『ぼくのそばにおいでよ』(COME TO MY BEDSIDE)は、1969年12月1日に発売された加藤和彦の1枚目のソロ・アルバム。
解説
1968年10月 (1968-10)にザ・フォーク・クルセダーズを解散した加藤はサンフランシスコに渡り、当時全盛だったヒッピー・カルチャーに触れたのち帰国。松山猛とアルバム制作にとりかかり、ニッポン放送の守屋嘉一と伊豫部富治の助力を得てレコーディングした。これは当初『児雷也』というタイトルの2枚組アルバムとして発表する予定だったが[1]、東芝は2枚組での発売に難色を示し、タイトルと収録曲が変更され1枚でリリースされた。加藤はレコード会社の圧力によってアルバムの内容が変更された経緯を記した『児雷也顛末記』と題する抗議文をアルバム・カバーに記載した。本作にはカントリーやアメリカン・フォーク、ディキシーランド・ジャズ、ラテン音楽、日本の童謡など、さまざまな音楽的要素が含まれており、後年、加藤は「あれはちょうど、例のヒッピーの世界から帰ってきた後だから、カルチャー・ショックと日本の自分がいままでやってる音楽と、カオス状態の時にできたやつだから、なんか不可解なもんですよ」[1]と語っている。
アートワーク
オリジナル・アナログ盤はゲートフォールド (見開き) 仕様でポスターが付いていた。後年のCDリイシューではトータル・デザインに組み込まれ、紙ジャケットCDではジャケットが通常の1枚仕様になっている。なお、初発売時のレコード帯には、以下のキャッチコピーが記載されていた。
加藤和彦・第一弾LP !
収録曲
アナログ・レコードでは#1から#7までがA面に、#8から#13までがB面に収録されている。
曲名と時間表記は初出アナログ・レコードに基づく。
- ぼくのそばにおいでよ (COME TO MY BEDSIDE) - (3:58)
- 訳詞:日高仁、作詞/作曲:エリック・アンダーソン、編曲:加藤和彦と彼のグループ
- アメリカのシンガー・ソングライター、エリック・アンダーソンの楽曲の日本語によるカバー。加藤のソロ名義による3枚目のシングルとして#9とのカップリングでリリースされた。
- 日本の幸福I (THIS IS MY LAND I) - (3:06)
- 日本の幸福II (THIS IS MY LAND II) - (3:14)
- 日本の幸福III (THIS IS MY LAND III) - (1:43)
- 作詞:佐藤信、作曲:加藤和彦、編曲:青木望 (#2) / 加藤和彦と彼のグループ (#3 & #4)
- メドレー形式による三部構成の組曲。これは佐藤信が主宰していた劇団黒テントの劇中歌で、佐藤が脚本を担当し、1968年11月24日にNTVで放映された同名の単発テレビドラマの主題歌にも使われている。
- だいせんじがけだらなよさ (DAISENJIGAKEDARANAYOSA) - (2:19)
- 作詞:寺山修司、作曲:田中未知、編曲:加藤和彦と彼のグループ
- この楽曲の詞は寺山が天上桟敷の舞台「ある家族の血の起源」のために書いた台詞[2]の一部である。カルメン・マキがカバーしている[3]。
- タヌキ (TANUKI) - (3:05)
- 作詞:松山猛、作曲:トラディッショナル、編曲:クニ河内
- 俗謡に松山があらたな歌詞をつけたもの。
- 9月はほうき星の流れる時 (SEPTEMBER IS A LONELY WORD) - (10:18)
- 作詞:松山猛、作曲:加藤和彦、編曲:クニ河内
- ネズミ・チュウ・チュウ、ネコ・ニャン・ニャン (CHU CHU AND NIYAN NIYAN) - (4:00)
- 作詞:松山猛、作曲:加藤和彦、編曲:ありたあきら
- アーサーのブティック (ARTHER'S BOUTIQUE) - (5:37)
- 作詞:松山猛、作曲:加藤和彦、編曲:クニ河内
- この楽曲には編曲者の意向で三味線が使われている[4]。
- ひるねのミカ (DREAMIN' MIKA) - (5:09)
- 作曲/編曲:加藤和彦
- 加藤のアコースティック・ギターによるインストゥルメンタル。小倉エージはこの曲のトム・ラッシュからの影響を指摘している[5]。なお、加藤によると、この響きはマーチンD-45特有のものであるという[4]。
- ゼニフェッショナル・ブルース (ZENIFESSIONAL BLUES) - (4:48)
- 作詞:松山猛、作曲:加藤和彦、編曲:加藤和彦と彼のグループ
- 13番街のおもちゃ屋 (SLAUGHTER ON 13TH STREET TOY SHOP) - (4:46)
- 作詞:松山猛、作曲:加藤和彦、編曲:青木望
- この楽曲は、五つの赤い風船が第2回全日本フォークジャンボリー出演時にカバーしている。
- 僕のおもちゃ箱 (MY TOY BOX) - (3:25)
- 作詞:北山修、作曲:加藤和彦、編曲:ありたあきら
- 加藤のファースト・ソロ・シングル曲。レコード会社の意向でアルバムに加えられた[1]。
ボーナス・トラック
2017年6月28日にユニバーサルミュージックジャパンから発売されたリイシュー盤『ぼくのそばにおいでよ+2』 (UICY-7306)には以下のボーナス・トラックが2曲追加されている。
時間表記は前記CDに基づく。
- ネズミ・チュウ・チュウ・ネコ・ニャン・ニャン(シングル・ヴァージョン) - (3:17)
- 作詞:松山猛、作曲:加藤和彦、編曲:ありたあきら
- 加藤のソロ2枚目となるシングル曲。#8のエディット・ヴァージョンで、ミキシングも異なっている。
- チッチとサリー - (2:59)
- 作詞:秋野由美子、補作詞:みつはしちかこ、作曲:加藤和彦、編曲:加藤和彦とそのグループ
- 翁玖美子とのユニット ”チッチとサリー” 名義によるシングル曲。
参加ミュージシャン
本作にはクレジット記載がないが、加藤の記憶[1]や朝妻一郎の記録[6]によると、以下のミュージシャンが参加しているという。
発売履歴
形態 |
発売日 |
レーベル |
品番 |
アートワーク |
解説 |
リマスタリング |
初出/再発 |
備考
|
LP |
1969年12月01日 |
EXPRESS |
EP-7729 |
? |
|
なし |
初出 |
A式ジャケット 初回盤はレッドビニール仕様
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LP |
1972年03月05日 |
EXPRESS |
ETP-8165 |
? |
|
なし |
再発 |
A式ジャケット
|
LP |
1978年 |
DIW |
TL-1018 |
? |
|
なし |
再発 |
A式ジャケット
|
CD |
1991年03月20日 |
EASTWORLD |
TOCT-6035 |
? |
篠原章/藤脇邦夫 |
記載なし |
初出 |
|
CD |
1999年02月25日 |
Pヴァイン |
PCD-1473 |
? |
田口史人/湯浅学 |
記載なし |
再発 |
【“ニューロックの夜明け”番外編7】
|
CD |
2008年10月22日 |
EXPRESS |
TOCT-26698 |
? |
なし |
記載なし |
再発 |
紙ジャケット
|
CD |
2011年10月26日 |
EXPRESS |
TOCT-11402 |
? |
湯浅学 |
渡辺昭人 |
再発 |
【EMI ROCKS “The First”】 紙ジャケット
|
CD |
2017年06月28日 |
EXPRESS |
UPCY-7306 |
? |
小松喜冶 |
記載なし |
再発 |
【名盤発見伝 ジャパニーズ・グラフィティー】 ボーナス・トラック2曲
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参考文献
脚注
出典
- ^ a b c d 『エゴ~加藤和彦、加藤和彦を語る』
- ^ 『寺山修司研究III』
- ^ アルバム 『カルメン・マキ真夜中詩集〜ろうそくの消えるまで〜』(1969年)
- ^ a b 『加藤和彦 あの素晴しい音をもう一度』p.68-69
- ^ 『ミュージック・マガジン』2009年12月号 p.32
- ^ シングル「ぼくのそばにおいでよ」(1969年10月、東芝音楽工業 EP-1184)カバー裏面の解説文より
外部リンク
UNIVERSAL MUSIC JAPAN
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