未納で保有機のうち5機がリース会社に返却されている[13]。
7月23日、チェジュ航空は買収条件として求めていた、従業員への未払い賃金の支払いなど懸案事項が解消されなかったとして、イースター航空の買収を取りやめると発表した[14]。
8月28日、再度M&Aを推進するために、全社員の6割に当たる700人規模の人員削減を実施することが発表され、この日より早期退職者を募集することになった[15]。9月6日、航空機6機の運航に必要な人員数約590名を除き、605名へ10月14日付で整理解雇を通知した[16]。
2021年1月、会社更生手続きを申請した[17]。
2021年6月24日、不動産大手のソンジョンが買収することが発表された[18]。
運航再開
2023年、全株式を私募ファンドのVIGパートナーズへ売却。
3月7日、国土交通部はイースター航空へ航空運送事業許可(AOC)を再発給した。これにより、運航再開への道が開かれ、3月26日より金浦 - 済州線に3年ぶりに運航を再開する。9月より金浦 - 台北松山線を皮切りに、国際線も再開した。
創業者
創業者の李相稷は新政治民主連合、共に民主党系列のリベラル政党の党員で、文在寅に近い人物である。2012年の第19代総選挙と2020年の第21代総選挙で2回国会議員に当選した[19][20]。2022年1月12日、全州地裁は、イースター航空株を娘が代表を務める親会社のイースターホールディングスに相場より安い価格で売却したなどとして李に業務上横領・背任などの罪で懲役6年の実刑を言い渡し[21]、後に判決が確定した[22]。
定期便就航地
[23]
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ハブ
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焦点都市
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就航予定地
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チャーター/不定期便
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キャンセル路線
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就航地
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空港名
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備考
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運航回数(毎週)
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韓国
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仁川国際空港
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メインハブ
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韓国
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金浦国際空港
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第2ハブ
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韓国
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金海国際空港
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韓国
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原州空港
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不定期便, 金浦空港 発
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韓国
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済州国際空港
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焦点都市
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韓国
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清州国際空港
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焦点都市
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韓国
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群山空港
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北朝鮮
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平壌国際空港
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特別チャーター便
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一時的運航, 仁川国際空港 発
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中国
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上海浦東国際空港
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週7回 運航, 清州国際空港 発
週7回 運航, 仁川国際空港 予定
週7回 運航, 済州国際空港 予定
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中国
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寧波櫟社国際空港
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週3回 運航, 清州国際空港 発
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中国
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大連周水子国際空港
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週2回 運航, 清州国際空港 発
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中国
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瀋陽桃仙国際空港
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週2回 運航, 清州国際空港 発
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中国
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延吉朝陽川空港
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週3回 運航, 清州国際空港 発
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中国
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済南遥墻国際空港
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週3回 運航, 仁川国際空港 発
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中国
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泉州晋江国際空港
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週3回 運航, 済州国際空港 発
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中国
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ハルビン太平国際空港
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週2回 運航, 清州国際空港 発
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日本
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成田国際空港
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日3回 運航, 仁川国際空港 発
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日本
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関西国際空港
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日3回 運航, 仁川国際空港 発
週7回 運航, 金海国際空港 発
(9月から運休予定[24]。)
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日本
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新千歳空港
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週7回 運航, 仁川国際空港 発
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日本
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徳島空港
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週3回 運航, 仁川国際空港 発
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日本
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熊本空港
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週7回 運航, 金海国際空港 発
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日本
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那覇空港
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共同運航
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日3回 運航, 仁川国際空港 発
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日本
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福岡空港
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日2回 運航, 仁川国際空港 発
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台湾
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台湾桃園国際空港
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週4回 運航, 仁川国際空港 発
週2回 運航, 清州国際空港 発
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台湾
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台北松山空港
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共同運航
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週7回 運航, 金浦国際空港 発
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香港
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香港国際空港
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週7回 運航, 仁川国際空港 発
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モンゴル
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ボヤント・オハー国際空港
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日1回 運航, 清州国際空港 発
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マレーシア
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コタキナバル国際空港
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日2回 運航, 仁川国際空港 発
週1回 運航, 金海国際空港 発
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ベトナム
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ノイバイ国際空港
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週7回 運航, 仁川国際空港 発
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ベトナム
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ダナン国際空港
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日2回 運航, 仁川国際空港 発
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ベトナム
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フーコック国際空港
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週7回 運航, 仁川国際空港 発
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ベトナム
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カムラン国際空港
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週7回 運航, 仁川国際空港 発
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カンボジア
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シェムリアップ国際空港
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週5回 運航, 仁川国際空港 発
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タイ
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スワンナプーム国際空港
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日2回 運航, 仁川国際空港 発
週7回 運航, 金海国際空港 発
週7回 運航, 済州国際空港 発
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タイ
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プーケット国際空港
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週7回 運航, 仁川国際空港 発
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フィリピン
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プエルト・プリンセサ国際空港
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季節限定便
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週7回 運航, 仁川国際空港 発
(2018年10月28日 - 2019年3月30日)[25]
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ロシア
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ウラジオストク国際空港
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週3回 運航, 仁川国際空港 発
週4回 運航, 金海国際空港 発
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シンガポール
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シンガポール・チャンギ国際空港
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週3回 運航, 金海国際空港 予定
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北マリアナ諸島
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サイパン国際空港
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週7回 運航, 仁川国際空港 発
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2019年8月現在
機内サービス
機内では、水、またはオレンジジュースが提供される。他に、軽食等の有料販売がある。また、国際線において機内免税品販売を実施している。
機材
2023年12月現在[26][27]
脚注
外部リンク
ウィキメディア・コモンズには、
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