『リバティ』(Liberty)は、イギリスのロック・バンド、デュラン・デュランが1990年に発表した6作目のスタジオ・アルバム。
背景
1986年よりサポート・ギタリストを務めてきたウォーレン・ククルロ(英語版)が、本作より正式メンバーとして加入した[5]。また、シンディ・ローパーのツアー・ドラマーを務めていたスターリング・キャンベル(英語版)も新メンバーとして迎えられたが[6]、結果的にキャンベルは本作を最後に脱退した[5]。過去にマリリオンやローリング・ストーンズ等の作品を手がけてきたクリス・キムゼイが、プロデューサーに起用された[5]。
本作のリリースに先がけて、全メンバーがプロモーション・イヴェントのため訪日しているが[7]、本作のためのプロモーション・ツアーは行われなかった[5]。
反響
全英アルバムチャートでは4週トップ100入りし、最高8位を記録した[1]。本作からのシングル「夏のヴァイオレンス」は全英シングルチャートで20位、続く「シリアス」は48位を記録した[8]。
アメリカのBillboard 200では46位止まりとなり、デュラン・デュランのスタジオ・アルバムとしては初めて、全米トップ40入りを逃した[4]。シングル「夏のヴァイオレンス」はBillboard Hot 100で64位に達した[4]。
オランダのアルバム・チャートでは37位に達し、『セブン・アンド・ザ・ラグド・タイガー』(1983年)以降のスタジオ・アルバムとしては初めて、同国でトップ20入りを逃した[3]。また、デビュー当時よりデュラン・デュランの人気が高かったニュージーランドのアルバム・チャートでは、彼らのスタジオ・アルバムとしては初めて、トップ50圏内にも入らない結果となった[9]。
評価・影響
Stephen Thomas Erlewineはオールミュージックにおいて5点満点中1.5点を付け「ディスコからギター・ロック、更にモータウン、フィリー・ソウル、ニュー・ウェイヴの要素も加味され、何でもありとなっている。もし楽曲に恵まれていれば、こうした多様なスタイルが生かされたのだろうが、このレコードには、彼らの傑作に匹敵する曲はない」と評している[10]。また、David Medskerは2010年、「良く言ってもソングライティングの焦点が絞られておらず、悪く言えば"First Impression"はザ・ザの"Infected"の魂なきパクリで、"Hothead"のヴァースは彼ら自身の代表曲の一つ"Skin Trade"のパクリである」と批判する一方、「シリアス」に関しては「彼らの特に不当評価された曲の一つ」、バラードの「マイ・アンタークティカ」に関しては「もう一つの聴き所」と評価している[5]。
オランダのDJフェリー・コーステンは、2006年発表のシングル曲「Fire」で本作収録曲「シリアス」を引用しており[11]、サイモン・ル・ボンは、同作のためにボーカル・パートを新録音した[12]。
収録曲
全曲ともデュラン・デュラン作。
- 夏のヴァイオレンス – "Violence of Summer (Love's Taking Over)" – 4:22
- リバティ – "Liberty" – 5:01
- ホットヘッド – "Hothead" – 3:31
- シリアス – "Serious" – 4:21
- オール・アロング・ザ・ウォーター – "All Along the Water" – 3:51
- マイ・アンタークティカ – "My Antarctica" – 5:01
- ファースト・インプレッション – "First Impression" – 5:29
- リード・マイ・リップス – "Read My Lips" – 4:30
- キャン・ユー・ディール・ウィズ・イット – "Can You Deal with It" – 3:47
- ヴェニスの愛 – "Venice Drowning" – 5:13
- ダウンタウン – "Downtown" – 5:22
参加ミュージシャン
アディショナル・ミュージシャン
脚注
外部リンク