アルバムは、複数の音楽評論家によって肯定的に評価されており、タワーレコードのレビュアーは、「テクノやエレクトロニカをまぶしたバンド・サウンドと、 [中略] その調和がもたらす洗練されたグルーヴが、彼らの特異性を露わにしている。」と肯定的に評価している。また、アルバムは全国的かつ商業的には成功していないものの、北海道では発売当初好評であった。「三日月サンセット」などのアルバム主要曲は、FM NORTH WAVEやエフエム北海道をはじめとする北海道の主要エフエム放送局でヘヴィー・ローテーションされた。
制作背景
サカナクションは、2005年春に北海道札幌市で結成された[3][4]。バンドのフロントマン、山口一郎とギターの岩寺基晴の2人は、前身となったバンド「ダッチマン」のメンバーであった[4][5]。前身のバンドが解散後は、一時的に山口が単独で活動をし、ディスクジョッキーや弾き語りなど、前身のバンドで行っていた活動とは異なるパフォーマンスや音楽性を追及[5]。その後、山口が単独での活動で得た音楽の「再びバンド活動をしたい」という意志から岩寺を誘い、それに加えてドラムメンバーを勧誘した後、サカナクションを結成した。結成時、山口の地元の小樽で行われるロック・フェスティバル、『ライジング・サン・ロックフェスティバル』の一般公募枠にあたる、『RISING STAR』が始まったことから、応募し、公募からバンドが選出された。それをきっかけに、メジャーデビューが決定。当時サポート・メンバーであったベースの草刈愛美、キーボードの岡崎英美が正式なメンバーに加わり、2015年現在までのバンドメンバーの体制が構築された[4][5][6]。この間に、サカナクションは「三日月サンセット」と「白波トップウォーター」のデモ音源を札幌の大学内に設置されたラジオ局に送付した。送付された2つの楽曲は、リスナーに好評であったために、ラジオ番組内のチャートランキングで5位を獲得。また、FM NORTH WAVEのチャートランキング、『SAPPORO HOT100』に92位でチャートインした[3][7]。
『あめふら』は、5人で活動をし始めた際に作られた。つまり、5人となったサカナクションとしては、初の作品である。アメリカン・ミュージックとフレンチ・ミュージックの音楽要素を混ぜ、戯けさせた遊びの強い曲だという[10]。アルバムに収録された『フクロウ』は、ギター・コードを作曲している間に思いついたアドリブの歌詞を使用している[11] 。タイトルチューンである「GO TO THE FUTURE』は、当時の山口の心をそのまま表した楽曲であり、元はアコースティック・ソングであり、3拍子の楽曲ではなかった。しかし、3拍子にすることによりバンドアレンジが固まっている[10]。また、アコースティック版の音源は再録され、『懐かしい月は新しい月 〜Coupling & Remix works〜』のDISC1、『月の波形 〜Coupling & Unreleased works〜』の14曲目に『GO TO THE FUTURE (2006 ver.)』として、収録[12][13]。また、同アルバムのDISC3、『月の景色 〜Documentary of "GO TO THE FUTURE (2006 ver.)" & MUSIC VIDEOS〜』にサカナクション初期メンバー2名がバンドの経歴を振り返るドキュメンタリーと共に、同楽曲のバイノーラル音源によるアコースティック音源が『Documentary of "GO TO THE FUTURE (2006 ver.)』、『"GO TO THE FUTURE (2006 ver.)" binaural recording』として、収録されている[13]。
「GO TO THE FUTURE」は、1,500枚を初週に売り上げ、オリコンランキングの初週105位を記録している[20][21]。また、CDじゃーなるは日本全国のタワーレコードの売り上げを追跡した結果、CDの多くが札幌で売り上げられていると発表されている[22][23]。さらに、10日で100部を売ったタワーレコード渋谷店の存在をCDじゃーなるはタワーレコードの2大拠点の1店において、この売り上げを成功であると位置付けた[23]。しかし、アルバムは他の日本の政令指定都市で売り上げを伸ばすことが出来なかった[23]。