ナミノコ (波の子 、Donax )属は、フジノハナガイ科 に属する二枚貝 で、西日本の砂浜で普通に見られるナミノコガイ (Donax cuneatus )や主に東日本で見られるフジノハナガイ (Donax semigranosus )、九州などで見られる小型の種キュウシュウナミノコ (Donax kiusiuensis )およびリュウキュウナミノコ (Donax faba )が含まれる。日本ではLatona 属やChion 属に分類されてきたが[ 1] 、近年では欧米の種とまとめてDonax 属に含めて記されることが多い[ 2] [ 3] 。中名 斧蛤(fǔgé)[ 4] 。
外観
フジノハナガイ "Donax (Chion) semigranotus"
三角形に近い形をして殻長は1~3cmで殻幅は薄い。殻頂は後方に寄る。色や模様は変異が多い。ふたまたに分かれた水管と、長い足をもつ。殻内面は紫色を帯びることが多く、外套線の湾入は深い[ 1] 。
生態
日本では本州以南の各地の砂浜で普通に見られる。ナミノコガイ とフジノハナガイ は、砂浜に波が寄せるとき突然砂中からおどり出て波に乗り、満潮のときは高い位置で、引潮のときは低い位置ですばやく砂浜にもぐることによって、潮の干満に応じて砂浜を上下する[ 5] 。キュウシュウナミノコ とリュウキュウナミノコ は波乗りをしない[ 6] 。種によって棲み分けられる傾向があり、ひとつの浜には同じ種が多数見られることが多い[ 2] 。始新世 の地層から化石が見つかっている[ 7] 。
人との関係
砂浜で波に乗って多数の貝が移動するのが見られるため、古来から「波の子」[ 8] や「波遊び」[ 1] と呼ばれてきた。一般には市場に流通しないが、濃厚な旨みがあり、良い出汁が出て美味[ 9] 。大西洋産のナミノコ類はcoquina と呼ばれる[ 10] 。
種
リュウキュウナミノコ
日本産のDonax 属の貝には、以下の種がある。
欧米産の種を以下に一例として記したが、日本産に比べて横に長い形をした種が多い[ 11] 。
出典
^ a b c
世界文化生物大図鑑『貝類』 . 世界文化社. (2004/6/15)
^ a b
Yoshitake Takada et al. (2015). “Distribution of “Donax semigranosus” and the other bivalves in sandy shore swash zones along the Japan Sea coast of Honshu”. Venus 73 : 51.
^
Javier H. Signorelli et al. (2020). “The family “Donacidae” (Bivalvia: Tellinoidea) in Thai waters”. Molluscan Research 40 : 8.
^
中国北部湾潮間帯現生貝類図鑑 371-375 . 科学出版社. (2016)
^
カラーブックス『日本の貝』 . 保育社. (1968/9/20)
^
佐々木猛智 (2010). 貝類学 . 東京大学出版会. p. 287. ISBN 978-4130601900 . http://www.um.u-tokyo.ac.jp/hp/sasaki/04-Sasaki-publications/text/JB009-Sasaki-2010-1-3.htm
^
“Donax ”. fossilworks. 2021年10月13日 閲覧。
^
武蔵石寿 (1860). “波の子”. 目八譜 2 : 17.
^
“ナミノコガイ ”. ぼうずコンニャク. 2020年4月15日 閲覧。
^
Seashells of North Carolina . North Carolina Sea Grant College Program. (2010/12/1)
^
“Donacidae ”. Natural History Museum Rotterdam. 2020年4月17日 閲覧。
外部リンク
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