フランセス・イエイツ[1](英語: Frances Amelia Yates}, DBE, FBA、1899年11月28日 - 1981年9月29日、女性)は、イギリスの思想史家。「プラトン・アカデミー」等、ルネサンス期のネオプラトニズム関連研究をおこなった。
経歴
1899年、イングランドのハンプシャー州ポーツマスに生まれた。ロンドン大学を卒業し、大英博物館に勤務。ジョルダーノ・ブルーノの翻訳論文がきっかけで、当時ロンドン大学付属ウォーバーグ研究所に在職中だったエドガー・ウィント(Edgar Wind)と知り合うこととなり、ロンドン大学付属ウォーバーグ研究所に勤務することとなった。後にはエルンスト・ゴンブリッチらとも同僚となった。
晩年はウォーバーグ研究所名誉研究員になった。アビ・ヴァールブルクの論考に決定的な影響を受け、ルネサンス期の精神史研究に没入していった。著書は十数冊出されており、清水純一ら、日本人ルネサンス研究者とも交流があり、日本語訳は生前から出版されている。彼女は、1975年にアメリカ芸術科学アカデミーの外国人名誉会員に選出された[2]。
日本への影響
1970年代初頭に、山口昌男『本の神話学』(中央公論社/改版・中公文庫)で紹介、林達夫も評価していた。他に村上陽一郎『フランセス・イエイツ考』(「ヴァールブルク学派」所収、平凡社、1998年)、高山宏『魔の王が見る』(ありな書房、1994年)で紹介がある。
著作
- 日本語訳
- 『エリザベス女王 星の処女神 十六世紀における帝国の主題』
Astraea The Imperial Theme in the Sixteenth century
- 西澤龍生・正木晃訳、東海大学出版会、1982年
- 『星の処女神とガリアのヘラクレス 十六世紀における帝国の主題』
Astraea The Imperial Theme in the Sixteenth century
- 西澤龍生・正木晃訳、東海大学出版会、1983年
- 『世界劇場』、Theatre of the World
- 藤田実訳、晶文社、1978年、再版1985年ほか
- 『シェイクスピア最後の夢』、Shakespeare's Last Plays
- 藤田実訳、晶文社、1980年、第2版1989年
- 『魔術的ルネサンス エリザベス朝のオカルト哲学』
The occult philosophy in the Elizabethan age
- 内藤健二訳、晶文社〈晶文全書〉、1984年、新版1993年
- 『薔薇十字の覚醒 隠されたヨーロッパ精神史』
The Rosicrucian Enlightenment
- 山下知夫訳、工作舎、1986年、新装版2019年
- 藤井康生・山田由美子訳、平凡社〈ヴァールブルクコレクション〉、1989年
- 玉泉八州男監訳、青木信義訳、水声社、1993年
- 『十六世紀フランスのアカデミー』
The French academies of the sixteenth century
- 高田勇訳、平凡社〈ヴァールブルク・コレクション〉、1996年
- 前野佳彦訳、工作舎、2010年。ISBN 4875024290
- 『ジョン・フローリオ シェイクスピア時代のイングランドにおける一イタリア人の生涯』
John Florio : The Life of an Italian in Shakespeare's England
- 正岡和恵・二宮隆洋訳、中央公論新社、2012年
- 没後刊行著作(論文・エッセー集)
- Lull and Bruno, Collected Essays Vol.I, 1982.
- Renaissance and Reform: The Italian Contribution Collected Essays Vol.II, 1983.
- Ideas and Ideals in the North European Renaissance Collected Essays Vol.III, 1984.
伝記
- マージョリー・G・ジョーンズ 『フランシス・イェイツとヘルメス的伝統』
- 正岡和恵・二宮隆洋訳、作品社、2010年2月。ISBN 4861822793
脚注
- ^ 「フランシス・イェイツ」とも日本語表記されている。
- ^ Book of Members, 1780–2010: Chapter Y Book of Members American Academy of Arts and Sciences Retrieved=29 June 2023
関連項目