『ルパン三世 愛のダ・カーポ〜FUJIKO'S Unlucky Days〜』(ルパンさんせい あいのダ・カーポ〜フジコズ アンラッキー デイズ〜)は、モンキー・パンチ原作のアニメ『ルパン三世』のTVスペシャルシリーズ第11作。1999年7月30日に日本テレビ系の『金曜特別ロードショー』で放送された。視聴率は20.0%[1]。
不二子の記憶と共に消えたコロンブスファイルをめぐって、ルパン一味が活躍する。
この作品で監督を担当したワタナベシンイチは、よく自分や自分をモチーフとしたキャラクターを作品のどこかに出演させるというエピソードがあるが、本作も例外ではなく、ルパンのライバルとして登場する「ナザロフ」は彼をモデルにしたキャラクターである。
なお、本作ではテロップや後日発売のサウンドトラックにおいてテーマソングに『THEME FROM LUPIN '97』が使用されたと表示されているが、実際には1995年放送のTVスペシャル『ルパン三世 ハリマオの財宝を追え!!』以来4年ぶりに'89バージョンが使用された。
TVスペシャルのオープニングにルパンと不二子2人だけの登場は稀である。また劇場映画第3作『ルパン三世 バビロンの黄金伝説』以来14年ぶりに、ルパンが不二子に変装する珍しいシーンがある。
不二子の依頼でスイス銀行を建物ごと盗み出したルパンだったが、彼女の真の狙いは、その収蔵品の1つである書類「コロンブス・ファイル」であった。それは1492年、クリストファー・コロンブスがアメリカ大陸を発見した際に偶然入手したという謎多き伝説のお宝「コロンブスの卵」の隠し場所を示しているという。直後に、下品な高笑いが特徴のナザロフ率いる謎の集団に現れ、彼らもまたファイルを狙っていた。不二子は投降する振りをして陽動のため、すでに内容を記憶してしまったファイルを焼き払って逃げようとするが、戦闘ヘリからの攻撃でルパンと共に断崖から落とされる。手を伸ばして不二子を助けようとするルパンであったが、その努力の甲斐もなく、彼女は崖下に転落して行方不明となる。
地中海で活動している若き美人トレジャー・ハンターのロザリアは、顔馴染みの故買屋の古美術商から「コロンブスの卵」について教えられる。その夜、ロザリアは自宅に侵入していた何かに怯える女性を保護する。その女性こそ不二子であったが、記憶を失っており、性格もか弱くなっていた。不二子につけた発信機で彼女の居場所を把握したルパンも、次元や五ェ門を連れてロザリア宅に向かうが、再び多数の手勢を率いたナザロフも現れる。不二子が記憶喪失になったと知って困惑するルパンとナザロフの一方、彼女が「コロンブスの卵」を見つける鍵と知ってロザリアもまた彼女の争奪戦に介入する。銭形の急襲の隙を突いて、彼女の身柄を抑えて海を水上艦艇で逃げたナザロフを、ルパン一味とロザリアがそれぞれ追い、道中では唐突な水上竜巻に襲われつつも、ルパンとロザリアは協力して彼女を奪還することに成功する。
一行は、ロザリアに案内され古美術商のアジトに匿われる。そこでルパンは不二子の記憶を回復させようと試みるが、うまくいかない。間もなく、どうやって嗅ぎつけたのか、ナザロフの下品な笑い声が響き渡り、再びルパンたちは戦闘部隊の襲撃を受ける。抵抗するものの、結局、不二子を奪われてしまい、彼女を助け出すためにルパンとロザリアは正式に手を組むことを決める。
不二子が連れて行かれたのは某国の国立科学研究所であった。ナザロフの雇い主は研究所の長であり、科学省長官でもあるバートンであり、彼は車椅子の身ながら未知のエネルギー「オルゴン・エネルギー」の研究に生涯を費やしていた。バートンはオルゴン・エネルギーの副作用を利用して不二子の記憶を回復させようとする。変装で研究所に侵入したルパンとロザリアは、ナザロフの妨害を受けつつ、彼女の奪還に成功し、輸送ヘリで脱出する。その際、バートンはロザリアが自分の生き別れた娘であることに気づき、生かして彼女も連れてくるようナザロフに命じる。
ファイルの内容について少しだけ思い出した不二子の証言を元に、ルパン一行はミノア文明の遺跡の1つで未発掘のエンデカ宮殿に向かう。迷宮かつ様々なトラップがある遺跡内を、ルパンは不二子の追加情報などを駆使して攻略していく。ナザロフの手勢たちに対応していた次元や五ェ門、そして古美術商も途中から合流し、ついに一行は宝物庫に到着する。最後の謎を解いて「コロンブスの卵」を手に入れるも、古美術商の正体は変装したナザロフであり、卵を横取りされた上に、さらにロザリアも捕まる。迷宮の罠によって壁が壊れ、海水が流入してきた混乱に乗じてルパン一味は逃げ出すことに成功し、ナザロフは卵とロザリアを持ってバートンの原子力潜水艦でその場を後にする。
「コロンブスの卵」の正体はオルゴン・エネルギーの増幅装置であり、気象すら操れるというものであった。この力を使ってバートンは国に反旗を翻した上に各国をも脅迫し始め、研究所を爆撃されても、既にアジトを原潜に移していた。またロザリアについても娘としてではなく、エネルギーが人体細胞に与える影響を調べるための実験体扱いする。
バートンが水上竜巻を起こして見せしめに沿岸都市を襲おうとしている中、ルパンと不二子は潜水艦内に潜入する。そしてルパンは動力部をオーバーロードさせ、艦に多大なダメージを与える。さらにロザリアを助けようとするルパンであったが、オルゴン・エネルギーによって銃撃も効かないほどの肉体強化を果たしたバートンがこれを阻もうとする。バートンはもやはロザリアも含めて全員を殺そうとするが、暴走した動力部に突き落とされ、感電・炎上する。ロザリアは父と決別し、優しかった頃の思い出も捨てると言うが、ルパンはたとえ虚構だったとしても大事な思い出のままでいいじゃないかと優しく諭す。
水上竜巻が迫る中、艦外に脱出したルパンたちであったが、バートンはまだ生きており、執拗に迫ってくる。ロザリアは海に落とされ、ルパンも攻撃を浴びる。不二子が竜巻に巻き込まれ、ルパンは救援にやってきた次元と五ェ門のプロペラ機の縄梯子に掴まり、彼女を助けようとする。そこにナザロフも現れ、脱出のため自らも縄梯子に掴まりつつ、ルパンに代わって不二子を手に入れようとする。ルパンはナザロフの攻撃で肩に重傷を負いつつ、その血で目潰しして彼を梯子から落とし、不二子に手を伸ばす。そこに今度は竜巻の気流に乗ったバートンが現れ、ルパンたちに報復しようとする。手を伸ばして自分を助けようとするルパンに、冒頭の崖での出来事がフラッシュバックして記憶を取り戻した不二子は、ルパンの手を取って梯子に到着すると、続けて中空のバートンを海上に蹴り落とす。バートンはちょうどそこにあった原潜のアンテナ(もしくは避雷針)に後背から突き刺さる。最後の爆発で原潜は沈みはじめ、そのままバートンも海底に沈む。最後に五ェ門が斬鉄剣を振るうと竜巻が斬れて消滅する。直後にやってきた銭形によってロザリアは救出され、ナザロフは捕まる。
エピローグ。不二子は相変わらずルパンを翻弄し、出し抜こうとしている。ロザリアは優しかった頃の両親を思い出に残す。