ヴォストック島 (Vostok Island )は、中部太平洋 に存在するキリバス 領の無人島 (環礁 )。南部ライン諸島 に属する。ステイヴァー島 (Staver Island )という名前でも知られる他にも別名の多い島で、Vostok と綴りの異なるBostock Island 、Wostock Island 、Wostok Island の他、アン島 (Anne Island )、レヴィッツ島 (Leavitts Island )、リーパー島 (Reaper Island )などと呼ばれることもある。
地理と植物相、動物相
ヴォストック島は南緯10度6分 西経152度23分 / 南緯10.100度 西経152.383度 / -10.100; -152.383 に位置し、面積は24ヘクタール (59エーカー)である。最も近い島はライン諸島 最南端の島、フリント島 でヴォストック島の南南東 158キロメートル (98マイル)の位置にある。カロリン島(ミレニアム島) は、東230キロメートル (140マイル)の位置にある。また、マルデン島 は北北西709キロメートル (441マイル)の位置にある。
ヴォストック島は、サンゴ 殻に由来する幅25 and 30メートル (82 and 98フィート)の砂浜に囲まれている。島内には環礁 によく見られる礁湖 は存在せず、淡水 も存在しない。加えて淡水レンズ の存在も確認されていない。ヴォストック島の大部分は厚さ1mほどの湿った泥炭層 に根付くピソニア属 (英語版 ) の純群落である。これらの木々は最大で高さ30メートル (98フィート)に及ぶが、非常に高密度で自生しているため、これらの下には他の植物は生育することが出来ないほどである[ 1] 。ピソニア属以外には、草本 のBoerhavia repens とSesuvium portulacastrum が生えている程度である。
ライン諸島の他の島々と同様に、1922年 にはココヤシ の苗木が移植されたが失敗に終わっている。その一方で、ココヤシが移植された近隣の島、フリント島 やカロリン島 では、ココヤシの自生に成功している[ 1] 。
注目すべき動物相としては、アカアシカツオドリ (Sula sula )、オオグンカンドリ (Fregata minor )、コグンカンドリ (Fregata ariel )、ヒメクロアジサシ (Anous minutus )、シロアジサシ (Gygis alba )、アオツラカツオドリ (Sula dactylatra )、カツオドリ (Sula leucogaster )、クロアジサシ (Anous stolidus )といった海鳥 が挙げられる。知られている陸生の動物相は、ナンヨウネズミ 、青色の尾をもつトカゲ 、ヤシガニ 、アオウミガメ に尽きる。
歴史
ヴォストック島は、1820年 にロシア人 探検家 のファビアン・ゴットリープ・フォン・ベリングスハウゼン によって発見され、ベリングスハウゼンの乗っていた船の名前、ヴォストーク (ロシア語 : Восток 、ロシア語ラテン翻字 : Vostok )[ 注釈 1] にちなんで名づけられた[ 2] 。1856年 に成立したグアノ島法 においてアメリカ合衆国が領有を主張したが、実際にグアノの採掘がおこなわれることはなかった[ 1] 。ヴォストック島に過去人が居住していたことがあるかについてははっきりしていないが、ナンヨウネズミ が生息していることから、はるか昔にポリネシア人 が島を訪れたことがあると考えられる。
ヴォストック島は結局、イギリス 領のギルバートおよびエリス諸島 に組み込まれ、1979年 にキリバス が独立すると、周辺のライン諸島 の島々と同様にキリバス領となった。アメリカ合衆国による領有の主張もキリバスの独立前まで行われていたが、キリバス独立後に結ばれたタラワ条約 において、キリバスによる領有を公式に認め、領有権の主張を取り下げている[ 3] 。
ヴォストック島は現在、ヴォストック島自然保護区 (Vostok Island Wildlife Sanctuary )に指定されている[ 4] [ 5] 。また、2014年 にキリバス政府は、南部ライン諸島の島(カロリン島(ミレニアム島) 、フリント島 、ヴォストック島 、マルデン島 、スターバック島 )各々の周辺に12海里 の禁漁区を設定した[ 6] 。
孤立しているため、時折訪れる科学者 やヨット乗りを除いて、人が訪れることはほとんど無い[ 6] 。クルーズ客船 のオーシャン・プリンセスの乗客は、フランス領ポリネシア からハワイ への航路の途中でヴォストック島を見ることが出来る。上陸は難しいと言われており、船を接岸できる場所も停泊できる場所も存在しない。
ギャラリー
ヴォストック島の風に切り取られたピソニア属の木々
ヴォストック島を覆うピソニア属の木々の原生林
ヴォストック島の西海岸
注釈
脚注
外部リンク