日本国語大辞典 (にほんこくごだいじてん)は、小学館 が発行する日本 最大で唯一の大型国語辞典 である[ 注 1] 。初版は日本大辞典刊行会編。
発刊
上田万年 ・松井簡治 による『大日本国語辞典 』を引き継ぐ事業 という性格をもつ。松井簡治の子松井驥 、その子松井栄一 三代の蓄積していたカード資料に注目した小学館が、1960年 (昭和 35年)に出版 を持ちかける。1964年 (昭和39年)に、国語学者 ・金田一京助 や、広辞苑 の著者・新村出 、大漢和辞典 で知られる諸橋轍次 を始め、佐伯梅友 ・時枝誠記 ・西尾実 ・久松潜一 ・山岸徳平 という日本 の国語学界を代表する学者 を編集顧問に迎えて編集委員会が発足し、200名以上の執筆者を動員して本格的に編纂作業を開始する[ 2] 。
1972年 (昭和47年)から1976年 (昭和51年)の5年間にわたって刊行され、全20巻、45万項目、75万用例という大部の辞典 となった。また別冊には主要出典一覧、方言資料などが収められる。活版印刷 には図書印刷 があたった。完結した1976年 (昭和51年)に第30回毎日出版文化賞 の特別賞を受賞。
新訂版
1979年 (昭和54年)には、判型をA4変型からB5変型へ縮小した縮刷版 (全10巻)を刊行。1981年 (昭和56年)には1冊版の『小学館国語大辞典』も刊行され、他にも『故事俗信ことわざ大辞典』(1982年 (昭和57年))が『日本国語大辞典』の情報をもととして刊行された。また『小学館国語大辞典』のデータは、刊行後にコンピュータ入力され、これをもとに『現代国語例解辞典』(1985年 (昭和60年))、『言泉』(1986年 (昭和61年))など小・中辞典が多数編纂された。
1987年 (昭和62年)より図書印刷の光学式文字読取装置 (OCR)によって初版のデータが読み込まれ、これに初版刊行後に小学館の刊行したさまざまな分野の辞典の成果も取り入れ、大幅な訂正・加筆を加えた第二版の刊行が企図される。編集委員会は1990年 (平成 2年)に発足し、初版でも編集委員を務めている松井栄一 と林大 を始め、北原保雄 ・久保田淳 ・谷脇理史 ・徳川宗賢 ・前田富祺 ・渡辺実 が編集にあたった。
第二版は、初版完結から24年の歳月を経て2000年 (平成12年)から2002年 (平成14年)にかけて刊行。B5変型、全14巻(本編13巻・別巻1)、50万項目、100万用例を収録し、別巻には漢字索引、方言索引、出典一覧を収録する。初版では批判があった用例に年代が付されていない点を第二版では大幅に改善した。また『日本方言大辞典 』(全3巻、1989年 (平成元年))をもとに、方言 の語彙 を増補している点も特色としてあげられている[ 3] 。
2005年 (平成17年)12月 より、全3巻の精選版(30万項目、30万用例)が刊行された。
電子化の可能性は第二版のあとがき にも記されていたが、2006年 (平成18年)11月14日 に小学館とネットアドバンス よりオンライン版の公開が発表され[ 4] 、2007年(平成19年)7月 よりサービス が開始された。サービス名は「日国オンライン」で、ネットアドバンスが運営する総合オンライン辞書・辞典サイト「JapanKnowledge 」のコンテンツの1つとして提供される。第二版の内容を網羅し、見出しだけでなく、全文、用例、方言、出典情報などについて、前方一致・後方一致などの条件で検索が可能となった。また、2007年(平成19年)8月 には『精選版』全3冊の内容を図版含めフル収録した電子辞書 がカシオ計算機 より発売された他、現在[いつ? ] はSII(セイコーインスツル )からも発売されている。2016年 (平成28年)にはジャストシステム より、かな漢字変換ソフトウェアATOK に「精選版日本国語大辞典 for ATOK」を同梱した版が発売された。2017年 (平成29年)には物書堂 によりiOS 版(精選版)が発売されている。
第三版
2024年(令和 6年)7月25日、小学館は本辞典の改訂に着手すると発表した。「第三版」のデジタル版の完成を2032年、書籍版の発売を2034年からと予定している[ 5] 。
書誌情報
初版
日本大辞典刊行会編『日本国語大辞典』小学館、20巻21冊、1972年 (昭和47年)12月 - 1976年 (昭和51年)3月
ISBN 4095220015
ISBN 4095220023
ISBN 4095220031
ISBN 409522004X
ISBN 4095220058
ISBN 4095220066
ISBN 4095220074
ISBN 4095220082
ISBN 4095220090
ISBN 4095220104
ISBN 4095220112
ISBN 4095220120
ISBN 4095220139
ISBN 4095220147
ISBN 4095220155
ISBN 4095220163
ISBN 4095220171
ISBN 409522018X
ISBN 4095220198
ISBN 4095220201
縮刷版
日本大辞典刊行会編『日本国語大辞典』縮刷版、小学館、全10巻、1979年 (昭和54年)10月 - 1981年 (昭和56年)4月
ISBN 4095200014
ISBN 4095200022
ISBN 4095200030
ISBN 4095200049
ISBN 4095200057
ISBN 4095200065
ISBN 4095200073
ISBN 4095200081
ISBN 409520009X
ISBN 4095200103
第二版
日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典』第二版、小学館、全13巻 + 別巻、2000年 (平成12年)12月 - 2002年 (平成14年)12月、(販売価格、単冊15,750円、14巻セット220,500円)
ISBN 409521001X
ISBN 4095210028
ISBN 4095210036
ISBN 4095210044
ISBN 4095210052
ISBN 4095210060
ISBN 4095210079
ISBN 4095210087
ISBN 4095210095
ISBN 4095210109
ISBN 4095210117
ISBN 4095210125
ISBN 4095210133
別巻 ISBN 4095210141
精選版
小学館国語辞典編集部編集『日本国語大辞典』精選版、小学館、全3巻、2006年 (平成18年)
ISBN 4095210214
ISBN 4095210222
ISBN 4095210230
オンライン版
個人 向け月額 1575円、法人向け月額1万5750円
電子辞書
いずれも精選版
脚注
注釈
^ 『広辞苑 』を大型辞書とする勘違いがみられるが、『日本国語大辞典』第2版のみが国語辞書で唯一の大型辞書である[ 1] 。
出典
参考文献
関連文献
単行本
雑誌等掲載文献
大野晋 「小学館発行「日本国語大辞典」:この人間臭いものの内側」『朝日ジャーナル 』15(7)、1973年(昭和48年)
久保忠夫「35のことばに関する7つの章:「日本国語大辞典」の完結を機に」『季刊芸術』10(4)、1976年(昭和51年)
松井栄一「『近代国語辞書の歩み―余説第二章』について」『国語学』128、1982年(昭和57年)
中村彰彦「歴史の交差点(336)『日本国語大辞典』解説文への疑問」『週刊ダイヤモンド 』88(44)、2000年(平成12年)
松井栄一「「最大の国語辞典」の完成」『本の窓』24(11)、2001年(平成13年)
武藤康史 「五十万語のドラマ:「日本国語大辞典」第二版と松井栄一」『文學界 』56(3)、2002年(平成14年)
今野真二「『日本国語大辞典』全巻読破のひとり旅(第1回)」『Kotoba』23、2016年(平成28年)
今野真二「『日本国語大辞典』全巻読破のひとり旅(第2回)」『Kotoba』24、2016年(平成28年)
今野真二「『日本国語大辞典』全巻読破のひとり旅(最終回)」『Kotoba』25、2016年(平成28年)
関連項目
外部リンク
大型国語辞典 中型国語辞典 小型国語辞典 中学生向け 言海から明解まで