「アジアや日本で伝統的に用いられている“笠 ”[ 1] 」とは異なります。
傘帽子 (かさぼうし、英語:Umbrella hat[ 注釈 1] )は帽子 のように被ることができる傘 [ 2] [ 3] [ 注釈 2] 。ヘッドマウント傘 やかぶる傘 、アンブレラハット [ 11] などの呼び名もある。釣り やゴルフ [ 12] 、ガーデニング [ 13] などレジャー 用途にも用いられ、レジャーハット やフィッシング用帽子 とも呼ばれる。1880年 に特許が出願され、1970年代にはルー・ブロック も改良版を開発した[ 15] 。セントルイス ではブロックにちなんでブロッカブレラ (Brockabrella)として親しまれた[ 17] [ 18] [ 19] 。
普通の傘のような支柱はなく[ 11] 、大きさは直径約60cm程度[ 20] から約80cm[ 11] のものがある。風通しのために通風孔を設けたり、二段構造にしたタイプも製造されている。頭のベルトで装着するが、首かけが付いたタイプもある。通常の傘と違って両手がふさがらないため、農作業 をしたり自転車 に乗ったりすることもできるが[ 11] 、歩行時には骨の先端が他人の目を突きかねないというリスク が指摘されている。
歴史
19世紀末 - 20世紀初頭
1881年12月13日、傘帽子はアメリカ合衆国 の特許第250803号「Sunshaid Hat」(日傘帽子、日除け帽子)として特許 取得された。
1900年前後にロバート・W・パッテン (英語版 ) は自身が製作した傘帽子を装着し、「アンブレラマン」として有名になる。パッテンはジョン・ハーガー (英語版 ) によって風刺画に用いられ、『シアトル・タイムズ 』などに登場した。
20世紀中期 - 後半
ルー・ブロック 。米国野球殿堂 入りしたメジャーリーガー であり、引退後は様々な事業を展開した[ 17] 。ブロック自らもブロッカブレラを着用した写真が残っている[ 22] 。
カナダ のCarl C Riordonは支柱がパイプになっている3段スライド式の傘帽子を考案。素早く伸縮できることをねらったもので、1941年にアメリカで特許成立。日本では高橋米作が支柱がないタイプの傘帽子を考案し、1965年に日本の実用新案 として出願。支柱に沿ってスライドする部分が支柱の付け根となる部分に差し込まれる形になっており、1968年に実用新案が成立した[ 注釈 3] 。
一方アメリカ ではアメリカ野球殿堂 入りもしている元メジャーリーガー のルー・ブロック も傘帽子の改良版を発明[ 15] 。これは支柱がないことに加え、骨の部分が折り畳み傘のように骨が2つに折れるタイプで、よりコンパクトに収納ができた。1977年に出願され、1982年に特許が成立している。ブロックにちなんで、「ブロッカブレラ」としてセントルイス で広まった[ 17] [ 18] [ 19] 。
20世紀末 - 21世紀
1988年 にはアメリカで帽子のような形状をした傘帽子が特許成立し[ 24] 、2013年には日本でヘルメット に小型の傘を吸着させる傘帽子も考案された[ 25] 。また、帽子から風を出してエアーカーテンのように雨を防ぐというアイデアが考案され、2009年に「風傘帽子」として日本で特許出願されている[ 26] 。
傘帽子は釣り やゴルフ といったレジャー 用途を中心に、インターネット 上で1000円から1500円程度の価格で販売が進んだ[ 3] [ 12] 。蒸れないように傘の上部に開口部を設け、その上に小型の傘を設けた2段階式の傘帽子も製作されており、遅くとも2016年には市販されている[ 3] 。さらに2018年にはイタリア のブランド 「フェンディ 」が、自社のロゴをデザインした傘帽子を発売している[ 27] 。
2020年東京オリンピック は開催時期の都合で猛暑が予想され、熱中症 対策が懸念されていた[ 29] [ 注釈 4] 。日傘の有効性が指摘される中、2019年5月24日 の記者会見で小池百合子 東京都知事 が東京オリンピックでの猛暑対策として傘帽子の試作品を発表した[ 31] 。これには熱 や光 を遮る素材を用いられており[ 31] [ 32] 、東京ブランド「Tokyo Tokyo」として制作されたという[ 33] 。同年7月26日 のビーチバレー のテスト大会ではボランティア が[ 20] [ 32] 、8月17日 のホッケー のテスト大会では東京都 の職員が試着し、検証が行われた。
脚注
注釈
^ 日本の伝統的な「笠」はumbrella hatとは言わず、Kasaと呼ばれる[ 1] 。
^ 帽子のつばの部分が傘のように広く、かつ折り畳めるものも、「傘帽子」[ 4] [ 5] と呼ばれている。また、本項目で取り扱う傘帽子を「折畳式日除け用笠」や「傘状笠帽子」[ 7] と呼んだ例がある。
^ 中華民国 籍の宋明雄も同様の実用新案を1974年に日本で出願した[ 2] が、高橋の前例などがあったことから拒絶査定を受けている(特許情報プラットフォーム の「実全昭50-112327」における「経過情報」に基づく。2019年10月12日閲覧。)。
^ 2015年に発表された早稲田大学 の田辺新一 らの解析と実験では、気温30℃の場合に日傘 を用いると体感気温 が2℃低下するとされている[ 30] 。また、2019年にNHK がクローズアップ現代+ という番組で、レインコート を着用した際の体調の変化を観察。協力した医師 から汗 が蒸発しないため更なる発汗を招き、脱水症状 になる危険が指摘されている[ 29] 。
出典
参考文献
(特許・実用新案文献)
(ニュースサイトなど)
外部リンク
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